ビーチで読んだ本
- イティハーサ (1) (ハヤカワ文庫 JA (639))/水樹 和佳子
- ¥861
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全7巻まであります。
ビーチで、何度も読んじゃった。
目に見えない神。
善を尊ぶ光の亜神。
破滅と強さを追求する威神。
目に見えない神は、もう存在しないとして、亜神と威神は、共に戦う。
亜神も、威神も同じ。
亜神は、いわゆる神様と呼ばれるようなイイ神様。
威神は、いわば鬼とか悪魔とか、そういう存在なんだけど。
光が良いとか、闇が悪いとか、そういうのないなって思った。
それぞれに、同じことを求めている。
それぞれに愛がある。
同じ方向を見ている気がした。
それぞれの正義をもって戦っているのは、現在も過去も同じなのかもしれない。
それは、まるでひとりの人間の心に住む、葛藤の象徴のよう。
人を愛し、慈しみ、どんな悲しみも光で癒してくれる亜神の頂点にいる天音さま。
圧倒的な光で、どんな人も優しく幸せな気持ちにさせてくれる辛い過去さえ忘れさせてくれる神。
私は、天音になりたくないと思った。
私は、私でありたいと思った。
自分の中の善も、悪も含めて、私だから。
私の中の闇は、まるで宇宙のように深く、大きい。
それを汚い心とは、言えない私がいる。
どんなに汚くても、どす黒くても、残酷で、破壊的であっても。
そういう自分を恐ろしいと思ったのは、もう物心ついたときからだったように思う。
そういう私の中の光もまた、また眩しくて目に見えないほどのものがあるというのも、
今なら受け入れられる。
自分が光であるということの恐ろしさに何度も何度も負けそうになる。
まるで、亜神と威神の戦いのように。
未だに自分の光に恐れるときがある。
光の強さもまた、闇の鬼と同じ作用があることを感じているからなのかもしれない。
闇は、人を滅するけれど、
光もまた同じ。
あの物語は、ひとりの人間の心の中の世界を描いているように私は思う。
誰にでも共通するもの。
悪魔になりたければ、なればいい。
そこから見えてくる世界がある。
光になりたければ、なればいい。
そこから見えてくる世界がある。
私も悪魔になり、光にもなる。
私が、伝えたいのは、その先の世界。
私の中の真っ暗と、私の中の眩しさで、伝え続けていこうと思う。
誰にも宿る、目に見えぬ圧倒的なアンバランスで完全な美しさを。
私という存在を表現することで。