おばあちゃんの台所
「花が好き」
と言うおばあちゃんの台所には、
ガラスの花瓶に入ったかわいい黄色の水仙が3本飾られていた。
***
昔から、おばあちゃんの家へ行くと、
いつも台所からダシの美味しそうな匂いがしていた。
台所に立つおばあちゃんを眺めるのが好きだった私。
夕食時には机いっぱいに美味しそうなおかずと、ピカピカのご飯が並ぶ。
「いっぱい食べなさいよ、おかわりは?」
といつも聞いてくるおばあちゃん。
朝食にはコーヒーをいれてくれる。
おばあちゃん家のコーヒーはインスタントのコーヒーだけど、
ちゃんとソーサー付きの可愛いコーヒーカップで出してくれる。
バターを塗ったトーストと、ウィンナーと玉子焼き。
おばあちゃんの家のご飯は全部があったかくて美味しい。
***
少し前からおばあちゃんの体調が優れなくて、
一昨年に会った時は丁度おばあちゃんが入院していた頃だった。
病室が寒くて頭が冷えるから帽子が欲しいと聞いていたので、
深い赤色の毛糸の帽子を買っていったら、
「ちょっと派手すぎじゃない?」
と言いながらもかぶってくれた。
そんな記憶がある。
退院して、自宅で1人暮らしをしているおばあちゃん。
まだ体調は完璧ではなくて、通院しながらの生活を送っている。
この冬はおばあちゃんに会いに、
相方と一緒に日本へ行く事にした。
***
妹と相方と私。
その日は3人でおばあちゃんの家に行くことにした。
妹の運転でおばあちゃんの家に向かう途中、
おばあちゃんに頼まれてお昼ご飯のお寿司を買うためにスーパーに寄った。
スーパーで、相方が百合の花を3本買っていた。
おばあちゃんの家に着いて、相方が百合の花を渡すと、
早速、台所の水仙が3本いけてあった花瓶に百合もいけて、
「おばあちゃん、花が好きやから嬉しいわぁ」
とニコニコ、相方にお礼を言っていた。
居間のホットカーペットに寝転がりながら、
おばあちゃんの家で久々にくつろいだりした。
私達が元気にやってる顔を見て、
ちょっと元気が出たと言ってくれたおばあちゃん。
私もおばあちゃんも料理が好きなので、
サンクスギビングに初めてターキーを丸ごと焼いた話や、
シアトルではじめて見た野菜の話で盛り上がったりした。
それから、私の子供のときの写真をおばあちゃんが相方に見せたりして、
たくさん話をして、楽しい時間だった。
帰りには、自家製のカブの浅漬けを持たせてくれた。
翌日は家族とおばあちゃんでしゃぶしゃぶを食べに行く約束をしていたので、
おばあちゃんを迎えに行くと、相方が好きなから揚げを揚げてくれていた。
私もおばあちゃんのから揚げは大好き。
鶏にしっかりと下味がついていて、冷めても美味しい。
鶏を揚げている音が台所から聞こえてくると、
「やったー、今日はから揚げ?」
とはしゃいだものだった。
***
その次の日から、おばあちゃんは故郷の高知へ帰る予定だったので、
私達がおばあちゃんと一緒に過ごせたのは2日間だけだった。
でも、おばあちゃんの作ったカブの浅漬けと、から揚げが食べれて、
私はとっても嬉しかった。
久しぶりに見たおばあちゃんの家の台所は、
相変わらず使い込まれたお鍋やら食器やらが並んでいて、
毎日おばあちゃんが料理している様子が感じられて、ちょっと安心した。
台所に飾れていた水仙を見たとき、
やっぱりおばあちゃんってすごいなぁと思った。
小さなことだけれど、そういうところで心の豊かさが出てくるのだと思う。
私もいつかおばあちゃんみたいに人をホッとさせられる料理を作れるようになりたい、
台所に花をさりげなく飾れる人になりたい。
いつか、おばあちゃんみたいになれるかな?
