今日は、少し憂鬱な気持ちで職場に行きました。


それは今回のCT検査の結果説明で

肺がんの可能性があると先生が説明する

患者さんが来院されるからです。

もう、通院して先生とも9年の間柄で

酸素を持ちながらいつも1人で来院される患者さんです。

どんな人であってもこのような説明の後に看護師は

どのように声をかけ対応したらいいのか悩みます。

うちのクリニックの場合は

先生からのこのような説明の際は、

看護師は廊下で待機し

どのような会話がなされたか聞いています。

先生が肺がんの可能性について話されたとき

今日の患者さんの第一声は

「良かった~」でした。

意外な発言にびっくり

患者さんは腫瘍マーカーやPETなどの

癌かどうかの検査も拒否でした。

先生は、もしがんであっても

今なら手術ができ治療の選択枠は広いけれど

時間の経過とともに選択できるのがなくなってくる

もちろん途中で方針を変えてもよいが 

それでも検査はやらない方針でいいのか?と聞きましたが

患者さんは「それでいい」と話されました。


「俺は、知り合いが肺がんで死んでいくのをいっぱい見てきたんだよ、

先生、天命って言うじゃない?

医者が何をしても結局は神様が命を決めるんだよ

だから俺はそれに逆らわない、

がんの治療は絶対にしないって決めてる。

俺は先生に助けられてもう充分にここまで生きてきたから

あとは天命にまかせるんでいいんだよ。」


「だけど先生、このままだったらあとどのくらいか?」


「2年は・・・ん~無理かな・・・
1年は大丈夫。だけど家族には何て言う?家族はどう思う」




これは俺の命だから
俺が決めるんでいいんだ




と、即答でした。



私は聞いていて少しウルッとしてしまいました。

内心はショックだったかも知れない

まだ受け止められないでいるかもしれない

でも

天命に任せつつ自分の命のことは自分で決めると

その場で言い切れるその勇気が

格好良かったです。
(不謹慎ですが・・・) 

そして、先生としては患者さんの希望に沿うことになりました。



そのあと、患者さんに声をかけた私

非常にアッサリと私にも肺がんのこと自分の治療に対する気持ちのことを話されて

「これから、銀座でおいしいコーヒーとレモンパイを食って帰るよ」と

笑って手を振って帰っていかれました。


医療者と患者さんのあるべき姿について

考えさせられた一場面でした。

END