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精神科医&カウンセラーによる倫理違反による被害を受けた体験を持つ数名のメンバーがたちあげたブログです。ゆくゆくはNPOを立ち上げて、現場にコミットしていくことも視野に入れています。最終目標は、被害者を救済することであり、日本の精神医療を含めた対人支援職における倫理の水準を引き上げることにあります。まずは、精神科医やカウンセラーの倫理とは何か、彼らの倫理違反とは具体的には何か、それによって生じる患者側の被害とは何か、ということについて、情報を発信していく予定です。

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・なお、私たち(ブログの管理人)は専門機関ではないので、メールやブログへの書き込みによる相談はご遠慮ください。いずれ、被害にあったときの対応を、私たちの知る範囲で書く予定ですので、そちらをご覧下さい。

・また、お送りいただいたメールの内容やメールアドレスは管理人たちの間で共有しますので、ご了承ください。お知らせいただいたメールの内容やメールアドレスは他には漏らしません。

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8・1デモ行進の告知

2009-07-27 20:01:04 テーマ:★ブログ
 以下、掲載の依頼がありました。日程が迫っているようですので、全文をそのまま貼り付けて掲載いたします。くわしくは、「精神科医の犯罪を問う」 をご覧ください。

 なお、デモに参加される方に対して主催者側から、「人数把握のため、事前にメールで参加の旨をお知らせいただければ幸いです」との連絡が入っています。詳しい連絡先は、この記事の一番最後をご覧ください。

by「精神科医を訴えるHP」管理人
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関係者各位
 
市民の人権擁護の会
日本支部東京都豊島区北大塚2-11-7-7F電話/FAX: 03-3576-1741

これ以上危険な治療の犠牲者を出さないで
さらに市場拡大を狙う精神医療産業に対するデモ行進

 前略
  「うつ病はこころの風邪」「うつ病は薬で治る」――このようなキャッチ―フレーズとともに、日本で大々的なうつ病キャンペーンが開始されたのは約10年前である。SSRIと呼ばれる新世代の抗うつ薬が1999年に国内で販売が開始されるや、うつ病に関する情報がマスメディアを通じて一気に普及されるようになった。

  メディアに登場する精神科医によって、副作用がほとんどない画期的な新薬としてSSRIが紹介され、SSRIに過剰に期待する風潮が生み出された。いまだ証明されていない仮説をあたかも事実であるかのように説明し、薬を飲めば必ず治るかのような印象を市民に植え付けていった。精神科医は精神科の早期受診・早期治療を呼びかけ、精神科医のアドバイスを受けた製薬会社は、うつ病啓発の様々なツールを開発し、政府を巻き込みながらキャンペーンを促進してきた。

  この動きは、世界精神医学が2002年8月に横浜で開催される直前から急加速していった。そして、日本のうつ病市場を開拓しようとする多国籍製薬企業は金に糸目をつけることなく徹底してこのキャンペーンを促進し、世界精神医学会にも巨額の資金援助を行ってきた。結果として、うつ病と診断される患者は異常に増え、抗うつ薬市場は約7倍にまで拡大した。 市場拡大の裏側には、情報の意図的な隠蔽があった。患者や家族に知らされていなかったのは、主に以下の事実である。

・ うつ病には客観的な診断基準が存在せず、原因も発症メカニズムも特定されていない
・ そもそもうつ病は、病理学的に疾病の基準すら満たしていない(正確には症候群に過ぎない)
・ うつ病と誤診されやすい身体的症状が多数存在するが、問診だけて診断する精神科医はその検査を行わず、誤診を防いでいない
・ SSRIの有効性は偽薬とほとんど変わらない
・ SSRIは衝動性を高め、自傷行為や自殺を引き起こす危険性がある
・ SSRIは暴力や殺人、無差別殺傷事件を引き起こす危険性がある
・ SSRIは離脱症状が激しく現れるので、すぐに薬を止められない

