母の疑惑 | エトナ火山のお嫁さん(自分史編)

母の疑惑

  私が生まれたのは東京の郊外。

桜の花と、いくつもの大きな自然公園で知られるK市です。


そうそう、東京オリンピックが行われた年でした!

それと、この大イベントに合わせるかのように新幹線が開通したんですよね。


両親は東京出身ではなく、それぞれ方向の違う遠い県から上京して出会いました。

父は富山県、母は岡山県の出身です。


つまり、「おか」あさんが岡山、お「と」うさんが富山・・・。

そして最初に生まれたのが大の火山好き!

そういう冗談は抜きにして、あの頃の父は自宅を開業してクリーニング屋を営んでいたんです。

私はそんな慎ましい家で長女として生まれました。



ところが生まれて二ヶ月目のこと。

母は同じ年に出産した近所の奥さんと赤ちゃんが、お外に出て散歩しているのを見つけて心の中で言いました。
「そうだ、普段からおかしいと思っていること、確かめてみなきゃ」


・・私を抱いたまま近づいた母は、奥さんにこう尋ねました。

「こんにちは。あのう、すみません。ちょっと奥さんの赤ちゃんのおめめ、見せてもらっていいですか?」

「えっ? おめめ? ええ、別にかまいませんけど・・・」


それはとてもかわいい男の赤ちゃんでした・・・後に私が通った中学校で同級生になった子です。


じっと赤ちゃんの目を見ていた母は、奥さんに私の目を見せて言いました。
「気になってるんですよ。 ちょっと普通と違うんじゃないかと思って・・・。ね? 奥さん、何だかどんより濁っていると思いません?」
「そうねぇ。 どうしたのかしら? お医者様に見ていただいた方がいいんじゃない? 駅の北口のS病院が大きいから、行ってみるといいわよ」


(写真は懐かしいK市の自然公園で撮った私と甥っ子)