「モード・ワトソン」をグーグルで検索すると、結構出て来ます。
そしてそこには何が書かれているかと言うと、
彼女が第1回大会で身につけていた
ウェアについて、
これが非常に多い訳なんです。

(すぽーつうぇあ大全)
http://books.google.co.jp/books?id=5Ql98a8KqigC&pg=PA165&lpg=PA165&dq=モード・ワトソン&source=bl&ots=
「テニスウェアには白い色のものが多いが、これはモード・ワトソンと、
その姉であるリリアン・ワトソンに由来している。
1884年の女子シングルス決勝戦は、モード・ワトソンと
リリアン・ワトソンの姉妹対決になった。このとき純白のドレスを
着用していたワトソン姉妹に因んで、以後のウィンブルドン大会では、
白を基調としたウェアとシューズの着用が
義務づけられたのだ」

(ウィンブルドン ガイド)
http://www.wimbledon-guide.com/girl/
「女子が参加するようになったのは1884年からとなりますが、
この時優勝したモード・ワトソンが白ずくめのウエアで登場して大変注目を集め、
以来、ウィンブルドン大会では「白いウエア」の着用が男女共に
義務付けられるようになったといわれています」

「モード・ワトソン」で検索すると、約 64,200 件。
これが
「モード・ワトソン 白い」になりますと
約209,000 件に増えてしまいます。
「モード・ワトソン 白いウェア」だと
約 53,700 件
「モード・ワトソン 白いドレス」ですと
約 2,680 件

現在のウィンブルドンで「白以外のウェアは不可」
であることは、テニスファンなら周知の事ですが、
それが「ワトソン姉妹が白いドレスでプレーした」故事に
由来するものであることは、私は知りませんでした。

ですから勉強になったのですが、
ただ、情報の扱い方と言うか、自分の得た情報(今は情報が安易に
手に入り過ぎますね)を自分の文章にする時、
伝言ゲームの様な恐ろしさがあるな、と感じました。

と申しますのは、

(WOWOW)
http://www.wowow.co.jp/tennis/story_wimbledon.html
「ウィンブルドンといえば、緑の芝生に映える「白いウエア」。ウィンブルドンの魅力のひとつである“ファッション”の先駆けは、女子の第1回大会(1884年)で優勝したモード・ワトソンが白のウエアで登場し、注目を集めたことが発端とされている」

この様な無難な書き方なら問題ないのですが、
その前に引用させて頂いた文章、

「以後のウィンブルドン大会では、
白を基調としたウェアとシューズの着用が
義務づけられたのだ」

「以来、ウィンブルドン大会では「白いウエア」の着用が男女共に
義務付けられるようになったといわれています」

この様に書いてしまいますと、読者は、翌1885年ウィンブルドンからプレイヤーは「白一色」
になったのか!
と解釈してしまいます。或いは書いてる方もそのつもりで書いた
のかも知れません。



私は、ワトソンが勝った翌年から「白着用」が義務づけられた
と言うのは有り得ないと考えます。

例えばこの写真をご覧下さい。おしゃれなウェアと天才的なプレー
で有名だったリリ・デ・アルバレス(西)です。
http://www.corbisimages.com:80/Enlargement/Enlargement.aspx?id=VV11930&ext=1&wdid=99838a38af27461591c217ede9f15225
1928年ウィンブルドン女子決勝、右は当時無敵を誇ったヘレン・ウイルス(米)
http://www.corbisimages.com:80/Enlargement/Enlargement.aspx?id=HU006089&ext=1&wdid=e868dec9bfad476a96a4fe525304ce16
1926年ウィンブルドン

全米選手権8回優勝のモーラ・マロリー(米) 1921年ウィンブルドンでの写真
http://www.topfoto.co.uk/gallery/Wimbledon1921/ppages/ppage45.html

「白が義務付けられ」ていなかったのは明らかだと思います。

大体、ウィンブルドン女子の部は創設当初、
ほんとに(言葉は悪いですが)「お飾り」程度の
扱いでした。シングルスだけでダブルスは無し。
選手は集まらず、第1回の時13人、第2回は僅か10人。
男子の競技が全て終わった後に行われたそうです。
そんな女子シングルスの優勝者の服装が、
男子の、レンショー兄弟の様なスター選手に
まで影響を与えたりするでしょうか?

ちょっと考えにくいことです。

私の結論(推論)を言いますと、男子プレイヤーの服装は
ワトソン姉妹の登場を待つまでもなく、
大体白かった。
女性プレイヤーは、大会当初、
こんな格好でプレーする人が多かったが、
http://www.tennisite.org/Art1887ThingsUnsaidfrPunch.jpg/Art1887ThingsUnsaidfrPunch-full;init:.jpg

無敵のモード・ワトソンのプレーや服装を見て反省し
http://www.gettyimages.com/detail/3404114/Hulton-Archive

動きやすい格好をする様になり、
勝敗にこだわった真剣なプレーが行われる様になった。

ウィンブルドンで「白いウェア」着用が義務付けられる様に
なったのは、少なくとも1930年代以降である。

以上が私の結論です。

因みにモード・ワトソンが来ていたのはホントに白だったのでしょうか。
私は彼女がピンクのドレスを来て表彰されているイラストを
見た事がありますが。