  精神医療産業が人々を騙し続けてきた結果が、現在のうつ病治療現場の混乱である。「薬を飲めば必ず治る」「副作用はない」などという主治医の説明を信じて薬物を服用し続けながら、自殺や暴力など、次々と後から危険な副作用が明らかにされ、患者の間では不安や不信感、怒りが噴出している。

  当会にも、ずさんなうつ病治療の被害の報告が次々と寄せられている。薬物を飲んでから性格や行動が急変し、衝動的に自殺行動や他害行動に及ぶ例は決して珍しくはない。SSRIを服用した翌日に包丁で心臓を一突きして自殺した若者、本来18歳未満には新潮投与だったパキシルを服用しビルから突然飛び降りた高校生、SSRI服用前は温厚だったはずなのに突然妻を金属で殴りかかって傷害事件で逮捕された男性など、多くの命や人生が奪われている。

  当会は、うつ病治療のずさんさや抗うつ薬副作用の問題について長年取り組んできた。ようやく、マスコミもうつ病治療のずさんな実態に迫るようになり、国も危険な副作用について調査し、注意喚起するようになった。

  しかし、問題は反省のない精神医療産業である。誤った情報を流布し、意図的に重要な情報を隠蔽してきた結果、多くの患者や家族の人生を破綻させているが、それに対して真摯に責任を取る態度が見えない。薬物で治っていないのは、実は新型うつ病や双極性障害が見過ごされてきたからだ、などと論点を逸らし、結局はさらなる病名の普及と市場開拓に努めているのである。当然ながら、あれだけSSRIを誇張して宣伝してきた精神科医からは、何らの反省の言葉もない。

 市民の命や健康を犠牲にした市場拡大路線は止まることを知らず、それは未来を担う子どもや青少年まで狙っている。7月9日には製薬会社が開発したうつ病啓発授業キットの提供が開始された。中高生を対象にした、精神科の早期受診を促進する授業がこれから展開されていくことになる。また、18歳未満に自殺行動を引き起こす危険性が他国の研究で明らかにされているSSRIパキシルについて、なぜか国内で7~17歳を対象とした臨床試験が行われていることが判明し、7月16日に弁護士を中心とした薬害団体が厚生労働大臣とパキシルの製造元に情報を公開する要望書を提出したところである。

 これ以上、反省のない精神医療産業に市民の命を踏みにじられるわけにはいかない。そこで、当会は日本うつ病学会(7月31日、8月1日:品川プリンスホテル)の開催に合わせて、8月1日にデモ行進を急遽開催する。ずさんな診断・投薬が横行した原因を作りながら、反省した態度を表面的に見せつつ責任転嫁し、さらなる市場拡大を狙う精神医療産業に対し、被害者や家族、市民の声を強くし、真相を明らかにしていきたい。

草々


デモ行進の予定
日付:2009年8月1日(土曜日)
集合場所:聖蹟公園(品川区北品川 2-7-21、京急新馬場駅北口から徒歩5分)
スケジュール(予定)12:00 
聖蹟公園集合12:10 趣旨説明12:30 行進スタート13:00 品川プリンスホテル前通過(日本うつ病学会会場)13:20 高輪公園で解散

※どなたでも参加できます。 問い合わせは市民の人権擁護の会日本支部まで
 東京都豊島区北大塚2-11-7-7F Tel&Fax:03-3576-1741 info@cchrjapan.org
デモ行進当日連絡先:090-9844-3119


地図とルート



精神科医&カウンセラーの倫理違反と被害救済を考える

薬害オンブズパーソンによるパキシルの臨床試験に関する情報公開請求

2009-07-23 00:22:15 テーマ:★ブログ
  薬害オンブズパーソン会議 は、「薬害エイズ訴訟の弁護団と全国市民オンブズマン連絡会議の呼びかけにより、1997年6月に発足した民間の医薬品監視機関」であり、「医師、薬剤師、薬害被害者、弁護士、市民ら(定員20名)で構成された会議体」で、「月1回定例会議を開き、市民への危険な医薬品に関する情報提供、厚生省や企業に対する公開質問や申し入れ等」を行っている組織です。

