『守城の人』 ① | 元広島ではたらく社長のblog

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六本木ヒルズや、ITベンチャーのカッコイイ社長とはいきませんが、人生半ばにして、広島で起業し、がんばっている社長の日記。日々の仕事、プライベート、本、映画、世の中の出来事についての思いをつづります。そろそろ自分の人生とは何かを考え始めた人間の等身大の毎日。

『守城の人』 村上兵衛 光人社NF文庫を読んだ。

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色々教えられること、考えさせられることがある。

その第一弾「アメリカと戦争」


主人公柴五郎少佐は、日清戦争の後、英語、フランス語が堪能なことで、駐在武官を歴任する。当時、アメリカとスペインが交戦状態になり、柴少佐はアメリカ軍に同行し、戦地へ行くことになった。


歴史上は、米西戦争(1898年)と呼ばれる戦争で、アメリカとスペインの戦争。しかし、戦地はアメリカ本土でもなく、スペイン本国でもない・大航海時代から世界各地にあるスペインの植民地のうち、フィリッピンとキューバがその主な舞台。柴が行ったのはキューバの方。


アメリカにとって、メキシコとの小規模な戦争以外は、初めての体外的な戦争。アメリカは基本的には外国と戦争はしない主義。戦闘らしい戦闘は、35年前の南北戦争以来。米西戦争当時のアメリカ軍は、陸軍3万これに義勇兵が、5万人、という規模。今年2006年9月現在、イラクだけで米軍14万7000人。米西戦争の数年後起きる日露戦争の日本軍が30万人前後、と考えると、アメリカは対外戦争をしない主義ではなく、できなかったようだ。

また、戦争に同行した柴少佐をはじめ、イギリス、ロシア、ドイツ、フランス等の8名の武官のうち、柴とイギリス、スウェーデンの武官以外は見るべきものがないのと、待遇が悪いので帰ってしまう。

そして、戦争とはいえないお粗末さ。指揮官は、定見が無く、兵も、充分な装備は無く、上半身は裸という無秩序ぶり、数回の戦闘があった後に終結してしまう。


35年、一世代戦争を体験していないと、こんなもの。指揮能力も、戦法も、戦術も何にも無い。今から100年前のアメリカ軍ってこんなもんだった。それがたった1世紀で、世界の支配者になってしまった。


アメリカは、この1世紀、とにかく戦争をしてきた。2次大戦後は、5年と平和状態は続いていないんじゃなかろうか?共和党、民主党に限らず、戦争始めたり、いろんな紛争に介入している。それは、戦争の”勘”を忘れないようにするため、また、定期的に武器弾薬を使うことで、軍需産業にお金を落とすため、戦争が目的でなく、手段化してしまっているようにさえ思う。

となるとアメリカ外交は”常にけんかを売って歩く”ことになる。というのは言いすぎか。


とりあえず日本は今アメリカと仲がいい。アメリカとはドラえもんのジャイアンみたいなもので、共同戦線を張ってる分には、たのもしいのだけれど・・・・・・・・。


ちなみに①

この米西戦争で、海軍次官、義勇軍を率いて戦っていたのが、後の大統領、セオドア・ルーズベルト。日露戦争の講和を買って出た人で、新渡戸稲造の『武士道』に感銘を受け、それが動機で救いの手を差し伸べたといわれているが・・・。その後、逆に日本がアジアで勢力を広げることに危機感を感じ、日本に屈辱的な講和条件を受け入れさせる。

ちなみに②

米西戦争と同じころ、アメリカはハワイ王国を併合した。それはフィリッピン攻略のため、太平洋の中央に補給基地を作らなくてはいけなかったからだ。その頃ハワイのアメリカ人は、軍人しかいなく、入植した日本人のほうがはるかに多かった。日本政府は、この動きを知っていて阻止できたが、来るべき日露戦争前に、敵は作りたくなかったので黙止した。ま、1世紀たって、日本みたいになっちゃったけど。