***
シアトルに帰って、私は私の台所に立った。
小さいけれど、コレが私の今の台所。
おばあちゃんの台所と比べたら全然年季も入っていないし、
花も飾られていない。
でも、いつか料理上手なおばあちゃんと呼ばれる為に、
いっぱい失敗も繰り返しながら、たくさん料理をしようと思う。
オーブンを温めて、
先月焼こうと思っていたのに高熱で焼けなかったバニラケーキを焼くことにした。
お茶菓子程度に飾らないケーキが食べたい時にはこのバニラケーキがピッタリ。
ふわっとしたミルキーな生地にバニラの香りがやさしく香るケーキ。
見た目は豪華でもなんでもないけれど、私はこういうケーキが好きだなぁ。
バニラケーキ
砂糖 1/2カップ
バニラビーンズ 1房
バニラエキストラクト 小さじ1
卵(大) 3個
生クリーム(Heavy Cream) 1カップ
ケーキフラワー 1&1/2カップ
ベーキングパウダー 小さじ1&1/2
塩 小さじ1/2
オーブンを180℃(350°F)に設定する。
ベーキングシートをケーキ型(直径9インチのスプリングフォームパン使用)の底へ敷く。
砂糖、バニラビーンズ、バニラエキストラクト、卵をボールにいれ、ミキサーで混ぜ合わせる(約5分間)。
別のボールに生クリームを入れ、ミキサーで7分立ての状態まで混ぜ合わせる。
生クリームが丁度良い状態に混ぜ合わさったら、先に砂糖とバニラを合わせた卵液へ生クリームを入れて軽く混ぜ合わせる。
ケーキフラワー、ベーキングパウダー、塩をふるいにかけ、液体の入ったボールへ軽く混ぜ入れ、ベーキングシートを敷いたケーキ型へ生地を流し入れる。
オーブンで40分程焼く。
焼き上がったら、ケーキをオーブンから出し、15分程冷ました後、型から外す。
このベーシックなケーキに、オレンジピールやレモンピールを入れてアレンジするとさわやかさがプラスされるので、柑橘系のケーキがお好きな方にはお勧め。甘いのが好きな方は、焼く前に生地の上にお砂糖を振りかけてから焼くと甘さがプラスされていいですよ。
***
まだ時差ぼけが残る中、
キッチンに立っておばあちゃんの台所を思い出す。
今週はお花でも買って台所に飾ろうかな。
新しい年の始まり。
東大寺でひいたおみくじは半吉というなんとも中途半端な結果だったけれど、
年末に家族や友人からエネルギーをいっぱい貰ってシアトルに帰ってきたから、
明るい気持ちで元気に一年を始められそうです。
今年もどうぞよろしくお願い致します!
と言うおばあちゃんの台所には、
ガラスの花瓶に入ったかわいい黄色の水仙が3本飾られていた。
***
昔から、おばあちゃんの家へ行くと、
いつも台所からダシの美味しそうな匂いがしていた。
台所に立つおばあちゃんを眺めるのが好きだった私。
夕食時には机いっぱいに美味しそうなおかずと、ピカピカのご飯が並ぶ。
「いっぱい食べなさいよ、おかわりは?」
といつも聞いてくるおばあちゃん。
朝食にはコーヒーをいれてくれる。
おばあちゃん家のコーヒーはインスタントのコーヒーだけど、
ちゃんとソーサー付きの可愛いコーヒーカップで出してくれる。
バターを塗ったトーストと、ウィンナーと玉子焼き。
おばあちゃんの家のご飯は全部があったかくて美味しい。
***
少し前からおばあちゃんの体調が優れなくて、
一昨年に会った時は丁度おばあちゃんが入院していた頃だった。
病室が寒くて頭が冷えるから帽子が欲しいと聞いていたので、
深い赤色の毛糸の帽子を買っていったら、
「ちょっと派手すぎじゃない?」
と言いながらもかぶってくれた。
そんな記憶がある。
退院して、自宅で1人暮らしをしているおばあちゃん。
まだ体調は完璧ではなくて、通院しながらの生活を送っている。
この冬はおばあちゃんに会いに、
相方と一緒に日本へ行く事にした。
***
妹と相方と私。
その日は3人でおばあちゃんの家に行くことにした。
妹の運転でおばあちゃんの家に向かう途中、
おばあちゃんに頼まれてお昼ご飯のお寿司を買うためにスーパーに寄った。
スーパーで、相方が百合の花を3本買っていた。
おばあちゃんの家に着いて、相方が百合の花を渡すと、
早速、台所の水仙が3本いけてあった花瓶に百合もいけて、
「おばあちゃん、花が好きやから嬉しいわぁ」
とニコニコ、相方にお礼を言っていた。