  この組織のホームページに、2009年7月16日付で、「グラクソ・スミスクライン株式会社 代表取締役社長 マーク・デュノワイエ 殿」および「厚生労働大臣 舛 添 要 一 殿」あてで出された、「抗うつ剤パキシル錠の児童・青年を対象とした製造販売後臨床試験に関する情報の公開を求める要望書」がアップされています。

  この要望書によれば、パキシルは「効能・効果は「うつ・うつ状態、パニック障害、強迫性障害」とされているが、「小児に対する適応はなく」、「現行の添付文書」においては、「警告として」「海外で実施した7~18 歳の大うつ病性障害患者を対象としたプラセボ対照試験において有効性が確認できなかったとの報告、また、自殺に関するリスクが増加するとの報告もあるので、本剤を18 歳未満の大うつ病性障害患者に投与する際には適応を慎重に検討すること」と明記され、「小児における有効性の未確立と使用に伴う重篤な危険性が指摘されている」と述べられ、そのような趣旨から、「製造販売後臨床試験に関する情報の公開」が求められています。

  以下、その一部です(本文の一部と注を省略しました)。
 
  パキシルをはじめとするSSRIの危険性が認識されるようになった経過、その危険性の概要が、日本うつ病学会のわけのわからない文書 と比べものにならないほど極めて適切にまとめられています。さて、情報は公開されるのでしょうか。

by 「精神科医を訴えるHP」管理人
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 2009 年7 月16 日

ラクソ・スミスクライン株式会社 代表取締役社長 マーク・デュノワイエ 殿

厚生労働大臣 舛 添 要 一 殿

薬害オンブズパースン会議代表 鈴 木 利 廣
〒162-0022 東京都新宿区新宿1-14-4 AM ビル4 階
電話03(3350)0607
FAX 03(5363)7080
E-mail: yakugai@t3.rim.or.jp
URL: http://www.yakugai.gr.jp

抗うつ剤パキシル錠の児童・青年を対象とした製造販売後臨床試験に関する情報の公開を求める要望書

第1 要望の趣旨
「パキシル錠の児童・青年期大うつ病性障害に対する有効性および安全性の臨床評価 -プラセボを対照とした二重盲検並行群間比較試験-」に関し、以下の情報の公開を求めます。

(1) 本臨床試験の実施が必要かつ妥当であると判断した根拠(表記臨床試験実施の必要性と妥当性についてどのような検討を行ったのか、その内容と判断理由)

(2) 特に、臨床試験実施の前提として日本の小児における効果が期待されるとするならば、それはどのような情報をもとに判断されたのか、その根拠となる情報

(3) 試験プロトコル最新版(過去における改定内容の記録を含む)

(4) 被験者リクルートの現状(現時点までの試験参加施設名と各施設におけるリクルート人数、および各施設で用いられている被験者用説明文書)

(5) 現在までに報告されている有害事象に関する情報(発現例数および個別症例の臨床経過等に関する情報)

第2 要望の理由
1 はじめに
(1)パキシル錠の概要 抗うつ薬パキシル錠(一般名:塩酸パロキセチン)はSSRI(選択的セロトニン再取込み阻害薬)の一種であり、日本では2000 年11 月から販売され、現在抗うつ薬として広く使用されている。

 2007 年における売上高は国内抗うつ剤市場の中でも最高額(500億円)となっている。 国内製剤には10 mg 錠と20 mg 錠がある。効能・効果は「うつ・うつ状態、パニック障害、強迫性障害」とされているが、小児に対する適応はなく、さらに現行の添付文書においては、警告として「海外で実施した7~18 歳の大うつ病性障害患者を対象としたプラセボ対照試験において有効性が確認できなかったとの報告、また、自殺に関するリスクが増加するとの報告もあるので、本剤を18 歳未満の大うつ病性障害患者に投与する際には適応を慎重に検討すること(「効能・効果に関連する使用上の注意」、「慎重投与」、「重要な基本的注意」及び「小児等への投与」の項参照)」)が明記され、小児における有効性の未確立と使用に伴う重篤な危険性が指摘されている。

