【孫崎享・米イラン開戦危機の深層】トランプ敗北➡︎ イランは全中東米基地ピンポイント攻撃が可能 | ☆Dancing the Dream ☆

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「米・イラン開戦」危機の深層を探る!
――安倍政権による国会承認抜きの自衛隊の中東派遣強行の危うさ!
――岩上安身によるインタビュー
第976回 ゲスト 元外務省情報局長・孫崎享氏 2020.1.10
https://iwj.co.jp/wj/member/archives/464910#memberB

驚くべき内容だ。
世界の報道は米国にコントロールされている。
トランプは開戦を望まず反撃をやめたため、
「軍事衝突は回避された」というのは、誤った情報だという。

トランプは反撃しなかったのではなく、反撃できなかったのだ。
今回のイランのイラク駐留米軍基地ピンポイント攻撃は、
中東全域、アフリカに駐留する米軍基地への
攻撃可能であることを示した。

イランの意思は「米軍は中東から出て行け!」なのだ。


在米大使館参事官ハーバード大学国際問題研究所研究員。(’85)
在イラク大使館参事官(’86)
外務省国際情報局長(’97)
イラン駐箚(ちゅうさつ)特命全権大使(’99)
防衛大学校教授(’02)

アメリカ、イラン、イラク…そして自衛隊…
今回の問題に関わるすべての国に関わってきた
孫崎享先生のお話の 
聞き取り要点ノートです。

ーーー

イランの長年の最大の望みは、
【中東から米軍を追い出す】こと。

トランプによる米軍のスレイマニ暗殺に対する
イランの報復はイラクの米軍基地攻撃を行った。

米・スレイマニ暗殺→イラン・イラク米軍攻撃

次はトランプが攻撃する番であるが、
トランプは戦争を回避したのではなく、撃てないのである。

イランの軍事力は米国に比して小さいので
イランは全面戦争を避けたと言われているが、そうではない。
イランによる米軍攻撃の結果、
イランは「精度の高いミサイル攻撃が可能」であることを示した。
この事態はアメリカにとって深刻な事態である。
トランプは負けたのである。

メディアは「軍事衝突は回避された」と報じた。
日本だけではなく、世界中のメディアがそう報じた。
NYタイムズ ワシントンポスト ウォールストリートジャーナル、
表題が横並びで同じだった。
なぜこのように記事の表題が統一されたのか?
記事の内容は
「米側に死傷者は出なかった」
「イランの追加攻撃の可能性は低い」
「米軍の反撃によるエスカレートを避ける」
「米側は新たな経済攻撃をする」だった。
これは記者が書いたのではなく、
米国(米軍)のリリースをそのまま書いたのである。

トランプはすでに「次期大統領選挙」に入っている。
トランプは「負け」を隠し、イランによる米軍攻撃を過少に見せ、
あと52箇所攻撃すると言っていたのに、
戦争を回避したと言い、経済制裁するに留まった。
トランプは反撃しなかったのではなく、反撃できなかったのだ。

この度の「米国vsイラン」をバーターで考えると、
「米軍のスレイマニ1人が暗殺された」
「イランの弾道ミサイルでイラク米軍基地がピンポイント攻撃を受けた」
これがなぜトランプの負けなのか?

なぜなら今回のイランのイラク米軍基地攻撃によって、
《イランの弾道ミサイルは非常に精度が高く、
 中東全体、およびアフリカの米軍基地を
 いつでも攻撃できることを示した》のである。

中東に駐留している米軍は攻撃することに主眼を置いているが、
攻撃を受けることには非常に脆弱だったのだ。
最前線に基地を置いていて攻撃を受ければ防衛はできない。
米軍はイランの弾道ミサイルを撃ち落とすことはできていない。
イランはいつでも米軍基地に着弾できることを証明した。

米国の駐留軍はイランに「人質に取られた」ようなものである。
米国がイランに対して良からぬことをすれば、
イランはいつでも中東のどこの米軍基地を攻撃できる。

イランは、中東最大の米軍基地のイラク米軍基地を攻撃し、
「中東に駐留している米軍基地を攻撃する」意思表示をしたのだ。

イランはイラクのグリーンゾーンにオフィスをもっている。
シーア派のイラク人を使ってゲリラ攻撃をすることもできる。
これならばイランによる攻撃だとは証明できないので、
この方法を取ることもできるが、
イランは、正面から、
スレイマニ葬儀のあと、弾道ミサイルを米軍基地に見舞ったのだ。

「イラン国軍」以上の戦力をもっているのが「イラン革命防衛隊」で、
革命防衛隊が、弾道ミサイルをもっている。
革命防衛隊の中の特殊作戦部隊の「ゴドス軍(コッズ隊)」の
司令官がスレイマニだった。

