お蚕さんの続きです。




お蚕さんは蛾の一種ですが、野生の蚕蛾はいません。


養蚕業は5000年ぐらいの歴史があるそうですが


家畜化される中で野生に回帰する力をなくしてしまった生き物で


人間による管理なしでは育つことができないそうです。


足が退化しているため、桑の葉に自分でとまることもできず


人の手無くしては繭もうまく作れず、


成虫は羽も小さいのでうまく飛べず、口がなく何も食べずに


種の保存のための行為を終えると10日ほどで生涯を終えるとのことです。



なかなか衝撃的な事実です。。。




だからこそ、お蚕さんの命をいただいていることに感謝しなくてはと思うのですが


お蚕さんが生まれてから命を全うするまでを見守る、養蚕業を営む方々にとっては


なおのことだと思われます。




今でこそ収入源としての意味合いは大きく変わったでしょうけれど


かつては貴重な現金収入の源だったともお聞きしますし


養蚕業の方の中には「おかいこさま」と、「お」と「さま」までつける呼び方もあるということ


ただの昆虫ではなく家畜であるため


「一匹二匹」ではなく「一頭二頭」と数えるなど、気持ちの密接さを感じさせるお話です。




ちなみに、生糸を取るために煮てしまう繭の中のさなぎですが


それも飼料として、もしくは人のタンパク源としていただくこともあるそうです。


いただくからには何一つ無駄にしないのですね。





きものは生きるために必要不可欠なものではないので


牛や豚、食事に関することと一緒にしてしまうのは少し違うのかもしれませんが


子供のころ、「食事の際には「いただきます」と「ごちそうさま」をいいなさい」


「残しちゃだめ」といわれたことを思い出し


そういうことを考えると、擦り切れた八掛も黄色くなった胴裏も捨てられなくて


いつか何とかできないかと溜め込んでしまい


やっぱりなんとなく呼び捨てにするのは気が引けて


これからもお蚕さんには「お」をつけて「さん」をつけようと思うのでした。。。





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