(2)小児のうつ病を対象とした臨床試験の実施について
  さて、海外および日本の臨床試験登録website に公開された情報によると、現在「パキシル錠の児童・青年期大うつ病性障害に対する有効性および安全性の臨床評価 -プラセボを対照とした二重盲検並行群間比較試験-」が実施されている。

 公開された情報では、本試験の目的は「児童・青年期の大うつ病性障害(MDD)患者を対象にパロキセチン10~40mg/日(初期用量10mg/日)の1 日1 回夕食後、8 週間経口投与時の有効性および安全性を検討する。」こととされている。

 対象患者は7~17 歳であり、前述のとおり本年齢層の患者においては、海外の臨床試験において有効性が確認されず自殺に関するリスクの増加が報告されている。なお本臨床試験は、日本国内のみで実施されていることも同情報に示されている。

  海外での臨床試験において有効性が確認されなかったうえに、自殺に関するリスクが増加する可能性が示唆されている薬剤について、日本の小児を対象にした新たな臨床試験を実施する必要性と妥当性は本当にあるのか、詳細な情報の開示とともに公開の場での再検討が強く求められる。

2 パキシル錠の危険性について
(1)攻撃性について
 2009 年5 月8 日、厚生労働省は薬事・食品衛生審議会 医薬品等安全対策部会に、SSRI・SNRI 服用と傷害などの他害行為との関係に関する調査結果を報告した。 この調査は、医薬品医療機器総合機構 安全部が行った調査で、1999 年(パキシルは2000 年)の販売開始から2009 年3 月末までに報告された副作用症例を検討したものである。

 調査結果では、まず“敵意・攻撃性”に該当する有害事象として塩酸パロキセチンで173 件、マレイン酸フルボキサミンでは65 件の報告があったとされている。そして、これら報告のうち“他害行為が実際にあった事例”は、塩酸パロキセチンでの26 件、マレイン酸フルボキサミンでの7 件であり、これら26 件と7 件について精査したとのことである。

 その結果、26 件と7 件のうち各2 件について、薬剤服用と他害行為の因果関係を否定できないと評価された。この結果を受け、2009 年5 月8 日厚生労働省から添付文書改訂の指示が出され、使用上の注意に「興奮、易刺激性、敵意、攻撃性」を注意喚起する内容などが追加されたところである。

 なお、“敵意・攻撃性”に該当する有害事象の中で、“他害行為につながる可能性があった事例”として、塩酸パロキセチンでは45 件、マレイン酸フルボキサミンでは17 件が報告されているが、これらについては精査されていない。また“他害行為がなかった事例”は、塩酸パロキセチン102 件、マレイン酸フルボキサミン41 件であった。

 他害行為が実際に発生したかどうかはあくまでも結果であって、少なくとも、“他害行為につながる可能性があった事例”については“他害行為が実際にあった事例”と同様、精査されるべきである。そのうえで講じるべき措置を再検討する必要がある。

(2)小児での自殺関連事象増加の危険性について 
 英国では2002 年10 月にBBC テレビのニュース特集番組「パノラマ」が塩酸パロキセチンによる「自殺企図」などの有害事象の問題を取り上げ大きな反響をよんだ。

 その後英国保健省は2003 年6 月10 日、「塩酸パロキセチンは18 歳未満の思春期・小児期の患者には有効性が認められず危険性のほうが大きいため使用すべきでない」というCSM(医薬品安全性委員会)からの勧告を受け、18 歳未満の思春期・小児期の患者には使用禁忌とした。

 また、英国につづき米国でも、FDA は2003 年6 月19 日塩酸パロキセチンを18 歳未満の思春期・小児期の患者における大うつ病性障害の治療に使用しないよう勧告した。

