人生は旅、バントケーキ | Just A Little Bite

人生は旅、バントケーキ


友人のエイミーとマットがポートランドへ引っ越す前の日の夜、
4人でフリーモントにある日本料理レストランChisoへ。

てんぷら大好きな2人はひたすら天ぷらとかきあげを食べている。

サウスキャロライナからシアトルへ来た2人。
自分達に一番合う場所を探している途中。
次はポートランドへ。

知り合いもいない場所へ引っ越すことは少し勇気がいるが、
新しい生活を始めるのは楽しいこと。

人生一度きり。

後悔しないように、悩みながらも自分の意思で自分の道をを決めて、
前に進む2人を見ていると頼もしい。

26歳のエイミーとマットは、
これから始まる新しい生活にワクワクしているようだった。

そんな2人の面影が、シアトルに来た頃の私達と少し重なった。


***


2008年3月中旬。

相方と私は、住み慣れた日本を離れて、
知り合いもいない、住んだ事もないシアトルへ降り立った。

当時、私達は26歳だった。

日本の生活は2人にとって居心地の良い、快適なものだった。

心地が良すぎて、もし、このまま後数年この場所にいたら、
そこにとどまることになる、そんな気がしていた。

居心地の良さが続くことにどうして不安を覚えているのか?
傍から見たらバカなことを考えている2人だと思う。

でも、現状を変えなければいけない時って、
何となく自分で分かるのだと思う。

その当時、私達の中には、
まだどこかに落ち着く時期ではないという気持ちがあった。

身動きが取れる間に、
経験しておくべき事、見るべきもの、行くべき場所、会うべき人、
がもっと存在しているのではないか?

そんな事を考えていた。

全てを一度リセットして、まっさらな状態から始めることはとても怖い。
でも、怖さより好奇心の方が強かったのだと思う。

「ま、何とかなる。
 無理なら最初に戻って、やり直せばいい。」

それが、私の口癖だった。


ここに移り住んできた時によく聞かれたのは、
相方はカリフォルニア出身なのに、
どうしてシアトルなのか?

答えは、

「シアトルに住んでみたかったから」

本当に理由はそれだけだった。


2人で選んだ街。


互いの家族や友人から離れて、2人だけ。
仕事も、住む場所も無い所からスタートした生活。

今ではお気に入りの場所も増えて、
ダウンタウンも迷わずに歩き回れるまでになった。

とはいえ、まだまだ
「落ち着く」という言葉からはかけ離れた生活を送る私達。


もう少し、
自分達の着地点を探る日々が続きそうだ。



***


エイミーとマットの新しい生活が素敵なものになったらいいなぁ。


人生は旅。


違う場所に行くのも、その場所にとどまるのも、自分次第。

生まれる場所は選べないけど、生きる場所は選べる。

その人の選ぶ場所が、その人を映す。

そんなことを考えた夜だった。



***



2人が引っ越した日。

久しぶりにシアトルに顔を見せてくれた太陽を見上げる。

Bundt Cake(バントケーキ)でも焼こうかなぁっという気分になった。

Bundt CakeはKugelhupf(クーゲルホフ)というドイツのケーキの型を
より使いやすく、軽量にした商品を作って欲しいという要望を受けて、
アメリカのNordic Ware社がBundt Cakeの型を開発したことが始まりだそう。


$Just A Little Bite-bundt cake1




洋酒たっぷりのケーキ。
あ~、想像するだけでうっとり。

この日焼いたのは、
ダークラムをたっぷり使った大人のBundt Cake。




ダークラムのバントケーキ

※10インチ(25.4cm)のバントケーキ型を使用

ココアパウダー 1カップ + 大さじ2(型にコーティングする用)
コーヒー 1と1/2カップ
ダークラム酒 1/2カップ
バター 126g(8oz)
サトウキビ糖 1と1/2カップ
中力粉 2カップ
ベーキングソーダ 小さじ1と1/4
塩 小さじ1/2
卵 2個
バニラエキストラクト 小さじ1

粉砂糖 仕上げ用(お好みで)





$Just A Little Bite-bundt cake2




オーブンを170℃(325°F)に温める。

バントケーキ型にバターを塗った後、
ココアパウダー大さじ2を型全体に振りかけて型をコーティングする。

残りのバターをサイコロ型に切る

コーヒー、ダークラム、サイコロ型に切ったバター、
ココアパウダー1カップを中鍋に入れて、バターが溶けるまで中火にかける。
火を止め、サトウキビ糖を入れ、溶けるまで液体をかき混ぜる。

5分程液体を冷ます。


そのうちに、ボールに中力粉、ベーキングソーダ、塩をボウルに入れて、かき混ぜる。

別のボウルに卵とバニラエキストラクトを入れ、かき混ぜる。
そこへ、中鍋で火をかけておいた液体を流し入れ、全体が混ざり合うまでよくかき混ぜる。液体がよく混ざり合ったら、最後に中力粉の入ったボールの粉を混ぜ入れて、軽く粉が液体に混ざるまでかき混ぜる。

粉を混ぜ入れた生地を、バントケーキ型へ流し入れ、オーブンで50分程焼く。

竹串をさしてみて串の周りに生地がついていないか、焼き上がりを確認する。

焼き上がった生地を型に入れたまま、ラックの上などで完全に冷ます。

生地が冷めたら、型と生地の間にナイフを入れて隙間を作った後、生地を型から外す。


お好みで、粉砂糖を振りかけて仕上げる。


※このケーキは焼きたてよりも、翌日の方が味が落ち着いてより美味しいです。食べる前日に焼いて、ケーキをラップで包んで常温で保管し、翌日に切って、生クリームやチョコレートソースなどを添えて食べるのがおすすめ。