男子第68回、女子第29回全国高校駅伝競走大会は12月24日、京都・西京極総合運動公園陸上競技場を発着とするコースで行われる。日本陸上競技連盟、全国高校体育連盟、毎日新聞社などの主催で、各都道府県の予選を勝ち抜いた47校がそれぞれ出場する。男子は7区間42.195㌔、女子は5区間21.0975㌔で順位を争う。
福島県は男女とも学法石川が出場する。男子が7年連続9回目、女子が5年連続5回目。男子は南東北インターハイ1500m優勝の半澤黎斗、同種目4位の久納碧、同インターハイ3000m障害5位の芳賀宏太郎ら有力選手が揃っているため、過去最高順位(1994年と1995年の7位入賞)の更新が期待されている。女性は10位以内に入ることが目標だ。

学法石川は、2015年の大会で優勝候補の一つとして名前が挙がった。遠藤日向(現・住友電工)、阿部弘輝(現・明大)、相澤晃(現・東洋大)の3人が5000m13分台の記録を持っていたからだ。インターハイ1500m優勝の田母神一喜(現・中大)もいた。しかし、優勝のプレッシャーに押し潰されて本来の力を発揮できず、不本意とも言える7位入賞という結果になった。2016年の大会は大エースの遠藤がインフルエンザで欠場し、1区の代役になった半澤も体調不良で区間最下位。総合順位はまさかの42位に終わった。
遠藤が卒業した今大会は、チームに大エースと呼べる選手は存在しない。一方で、選手層の厚さは過去最高で、5000m14分台の選手が揃っている。男子部員は64人いるが、うち30人は5000mで15分を切るタイムを持っている。5000mのタイムだけなら、箱根駅伝に出場している関東の有力大学に匹敵する陣容だ。

主な選手の名前を挙げよう。
【名前/学年/出身中/5000mPB】
・半澤 黎斗③(平一)13:58.08
・芳賀宏太郎③(大戸)14:12.78
・小指 卓也②(休泊)14:12.93
・國分 駿一②(日和田)14:14.98
・久納  碧③(郡山二)14:15.89
・横田 俊吾②(山王)14:15.91
・松山 和希①(大田原)14:16.35
・櫛田 佳希②(勿来一)14:18.51
・中澤 雄大②(石川)14:21.51
・加藤 広之③(好間)14:33.20
・吉田 勇大③(猪苗代・東)14:38.88
・近藤 聖人③(中島)14:39.59
・阿部 拓弥③(白河・東)14:40.69
・西槇 優祐②(泉崎)14:40.92
・高槻 芳照①(飯野)14:41.24
・大須賀啓悟③(長沼)14:41.77
・小川 圭斗③(鏡石)14:42.71
・宗像  聖②(蓬田)14:42.85
・武藤 晴夏③(東和)14:45.41
・吉田 陵雅①(石川)14:48.17
・関根 大地②(浅川)14:49.80
・小玉 歩葵②(泉崎)14:50.22
・佐久間雄也②(須賀川三)14:50.42

2015年は男子部員全員が福島県出身だったが、2016年以降は隣県から入学する生徒が出始めた。上記した23人のうち、小指(休泊)は群馬県、横田(山王)は新潟県、松山(大田原)は栃木県の出身だ。
松山は中学時代、栃木県ナンバー1の選手だった。地元に那須拓陽(那須塩原市)という駅伝の強豪校があるのに、あえて学法石川を進学先に選んだ。ただ、距離的に見れば、大田原市は福島市や会津若松市より石川町(学法石川の所在地)に近い。親が車で送り迎えをすれば、自宅から通えないこともない。

これだけ選手層が厚いと、松田和宏監督は選手の起用に悩むところだ。全国大会の予選会となった県大会(10月26日、猪苗代町)は、1区が半澤、2区が久納、3区が櫛田、4区が芳賀、5区が松山、6区が加藤、7区が小指という布陣になった。
一方、全国大会の前哨戦となった東北大会(11月9日、山形県長井市)は1区が中澤、2区が小玉、3区が阿部、4区が宗像、5区が吉田、6区が佐久間、7区が大須賀という布陣になった。県大会のメンバーを温存した格好だが、それでも仙台育英に33秒差をつけて優勝した。

24日の全国大会は、1区が半澤、2区が久納、3区が加藤、4区が芳賀、5区が松山、6区が櫛田、7区が小指と予想されている(陸上専門誌より)。もちろん、選手の体調や調子などで入れ替えもありうる。トラックよりロードの方が得意な選手もいるので、5000mの持ちタイムだけでは判断できない。
学法石川の特徴は、トラックのタイムの割にロードが強くないことだ。これは、練習ではロードをほとんど走らないことに原因がある。路面の硬いロードを走ると、怪我のリスクが高まる。普段からロードを走れば駅伝も強くなるだろうが、その場合、選手の延びしろがなくなる危険性が高い。このため、松田監督は「駅伝だけが競技ではない」と割り切り、練習では土の上を走らせているのだ。
各校の5000m上位7人の平均タイムは、佐久長聖(長野)が14分09秒、学法石川が14分12秒、倉敷(岡山)が14分18秒、仙台育英が14分21秒、世羅(広島)と水城(茨城)が14分27秒、札幌山の手(北海道)が14分28秒、大分東明(大分)と豊川(愛知)が14分29秒となっている。学法石川は47校中2位につけているが、前述したようにロードは強くないので、その分を割り引かなければならない。現実的に見れば、3位以内に入れば上出来だろう。

【文と写真】角田保弘