 これら欧米規制当局の対応に歩調を合わせる形で、日本でも塩酸パロキセチンは18 歳未満の大うつ病性障害患者には使用禁忌とされた。

 その後欧米規制当局は、塩酸パロキセチン以外の抗うつ薬全般についても臨床試験結果を検討したところ「すべての抗うつ薬において自殺念慮、自殺企図」のリスクが高まることが明らかになり、その一方で抗うつ薬の恩恵を受けている患者も少なくない」として、米国では小児患者を抗うつ薬の投与禁忌対象としないことを決定し、英国でも2005年4 月、使用禁忌措置を解除した。このような動きを受け、日本でも2006 年1 月に塩酸パロキセチンの「禁忌」項目を削除する添付文書改訂を行った。このときは以下の4 点が改訂理由として挙げられていた。

①市販後に18 歳未満の患者で自殺関連の国内副作用報告がない
②18 歳未満の大うつ病性障害患者に対する薬剤の有用性を示唆する症例報告がある
③日本児童青年精神医学会から治療の選択肢として必要であるとの要望がある
④現時点で、米国、欧州では禁忌事項に該当していない

 なお、2009 年5 月現在、医薬品医療機器総合機構が公表している「副作用が疑われる症例報告に関する情報」によれば、塩酸パロキセチンの有害事象としての自殺既遂・自殺企図・自殺念慮は、10 歳代の事例として少なくとも5 件が報告されている。すなわち上記①はすでに該当しなくなっている。

 また、コクラン・システマティック・レビュー「思春期と小児期患者のうつ病に対するSSRI」(2007 年3 月改訂)では、欧米で行われた3 つのランダム化比較試験を統合した結果、塩酸パロキセチンはプラセボに比べ、自殺関連事象が2.43 倍に増加する(ただし大うつ病性障害に使用した場合の値。95%信頼区間は1.00-5.87 で、統計学的にもほぼ有意)との結果を報告している。

 さらに同様の結果が2007 年4 月発表のBridge らのメタアナリシス論文でも確認されている。

(3)日本人での安全性に関する問題(代謝酵素欠損による血中濃度上昇の可能性)について

  塩酸パロキセチンは主に、CYP2D6 という肝臓にある代謝酵素の働きで代謝される。
 塩酸パロキセチンの代謝については、投与量を2 倍にした場合に血中濃度は2 倍以上(例:20 mg での血中濃度を1 とした場合40 mg での血中濃度は2.48)になるという薬物動態の非線形性が指摘されている。

  これはCYP2D6 代謝酵素の働きが、ある一定の投与量以上で飽和状態になるためと考えられている。また、このような代謝酵素の働きには個人差も存在することから、塩酸パロキセチンは、投与量によってまた個人によって、急激に血中濃度が上昇することが危惧される薬剤である。

 さらにCYP2D6 には遺伝子多型が存在し、遺伝子変異型の場合、この代謝酵素活性が低下するために、薬物(たとえば塩酸パロキセチン)が代謝されずに血中濃度が上昇するという危険性も指摘されている。これまでは、このような遺伝子変異型のCYP2D6は日本人には非常に少ない(1%未満)とされてきたが、近年になりYP2D6*10 というある特殊な変異型は日本人の約38%に存在することがわかってきており、このような変異型の人の場合は、やはり塩酸パロキセチンが代謝されずに血中濃度増加の危険性が危惧されている。

3 パキシル錠の有効性について -海外の臨床試験とメタアナリシスの結果において、小児の大うつ病性障害に対する有効性は確認されていない-
 GlaxoSmithKline website の“Paroxetine and pediatric and adolescent patients”には児童・青年対象での臨床試験結果が公開されている。そのうち、大うつ病性障害患者を対象としたStudy 329、377、701 のいずれにおいても、プラセボと比較した場合の塩酸パロキセチンの有効性は確認されていない。

[中略]

 なお前述のコクラン・システマティック・レビュー「思春期と小児期患者のうつ病に対するSSRI」(2007 年3 月改訂)は表1 の3 試験の結果をメタナリシスという統計学的手法を用いて統合したものである。

 その統合結果においても、自殺関連事象の増加だけでなく、そもそも塩酸パロキセチンとプラセボでは効果にほとんど差がない(大うつ病性障害に対する治療効果は、プラセボでの治療反応率を1 とした場合、塩酸パロキセチンは1.09。95%信頼区間は0.95-1.26)ことが確認されている。

