こんにちは。本日発行のメールマガジンです。
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◆【旅のものがたり】
株式会社いい旅ホームページ http://www.etours.jp
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2012年5月11日号
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「旅のものがたり」は、素直な好奇心で、先入観なく世界や日本のことを
楽しもうと始めた企画です。雑学や話のネタとしてお楽しみください。
題材は基本的にいい旅のツアーから選んでいますが、日本の話や旅とは関係
ない話も登場します。
それでは早速、今回のものがたりをご紹介しましょう。
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【第137回】 たてものがたり編
「地獄の一発勝負」
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昔から、家などの建物をつくる職人は、熱心に腕を磨いてきました。
雨や風に負けない建物、見る人を魅了する建物、彼らの切磋琢磨により様々
な作品が生まれました。
丈夫で無骨なものなら、割とつくりやすいものです。
美しいだけで壊れやすいものも、案外つくりやすいものです。
優れた職人たちは、丈夫さと美しさを兼ね備えたものを追い求めました。
工夫をするうちに、様々な技が生まれました。
技のひとつは、頑丈で壊れにくい上に、見た目が非常に美しく仕上がるもの
でした。
熟練の職人が行うと、木と木がただくっついているように見えますが、決し
て取れません。
そのかわり、一度つけるとやり直しのきかない、一発勝負の方法でした。
職人は次々に木を組み合わせて美しく頑丈な建物を生み出し、やり直しの
きかないこの工法は、「地獄臍(じごくほぞ)」と呼ばれました。
この工法でつくられたあるお寺は、大切な仏様が祀られていたため大勢の人
が訪れるようになりました。
ところが訪れる人々の中に、困った一発勝負を行う人が出てきました。
一心に祈った後、建物から飛び降りてしまうのです。
ある人は生きながらえ、ある人は命を落としました。
でも、命があれば願いが叶い、もし死んでも成仏できると信じられたため、
飛び降りる人が後を断たなかったのです。
何かを決断する時の、「清水の舞台から飛び降りる気で」ということわざの
舞台となった、京都の清水寺(きよみずでら)。
「地獄止め」とも呼ばれる工法でつくられた清水の舞台から、かつて多くの
人々が一発勝負で身を投げたといいます。
訪れた際にはこんな話を思い出し、どれだけ高いか改めてご覧になってみて
はいかがでしょうか。
ただし、くれぐれも誤って落ちないようにお気をつけください。
何も祈らずに落ちては、救われようもありませんので..。
▼もうちょっと知りたい!という人はどうぞ↓
※ほぞ(出っ張り)とほぞ穴(へこみ)を組み合わせる工法は一般的です。
ほぞを貫通させて先を固定すれば強度は増しますが、職人たちは突き出させ
ずにほぞを固定する方法を産み出しました。
ほぞ穴は奥の方が広くなるように彫られ、ほぞの先に切れ目を入れてくさび
を軽く打ち込んでから、ほぞ穴に組み入れます。
ほぞ穴の底にくさびが当たりほぞが広がると、奥が広いほぞ穴にぴったり収
まって抜けなくなるわけです。
もう抜けない、抜けられないということから、「地獄ほぞ」と呼ばれました。
清水寺の舞台は少し呼び名が変わって、「地獄止め」の構造といわれること
が多いようです。
▼オマケの話
※臍(ほぞ)というのは、へそが変化したもののようで漢字は一緒です。
「臍(ほぞ)を噛む」ということわざも、「自分の臍(へそ)を噛むことは
できない」ということから、「どうにもならないことを悔やむ」ことをあら
わす言葉です。
いずれにしても、「でべそである」ということが前提のようです。
▼編集後記
何年か前に京都に外国のお客様を案内した際、清水寺も訪れました。
雨でしたが新緑の季節で、緑が美しかったのを覚えています。
でも「釘を使っていない」という説明がされている時に、お客さんが近くの
柱に釘を発見してしまいました。
「釘あるじゃん。」と一緒にツッコミたいところでしたが立場を思い、舞台
には使われていないのですよと、フォローしました。
掲示用の釘の名残だったようです。
▼これであなたも物知りハカセ?
「清水の舞台から飛び降りた人のうち、助かったのは何%ほどでしょう。」
A.10%ほど
B.50%ほど
C.80%ほど
答え: C. 80%ほど
千手観音をご本尊とする清水寺の舞台は高さが13mほどで、1694~
1864年にかけて(途中に抜けがあって148年分の記録)未遂を含め
て234件の飛び降りがあり、85%ほどが生き残ったそうです。
意外に高い数字ですが、どの程度の怪我を負ったかわかりませんし、願い
が叶ったかどうかは記録がないようです。
▼ものがたりに学ぶ、今週の教訓
「地獄で臍を噛まぬよう、己の技を磨くべし」
運任せの一発勝負より、優れた職人さんの一発勝負を目指したいですね。
最後までお読みいただき、ありがとうございます。
それでは、来週の旅のものがたりをお楽しみに!
■旅のものがたりについて
★知っている人も、知らない人も楽しめて、誰かに話してみたくなる。
知的好奇心が人をつなぐ。そんな「ものがたり」を目指しています。
★内容は事実や伝承に基づいていますが、あまり細部にはこだわらず、
一部を紹介しています。
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「旅のものがたり」
発行者:株式会社いい旅
執筆:黒崎 康弘
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