クマ:各地で被害拡大 猛暑も影響、餌不足に



14日朝、山形県の中学校に侵入したツキノワグマが用務員を突き飛ばし軽傷を負わせた騒ぎで、13日朝も新潟県の小学校周辺でクマが出没、学校側が校舎1階の教室と校庭の使用を中止するなどの事態になっている。12日朝には福井県のデイケア施設で看護師がクマに襲われ3週間のけがをしたばかり。クマ被害は高齢者や子供たちにも及び始めている。

 クマが出没したのは新潟県三条市飯田の市立飯田小。13日午前8時ごろ、校舎裏の山林からクマ1頭が出てくるのが目撃された。12日朝も校庭でクマのものとみられる足跡、玄関前でふんが見つかり同校は校舎1階の教室などの使用を中止。1階の教室を使っていた2、3年の児童たちは14日、3階の多目的ホールで授業を受けた。下校時は全児童がスクールバスに乗るよう指導。同様の措置を10月末まで続けるという。

 同県阿賀野市の国道290号でも13日午前6時ごろ、クマ3頭が目撃され、近くの市立保田小は「児童の安全が確保できない」として同日を臨時休校とした。14日から授業を再開した。

 14日朝、山形県長井市の市立長井北中に侵入したツキノワグマはグラウンドから校舎に向かって走ってきた。猟友会によると、クマは体長148センチ、体重110キロで7歳の雄。クマの生態に詳しい独立行政法人・森林総合研究所東北支所(盛岡市)の大西尚樹主任研究員は「クマは隠れるように行動する習性があり、グラウンドを走るのは異常。何らかの理由でパニック状態になったクマが狭い所に隠れようと校舎に入ったのではないか」とみる。当時は登校前で、同中は生徒に自宅待機を指示。大竹仁教頭は「子供がいない時間でよかった」と話した。

 長野県信濃町でも14日午前9時過ぎ、農家の物置内にツキノワグマがいるのを住民の男性(70)が発見。入り口を閉めてクマを閉じ込め、地元猟友会が間もなく射殺した。長野地方事務所によると、クマは8歳の雄で体長1.5メートル、体重105キロ。物置には米袋約100個があった。【塚本恒、浅妻博之、前田洋平】

 ◇目撃件数大幅増加

 環境省によると、4~9月に全国でクマが目撃された件数は7175件に上り、昨年同期の4229件を大きく上回る。同省が把握する4~8月の人身事故は57件(昨年同期は36件)。特定非営利活動法人(NPO)日本ツキノワグマ研究所(広島県廿日市市)の米田一彦理事長によると、今年は春先の低温や夏の猛暑の影響もあり、クマが山奥で餌にしているブナやミズナラの実が全国的に不作。里山にあるクリなどは例年並みのため、クマが餌を求めて活動範囲を広げている。

                    <毎日新聞記事より>




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