 このように、個々の比較臨床試験においてプラセボに勝る有効性は確認されなかったうえに、それらを統合してより検出力を高めた方法であるメタアナリシスにおいても有効性が見出されなかったことは、臨床における使用経験に基づいて効果があったとする症例報告よりも、はるかに確実なエビデンスといえる。

 以上のように海外での臨床試験結果による知見が蓄積されている現状において、日本の小児におけるデータを得ることを目的に、新たな臨床試験を実施する必要性と妥当性は担保され得るのか? 担保され得るのであれば、臨床試験実施主体である企業および規制当局がその根拠を提示する必要がある。

4 本臨床試験実施の妥当性について
 (1)小児におけるうつ病診断の問題点 臨床試験が適切に実施されるためには、試験対象とする疾患の患者が適切な診断基準に基づいて適切に選択されることが前提となるが、小児期のうつ病という疾患概念がそもそも確立しているのかについては疑問視する声もある。

  臨床試験登録website の情報によれば、標題の臨床試験においては試験対象を「児童・青年期の大うつ病性障害(MDD: Major Depressive Disorder)」、その診断基準はDSM-IV-TR(Diagnostic andStatistical Manual of Mental Disorders-IV-Text Revision、米国精神医学会作成)によるとされているが、このような操作的診断基準(病因の特定ではなく、症状の組み合わせにより疾患の有無を決定する方法)そのものが持つ限界とともに小児期における精神疾患の診断の難しさもあり、また薬物療法を行うべきか精神療法を優先させるべきかなど、児童・青年期のうつ病治療については精神科医の間でも一定の見解が確立しているわけではない。

 このような現状を踏まえると、小児期のうつ病はいまだ適切な診断方法が確立していない疾患であり、そのため対象疾患患者を適切な診断基準に基づいて選択することは担保されず、正しい臨床試験は実施不可能ということになる。すなわち臨床試験の実施自体が妥当ではないことを意味している。

 (2)小児での臨床試験実施における倫理上の問題点
 現行の臨床研究に関する倫理指針によれば、「被験者が未成年者(20歳未満で婚姻をしたことがないもの)の場合、代諾者からインフォームド・コンセントを受けることができる。」とされている。

 そして「ただしこの場合においても、研究者等は被験者にわかりやすい言葉で十分な説明を行い、理解が得られるよう努めなければならない。

 また、被験者が16歳以上の未成年者である場合には、代諾者等とともに、被験者からのインフォームド・コンセントも受けなければならない。」となっている。また、GCPの“小児集団における医薬品の臨床試験に関するガイダンス”では、「原則として,小児の被験者から法的に定められた同意を得ることは出来ない。

 それゆえ被験者が,臨床試験に参加することに対して両親もしくは法的保護者が責任を負うことを前提にしている。

 十分なインフォームド・コンセントは各国の法律や規則に従って法的な保護者から得られるべきである。全ての被験者は,彼らが理解できる言葉や用語で臨床試験について可能な限り十分な説明を受けるべきである。

 もし適切と考えられるのであれば,被験者から臨床試験に参加するための,アセント(法的規制を受けない小児被験者からの同意)を取得すべきである。」とされている。

  本試験は、既に指摘したように、海外臨床試験では有効性の証明がなされていない薬の臨床試験であり、また試験参加者では、自殺企図や攻撃性による他害行為が発現する危険性が危惧される試験である。

 日本では、児童・青年期の精神医療において保険適応可能な向精神薬がほとんどなく大半が適応外使用であるという現状に対して、新規医薬品開発や小児の適応症追加のために国内での臨床試験が必要であるという議論は成り立つが、本試験が海外臨床試験で有効性が否定されかつ危険性が指摘されている医薬品の臨床試験であることから、実施の妥当性は強く否定されるものと考えられる。