居間のホットカーペットに寝転がりながら、
おばあちゃんの家で久々にくつろいだりした。
私達が元気にやってる顔を見て、
ちょっと元気が出たと言ってくれたおばあちゃん。
私もおばあちゃんも料理が好きなので、
サンクスギビングに初めてターキーを丸ごと焼いた話や、
シアトルではじめて見た野菜の話で盛り上がったりした。
それから、私の子供のときの写真をおばあちゃんが相方に見せたりして、
たくさん話をして、楽しい時間だった。
帰りには、自家製のカブの浅漬けを持たせてくれた。
翌日は家族とおばあちゃんでしゃぶしゃぶを食べに行く約束をしていたので、
おばあちゃんを迎えに行くと、相方が好きなから揚げを揚げてくれていた。
私もおばあちゃんのから揚げは大好き。
鶏にしっかりと下味がついていて、冷めても美味しい。
鶏を揚げている音が台所から聞こえてくると、
「やったー、今日はから揚げ?」
とはしゃいだものだった。
***
その次の日から、おばあちゃんは故郷の高知へ帰る予定だったので、
私達がおばあちゃんと一緒に過ごせたのは2日間だけだった。
でも、おばあちゃんの作ったカブの浅漬けと、から揚げが食べれて、
私はとっても嬉しかった。
久しぶりに見たおばあちゃんの家の台所は、
相変わらず使い込まれたお鍋やら食器やらが並んでいて、
毎日おばあちゃんが料理している様子が感じられて、ちょっと安心した。
台所に飾れていた水仙を見たとき、
やっぱりおばあちゃんってすごいなぁと思った。
小さなことだけれど、そういうところで心の豊かさが出てくるのだと思う。
私もいつかおばあちゃんみたいに人をホッとさせられる料理を作れるようになりたい、
台所に花をさりげなく飾れる人になりたい。
いつか、おばあちゃんみたいになれるかな?
***
シアトルに帰って、私は私の台所に立った。
小さいけれど、コレが私の今の台所。
おばあちゃんの台所と比べたら全然年季も入っていないし、
花も飾られていない。
でも、いつか料理上手なおばあちゃんと呼ばれる為に、
いっぱい失敗も繰り返しながら、たくさん料理をしようと思う。
オーブンを温めて、
先月焼こうと思っていたのに高熱で焼けなかったバニラケーキを焼くことにした。
お茶菓子程度に飾らないケーキが食べたい時にはこのバニラケーキがピッタリ。
ふわっとしたミルキーな生地にバニラの香りがやさしく香るケーキ。
見た目は豪華でもなんでもないけれど、私はこういうケーキが好きだなぁ。
バニラケーキ
砂糖 1/2カップ
バニラビーンズ 1房
バニラエキストラクト 小さじ1
卵(大) 3個
生クリーム(Heavy Cream) 1カップ
ケーキフラワー 1&1/2カップ
ベーキングパウダー 小さじ1&1/2
塩 小さじ1/2
オーブンを180℃(350°F)に設定する。
ベーキングシートをケーキ型(直径9インチのスプリングフォームパン使用)の底へ敷く。
砂糖、バニラビーンズ、バニラエキストラクト、卵をボールにいれ、ミキサーで混ぜ合わせる(約5分間)。
別のボールに生クリームを入れ、ミキサーで7分立ての状態まで混ぜ合わせる。
生クリームが丁度良い状態に混ぜ合わさったら、先に砂糖とバニラを合わせた卵液へ生クリームを入れて軽く混ぜ合わせる。
ケーキフラワー、ベーキングパウダー、塩をふるいにかけ、液体の入ったボールへ軽く混ぜ入れ、ベーキングシートを敷いたケーキ型へ生地を流し入れる。
オーブンで40分程焼く。
焼き上がったら、ケーキをオーブンから出し、15分程冷ました後、型から外す。
このベーシックなケーキに、オレンジピールやレモンピールを入れてアレンジするとさわやかさがプラスされるので、柑橘系のケーキがお好きな方にはお勧め。甘いのが好きな方は、焼く前に生地の上にお砂糖を振りかけてから焼くと甘さがプラスされていいですよ。
***
まだ時差ぼけが残る中、
キッチンに立っておばあちゃんの台所を思い出す。
今週はお花でも買って台所に飾ろうかな。
新しい年の始まり。
東大寺でひいたおみくじは半吉というなんとも中途半端な結果だったけれど、
年末に家族や友人からエネルギーをいっぱい貰ってシアトルに帰ってきたから、
明るい気持ちで元気に一年を始められそうです。
今年もどうぞよろしくお願い致します!