イランはイラクにイラク駐留米軍を攻撃することを事前に伝えていた。
そのとき、『有志連合』は逃げたのである。
イギリスなどが逃げたことは、ほとんど報じられていない。
米軍の子分は、皆、ミサイルを恐れて逃げたのである。

この度のイランのイラク米軍基地ミサイル攻撃があったとき、
イラクの議会は、米軍に初めて《撤兵要求》を出した。
在イラクの米軍の司令官は《撤兵するという文書を用意》した。
このことがリークされて、
慌てて、アメリカのエスパー国務長官は「撤兵は考えていない」と言った。

しかし、現地司令官は《イラクの米軍基地は維持できない》
と判断したのである。

今回のことで、明明白白となったのは、
イランの「弾道ミサイルの着地点が正確」になったこと。
イランは米軍をピンポイント攻撃できる。
すなわち、中東の米軍には「基地能力がない」ということ。

【イランのミサイルの射程範囲】



イランのミサイルは、中東全域、アフリカまで
射程範囲になっている。

つまり、中東全域、アフリカに駐留している米軍は、
イランのミサイル攻撃に対象となり得る❗️
今回のイラク駐留の米軍基地攻撃は、
中東、アフリカの全駐留米軍は
イランの人質となったことを証明したのだ❗️
(このことをアメリカの軍事研究家が発表している)


イランの最大目標は【米軍に中東から出て行け】だ。


イスラエルのネタにエフは、米軍のスレイマニ暗殺を拍手喝采した。
ネタにエフは「イスラエルは核兵器をもっている」と述べた。
イスラエルはいずれはイランと対峙せねばならないと考えている。
核兵器を持っているイスラエルは、
《今ならイランに勝てるチャンスがある》
《核先制攻撃をやりたい》と考えている。
核攻撃をするには自国だけではできないから
アメリカを巻き込んでやりたいと考えている。
これがイスラエルの本音。

しかし、今回のことで明確になったのは、
イランは、
《米軍基地を攻撃できる》し
《攻撃する意思も持っている》ということ。

イランは今回、
国家の意思として、自国の基地からミサイルを撃った。

イランは、アサシネーションの発祥地であり、
テロリストによる暗殺などの秘密工作にも長けているが、
今回は正面切って攻撃したのだ。

この豪胆なイランに対して、
トランプ周辺は、即、反撃は取り止めた。
要は、米国トランプ側はイランに負けた。


ーーーーーー

…つづく。

ーーーーーー

安倍政権は19年12/27、自衛隊の中東派遣を閣議決定。
現在ソマリア沖アデン湾で海賊対策に当たっている
P3C哨戒機を使い、1月下旬から活動させる他、
護衛艦「たかなみ」を2月上旬に派遣し、
2月下旬から活動開始する予定だとしている。
活動範囲はオマーン湾、アラビア海北部、アデン湾の公海上で、
防衛省措置法に基づく「調査研究」目的である。
今回は有志連合には参加していない〜としている。

これは、先の戦争と同じく
コソコソと行って起こす「事変」のパターンを思わせる。

「調査研究」「有志連合には参加していない」というのは、
国内向けの言葉でしかない。
自衛隊中東派遣はイランにとってどう見えるか?

現在の緊張した状況下での調査とは「偵察」である。
「偵察」は軍事行動の一環であるから、
撃墜されても文句は言えない。

かつて「U2事件」でソ連に米軍のU2が撃墜された。
米軍は攻撃のための武器は積んでいない、調査だ、と主張した。
しかし、調査は攻撃につながる軍事行動なのである。
イランでも米軍機が撃墜された。それも調査だった。
戦闘のためにイランの領域に入った訳ではない。

従って、自衛隊がいかに「調査研究」だと主張しても、
攻撃対象になり得る。

また、自衛隊は「有志連合」には参加しないとしているが、
護衛艦「たかなみ」がアメリカと交信しない訳はない。
交信は傍受される。
現実の軍事行動はアメリカと連携をとっている。
事実上、有志連合の一員なのである。

この緊張状態の時期に、
イギリスをはじめとする有志連合は危険すぎると判断して逃げた。
その最中に、自衛隊を中東派遣するのは愚の骨頂である。

安倍政権は、自衛隊が攻撃を受けることを期待しているのか❓
仮に自衛隊が攻撃を受けたら、何も知らない国民が、
「調査研究に行っただけの自衛隊が攻撃された!」と湧き立ち、
「憲法改正」の推進力となる事を期待しているのかもしれない。
自衛隊はイランとケンカする必要は何もない。

イランは、
「アメリカから攻撃を受けた。これに報復をする。ジハードだ」
「このジハードはアメリカの同盟国も対象だ。」
「アメリカの同盟国は余計な手出しはするな」と宣言した。
赤い旗を立てジハードを宣言したのである。