  小児を臨床試験の対象とする場合には、成人の場合以上に、試験対象者に対する倫理的配慮と安全性確保が保証されなければならない。

 そのためには、まずは試験薬剤の有効性と安全性が少なくとも成人で確認されていることが前提となるはずである。

 塩酸パロキセチンにおいては、成人でのうつ病に対する一定の効果は認められているものの、前述のとおり攻撃性や他害行為の危険性が指摘されているうえに、小児での有効性は証明されておらず自殺の危険性も伴うことを考慮すれば、本試験の妥当性は極めて低いといわざるを得ない。

  本試験から得られる塩酸パロキセチンの大うつ病性障害に対する有効性・安全性のデータが結果として児童・青年期のうつ病患者に利益をもたらし、その利益は、試験参加者が被る可能性のある不利益を上回るとして、試験実施の妥当性が主張される場合には、そのことが被験者に十分説明され、理解が得られなければならない。しかしながら、本臨床試験での対象者は7~17 歳の児童・青年である。  

 GlaxoSmithKline のClinical Study Register に公開されているProtocol Summary for 112487(臨床試験登録情報)によると、本臨床試験では、法定代理人(主として親が該当する)からのインフォームド・コンセント取得で参加可能とされており、12 歳以上の被験者の場合は本人からもインフォームド・コンセントを取得することが望ましく、12 歳未満の場合でも本人からのインフォームド・アセントを取得する努力が求められる、としている。

 既に述べたとおり、本試験には有効性と危険性の問題点が存在しており、それらについて親および患者である児童・青年に十分な説明がなされたとしても、特に児童・青年の場合には、十分理解したうえでの試験参加の決断が適切にできるかどうかは甚だ疑問である。

 不十分な理解のまま試験参加に同意してしまう可能性も否定できず、試験参加した児童・青年に、害が及ぶリスクを負わせる結果になることが強く危惧される。

5 まとめ
  以上のことより、本試験実施の必要性と妥当性については詳細情報の公開のもとに、再検討されるべきである。また、既に実施した内容と得られたデータについては、今後の臨床および研究への情報提供として、全て公開することが求められる。

 また、本試験の実施に関しては、2006 年8 月24 日の薬事・食品衛生審議会医薬品第一部会においてとりあげられており、厚生労働省は、要望の趣旨に示した (1)本臨床試験の実施の必要性・妥当性の判断根拠、および(2)臨床試験実施の前提として日本の小児における効果が期待されると判断した根拠、について見解を明示するべきである。
以上

日本うつ病学界の反撃が始まった

2009-07-19 02:04:31 テーマ:★ブログ
   「独立行政法人医薬品医療機器総合機構」 のホームページには、厚生労働省が出した「医薬品・医療機器等安全性情報」 や、「使用上の注意の改訂指示」 、といった最新情報が出ているので、結構便利なのですが、なんと、ここには、厚生労働省の出している指示や注意にたてついているのではないか? と思えるような、「日本うつ病学界」の「反論」が掲載されています。

 まず、 「抗うつ剤の適切な使いかたについて―うつ病患者様およびご家族へのメッセージ―」(2009 年6月16日) という文書を見てみましょう。

この文書は最初に、

「新規抗うつ薬の使用によって攻撃性や衝動性や自傷行為が増す例があることから、2009年5 月に選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)やセロトニン/ノルアドレナリン再取り込み阻害薬(SNRI)といった新規抗うつ薬の使用上の注意に関する改訂が行われたことはご存知のことと思います。」

と始まり、

 「ただし、この状態は一過性のものであり、ご本人やご家族、周囲の方がこの症状を疑った際にはすぐに担当医に相談されることで対応が可能です。一般的な対応としては、担当医と相談の上、抗うつ薬を初めて服用された方は中止すること、増量された方はその前の用量に戻すことが勧められます。また、必要であれば、抗不安薬の頓服、気分安定薬や抗精神病薬を追加投与することで改善することが一般的です。」

