CYCLE HOLIC
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日本の国債の行方

映画レ・ミゼラブル(2012)を観て

自転車のことばかり書いてきたのだけど、今日は唐突に映画の話です。


2012年にトム・フーパー監督のもとに、オペラ「レ・ミゼラブル」を下書きにした
映画が制作されました。


子どもの頃に読んだ「ああ・無情」を思い出し、当時映画と平行して上演されることに
なっていた帝国劇場での舞台ポスターもあちこちに貼られていたので、
なんとなく見に行ったのですが、とても感動して何度も映画館に足を運びました。


封切りから2年もたっても、帝国劇場での舞台はいまでも好評なようですが、
映画のDVDは、非常に安く購入できるようになっていましたので、改めて観てみました。


当時は、バルジャンの気持ちが幼い娘を持つ親の気持ちとシンクロしていたのですが、
年齢を重ねて再度見てみると、物語が持つまた違った魅力を発見することができます。


特に、ジャペール警部の生き方に心を打たれるようになっている自分に気がつきました。
物語では、善人ジャン・バルジャンをストーカーのように追い回す敵役ですが、彼が
いなければ物語そのものがなりたちません。


ジャン・バルジャンが太陽なら、ジャベールは月、
ジャン・バルジャンが表なら、ジャベールは裏、
ジャン・バルジャンが道徳による正義を体現するならば、ジャベールは公正と法による正義を体現しています。
ジャン・バルジャンが本体なら、ジャベールは影です。


彼の人物像は物語に譲りますが、私の目に写るジャベール警部は、

・常に祈りを忘れない敬虔なクリスチャン
・法や社会のルールを遵守し、職務に忠実な組織人
・下層階級から這い上がるための努力を積み重ねてきた苦労人
・自らに課せられた使命を神に誓い、「星たちよ」と歌い上げるエヴァンジェリスト
・出世してからも、危険を顧みず、死者も出ている危険な現場に飛び込む勇気を持つ職業人
・殺されると観念しても、命乞いなどせず、自らの価値観に殉じる殉教者
・暴動中に射殺された少年の遺骸に痛みを感じて動揺を見せる繊細な心


これが現実の組織にいる方なら、素晴らし過ぎます。
どのような組織にあっても、リーダーとなる器を持った方だと思います。
このような方が組織の長なら、非常に恵まれた組織となることでしょう。


物語ではあるものの、ジャベール警部の神懸かり的と言っても良い人物像には、
原作におけるジャベールの最後の扱いからすると、作者のユゴーすらも気がついていなかった
節があると思います。


ジャンバルジャンになりたい方は沢山いますが、真似することをできる方は少ないと思います。
我が身の全てをかけて見知らぬ人にも愛情を注ぎぐということだからです。


だけど、ジャベールのような生真面目な方は、程度の差はあっても日本の組織でも
沢山いらっしゃるのはでないかと感じます。


ジャベールが最後に自殺してしまうのは、とても痛ましく、心の痛みを覚えます。
仕事の責任を感じて自殺してしまったり、辞表をだして責任を取る日本のサラリーマンをみているように感じてしまうのです。


ビクトル・ユゴーは、次のように書き残しています。

「陸よりも広いものがある。それは、海だ。
 海よりも広いものがある。それは、空だ。
 空よりも広いものがある。それは、人の心だ。」



レ・ミゼラブルは、文学という手段によって、混乱した当時のフランス社会の人々に価値観を
与えようとした壮大な試み
です。ジャベール警部の人物像がユゴーの中でどのような意図を
もっていたのかわかりませんが、多くの方にジャベールの魅力が伝われば嬉しいと思います。









中山法華経寺の節分会

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CYCLE HOLIC-修行僧が凛々しい
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