法人格を持つ会衆が王国会館を処分する場合 | エホバの証人 新潟県元2世会衆 jw.org→jw.orz

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新潟県のエホバの証人元2世の戦友が出会えるきっかけの場になればいいかなー

この記事は法律の話ですのでとても眠くなります。
さっさと眠りたいという方は羊を数える代わりにこの記事を読んで下さい。
きっと、全部読み終わらないうちに心地よい眠りへと誘(いざな)われることでしょう。逆にイライラして眠れなくなっても責任は一切負いませんよ。

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少し前に、「合併に次ぐ合併で不要になった王国会館はどうなるのか?」という話が別のブログで取り上げられていました。
そのブログでは、売却代金の行方に限定して取り上げられていました。
この記事では、宗教法人法に基づいて、法人格を持っている会衆が王国会館(境内建物)と土地(境内地)を処分する場合について取り扱いたく思います。

宗教法人を設立する際、法人規則を作成して所轄庁(事務所所在地の都道府県知事)の認証を受けなければなりません(宗教法人法12条)。
法人規則に記載すべき組織、管理運営に関する事項はいろいろありますが、ここで問題にしたいのは(条文そのまま書きますので長ったらしいですよ)
宗教法人法第12条(一部抜粋・漢数字は号)
 代表役員、責任役員、代務者、仮代表役員及び仮責任役員の呼称、資格及び任免並びに代表役員についてはその任期及び職務権限、責任役員についてはその員数、任期及び職務権限、代務者についてはその職務権限に関する事項
 前号に掲げるものの外、議決、諮問、監査その他の機関がある場合には、その機関に関する事項
 基本財産、宝物その他の財産の設定、管理及び処分(第二十三条但書の規定の適用を受ける場合に関する事項を定めた場合には、その事項を含む。)、予算、決算及び会計その他の財務に関する事項
 解散の事由、清算人の選任及び残余財産の帰属に関する事項を定めた場合には、その事項

の4点です。

まず問題にしたいのは、責任役員についてです。
宗教法人は、3人以上の責任役員を置き、そのうちの1人を代表役員を置くことになっています(宗教法人法18条1項)。
さて、誰が責任役員に就任するのでしょう?
長老が3人以上いる場合は長老の互選で決めるのかしら。2人以下だったら奉仕の僕からも引っ張り出すのかしら。
こればかりは法人規則を見なければわかりません。会衆の成員が閲覧を願い出ても難癖つけて見せないでしょうけど。でもそれは宗教法人法違反です(宗教法人法25条3項)。

第2に、議決・諮問機関についてです。
議決・諮問機関とは、信者総会とか門徒総代会とかと呼ばれるものです。
これは宗教法人法上必ず置かなければならない機関ではありませんが、法人の円滑な運営を図るために設置されるのが望ましいとされています。
果たして、王国会館の建物と土地を処分する際に総会なるものが招集されるのかどうか? そもそも議決・諮問機関は存在するのかどうか?
これも法人規則を見なければわかりません。

ここまでが前提です。

第3に、財産処分についてです。第4点目の解散も含めます。
王国会館の境内建物及び境内地を処分する場合、差し当たり5つのケースが想定されます。

(1)法人格を持たない会衆と法人格を持つ会衆が合併し、法人格を持たない会衆が長老か誰かの個人名義で所有する(即ち賃貸物件ではない)王国会館の境内建物・境内地を使用し、法人格を持つ会衆が所有する境内建物・境内地を処分する場合
(2)法人格を持たない会衆と法人格を持つ会衆が合併し、法人格を持つ会衆が所有する王国会館の境内建物・境内地を使用し、法人格を持たない会衆の境内建物・境内地を処分する場合
(3)法人格を持つ会衆同士が合併し、どちらかの会衆の境内建物・境内地を処分する場合
(4)法人格を持つ会衆同士が合併し、双方の会衆の境内建物・境内地を処分した上新たに境内建物・境内地を取得する場合
(5)法人格を持つ会衆が解散する場合


法人の合併手続きなどについては省略します。
(5)を除き、境内建物・境内地を取得したり売却する場合、責任役員会及び議決・諮問機関の議決を受け、宗教法人法23条に基づき取得ないし売却する1か月前までに信者及び利害関係者に公告した上で実行することができます。
特に売却に関しては、責任役員会及び議決・諮問機関に諮る際、売却物件の表示の他に売却先、売却代金及び使途について議案説明しなければなりません。
その際に、使途を、(4)の場合は新築費用に充てるだとか、その他の場合は諸費用除いてものみの塔協会に対する残債の返済に充てるだとか、諸費用除いてものみの塔協会に全額寄付するだとかと書くことになるんでしょうね。
会衆に議決・諮問機関を置くことを仮に定めていたとしても、お花畑満開の現役様は諸手を挙げてものみの塔協会行きに賛成するんでしょうな。それはもうご勝手に。覆したら逆に称賛に値します。
責任役員会はショッカー集団ですから「ものみの塔協会に全額寄付することを提案します」という提案に対して「イー!」しか言いません。ほぼ確実に。

問題は(5)の解散の場合です。
法人規則には、残余財産の処分方法を規定することができます。それを「ものみの塔聖書冊子協会に帰属する」なんて規定してしまえば、ものみの塔協会が残余財産を受け取ることになります。規定がなくても、解散決定時の責任役員会でものみの塔協会に残余財産を処分することを決めてしまえばものみの塔協会行きになります。何も決めなければお国のものになります(宗教法人法50条)。
これも実際どう決められているのかは法人規則を見ないとわかりません。
ただ、今は法人格をとるのに3年はかかりますので、簡単に解散しないで法人格を持っていない会衆を法人格を持つ会衆の中に組み込む形で法人格を持ち続けることが圧倒的に多いと思いますけどね。(5)はレアケースだと思って下さい。
でも、法人規則に残余財産の処分先が明確に規定されているとするならば、各会衆が王国会館の財産を最終的にどこに帰属しているものと考えているのかを推察することができるでしょうね。

まあ、誰にも文句を言われないであろう一番上手な売却益の利用法は、引き続き使用することになる安普請の王国会館をがっつり補修したり設備更新する費用に全部回すことなんだと思いますけどね。
本来用いられるべき「神の宮」のために清く正しく有効活用するわけですから、誰も文句言っちゃいけないでしょ。手羽先が好物らしい上の連中は軽く憤慨するでしょうけど。

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はい、いい加減眠くなりましたでしょう。おやすみなさい。

こちらは法人代表役員として久々に法人実務のお勉強をさせていただきました。財産処分なんて滅多にありませんし。