『父子鷹』を読んで、無性に幕末モノを読みたくなって本屋に行くと、変な本を見つけてしまった。
『タイムスリップ明治維新』 鯨統一郎 講談社文庫
渋谷の女子高生、麓麗(ふもと うらら)が、日本史の試験勉強をしている最中に、幕末にタイムスリップ。その世界では、未来からやってきた何者かが、実際の歴史とは違う世界を作ろうと、歴史に介入していた。その何者かを追いかけてきた未来の政府機関員と共に歴史を元の正常な状態にするため、坂本竜馬を炊きつけたり、桂小五郎に一目ぼれ、新撰組に追い掛け回されたり、偉い殿様にも、ずけずけと話しかける。リンカーン、ノーベルも入り乱れる。
彼女がいなくては、明治維新が来ない!というくらい活躍するはなしなんだけど、渋谷の女子高生に知り合いがいない私には、今ひとつ、主人公うららちゃんの自由奔放さが伝わらず、せっかく何でもありの小説なら、もっと、派手に暴れてもいいかなと物足りなさも感じた。
結局、主人公うららちゃんが、幕末の志士の中で結ばれるのは、中村半次郎(後、西郷と共に西南の役で没する桐野利秋)。実際の中村半次郎は、頭は弱いけど、薩摩示現流の剣の使い手、屈託の無い、さわやかな男。以前大河ドラマで杉本哲太が演じていたがまさにあんな感じの青年。女子高生に限らず、男だって惚れる男の中の男。
『タイムスリップ明治維新』は、正直あまり面白くなかったのだけど、中村半次郎がさらに惚れた男、西郷隆盛の本を次は読むことにする。