「アクティベーション・シンドロームでみられる症状は病気そのものの症状と類似していることが多いのも事実です。うつ病及び、うつ状態ではイライラ感、焦燥感、衝動性の亢進や死にたい気持ちといった症状がみられることがありますし、双極性障害(躁うつ病)の躁状態では不眠、易刺激性、イライラ、といった症状がみられることがしばしばあります。また、治療中にうつ状態から躁状態に変化すると、躁状態の症状として、不眠、イライラ、刺激により興奮しやすくなる(易刺激性)、あるいは衝動性の亢進などが現れます。」

 と主張され、そして一番最後のページで、次のように述べられています。

「このたびの改訂は、新規抗うつ薬の使用とこれらの症状の因果関係が否定できない事例が存在したという理由で厚生労働省から製薬企業への指示を受けて行われました。皆様方も今回の報道に過剰に不安になることなく、治療にあたっての主治医からの説明をお聞きになった上で十分に意見を交換し、必要に応じて対策を講じていただくことにより、こうした問題は軽減できるものと考えられますので、ご理解のほどよろしくお願いいたします。」 

 ごちゃごちゃ書いてありますが、全体を読んでも、何を言いたいのか分からない「玉虫色」の文章のように見えて、実は、「厚生労働省が不安をあおっているが、医者と相談してどんどん薬を飲めばそれで治るよ、アクティベーション・シンドロームって、あれは副作用じゃなくて病気が原因だからね、あんな役所の言うこと、信じちゃ駄目よ」と言っているようにも読めますが・・・。

  同じところに出ている「日本うつ病学界」の理事長 野村 総一郎氏による、文書「抗うつ薬で自殺が増加するか?」 を読むと、こちらはさらに厚生労働省にけんかを売っています。

  野村氏は、いくつかの論文を根拠に、抗うつ剤の投与と自殺の相関関係がある、という主張に反論し、そんなものはない、という意見もある、と言っています。

  しかし、これは「どっちもどっち」というやつでは?

  リスクが少しでもあるんなら、投与しないほうがいいんではないでしょうか、という意見には耳を貸さないようです。
  大体、学術的な言いあいというのは、自分の言いたいことに都合の良い材料だけを集中的に集めて、あたかも自説が絶対的に正しいようなものの言い方をします。

  しかし、患者はモルモットではありません。

  そして、科学に「絶対」などというものは存在しません。

  重要なのは、患者の健康と生命の安全です。これは、学者の言い争いが決着するのを待っていられない、一分一秒を争う問題です。

  学者が「あーでもない、こーでもない」と言っている間に、薬物を投与していた患者が自殺をしようとするなら、あるいは、その危険性が少しでもあるのなら、薬物の投与を中止するのが医療ではないのでしょうか。

  野村氏は、薬物を投与しないために自殺をしてしまう人もいるぞ、と次のように脅しています。

「FDA の警告以降に米国ではこの年代の自殺死者数が増加している。また警告により抗うつ薬が控えられたり診断が見逃されたりする傾向が生まれている。FDA 警告の結果、児童思春期のうつ病の治療が消極的なものになり、結果として自殺志望者が増えたとすればゆゆしき問題であると、米国精神医学会雑誌ではEditorialで指摘している(Pfeffer, CR, 2007)。」 

 以上の学会誌を使った「脅し」も、迫力がありません。

 自殺をした人たちと薬物との因果関係は、上記のデータでは不明です。彼らが薬物を投与されていなかった、という証拠はありません。それと同時に、FDAが間違っている、という証拠を、野村氏は一つも出していません。

 厚生労働省が間違っている、と言いたいなら、そう書けばいいのに、と思いますが・・・なんだか奥歯に物がはさまったような言い方で煮え切らない人ですね。いずれにしても、この文章からは、患者の健康や生命を何とかしよう、という気持ちは伝わってきません。

 付け加えれば、この野村という人、この間放送されたNHKの番組で、「テレビに出るような精神科医は信用できませんからねえ」みたいなこと言っていましたが、「それはあなただ!!」とテレビの画面を指さしてつっこんで笑ったのは、私だけではないでしょう。ああいうことを公開の場で堂々と言う人って、何を言っても信用できません。

by 「精神科医を訴えるHP」管理人
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