今週の相場展望です。

ご参考までに目


今週の為替相場は、欧米不安による円全面高と当座の円高クライマックス、海外の6月決算通過や米国の週末連休を前にしたポジション調整による円売り戻しをにらんだ展開となる。

現在は米国経済の政策効果剥落による景気減速、欧州の根強い財政金融不安や7月の銀行ストレステスト結果公表に対する警戒感、世界景気の2番底リスクなどにより、ドル安、ユーロ安、資源通貨安のリスクが意識され、消去法的に円が買われている。


さらに世界的なデフレ懸念や長期金利の低下(安全逃避の債券買い)、先進国の利上げ遅延、資源国の利上げ余地縮小などの流れもジワリと明確化。世界的な低金利時代が意識されるなか、現状からの金利低下余地とデフレ悪化の余地が他国との相対比較で狭まっている円が「最強通貨」となっている。
同時に世界的なリスク回避を受けて、投資資金や投機資金の資本フローが停滞してきた。結果、日本の経常黒字や対外債権、高水準の貯蓄などが円高圧力を招きやすい。

その中で来週は、米国の雇用統計や日銀短観、中国のPMI指数などの経済指標が控えている。それぞれの指標の強弱により、これから深刻な2番底を迎えるのか。あるいは昨春からの急回復の短期的なスピード調整による踊り場でとどまるのか。指標次第で悲観論の後押し(円高持続)と、過度な悲観の修正(円の売り戻し)が入る神経質な地合いが想定される。


もっとも現在の世界株安や長期金利の低下(債券高)、円全面高などは、海外勢の6月決算に対応した利益・損失の確定、投機ポジションの手仕舞いも影響している。6月末での決算対策が一巡すると、週末からの米国の独立記念日連休とあいまって、株安・債券高・円全面高の調整的な巻き戻しが入る可能性もある。

その他、週末のG20サミットを受けた各国の政策協調、菅政権の新成長戦略で盛り込まれた「過度な円高の回避」を実践する円高阻止努力、月末にかけての国内での外貨建て投信の新規設定なども、円高・外貨安の歯止め要因として注目されそうだ。


また、米国経済はマクロ面での成長鈍化リスクが高まる一方、リストラ努力などによって企業収益には回復期待が根強い。日本のデフレ局面で見られてきた「雇用・賃金低迷の中での株高」の余地も残されている。
25日からは金融規制改革法案の進展により、金融株の不透明材料も払拭されてきた。世界景気の失速リスクは中国など新興国による引き締め策を後退させることにもなり、米国を始めとした世界株が下げ止まりから値固めに転じる可能性も消えていない(=リスク回避の円高後退)。



虚空菩薩