【小川淳也 明石順平が受け継ぐ正義】蘇る志賀櫻❗️国際租税の守護神「英米タックスヘイブンが癌」 | ☆Dancing the Dream ☆

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小川淳也 IWJインタビュー 2019年3月14日

⭕️小川淳也〜政治が適正に介入しないグローバル経済は猛獣だ
世界経済の傾向
中間層の不満が充満している。
(原因)
・経済成長がなくなっている。
・再分配がうまくできなくなっている。

グローバル企業は国民国家の枠を超えて、
資金と情報を集め、世界中で暴利を貪り、
人々の生活、雇用を不安たらしめている。
その利益はタックスヘイブンに溜め込んでいる。

経済のサイズと政治のサイズが合わなくなっている。
大きくなるすぎた経済に対する国際政治が存在しない。
政治が適正に介入しない経済は、もう「猛獣」だ。

ーーーーー

小川淳也
「経済が国境を越えるのに、政治が国境で止まっている」
と言っているが、

やはり、そこなのだ。
〜「表経済」だけ見ていても意味がない。
タックスヘイブンの闇に隠れた巨大な「裏経済」で
どんなマネーがどのように動いているのかを知らなければ、
必ずまた金融危機は起こります。〜と言った人がいる。

2016年末に急逝された志賀櫻
志賀櫻は、
「公法は水際で止まっている
 Public law stops at water’s edge.」
人も物も金も瞬時に国境を越える。
特に金は、電子的に瞬時に国境を超えていなくなる。
ところが、それを監督する国際法は国境で止まって、
司法管轄権をもたないことが問題だとし、
この問題に立ち向かっていた。

ーーーーー

⭕️国際課税のスペシャリスト・志賀櫻
「タックスヘイブン」という言葉を初めて知ったのは、
世界随一の国際租税分野の専門家・志賀櫻さんによる解説だったと思う。


【志賀櫻 (1949年1月19日 - 2015年12月20日)】
1970年司法試験合格、1971年東京大学法学部卒業、大蔵省入省、
宮崎税務署長、在連合王国日本国大使館参事官、
主税局国際租税課長兼OECD租税委員会日本国メンバー、
(OECD=経済協力開発機構/国際経済全般について協議する国際機関)
主計局主計官を経て、1993年岐阜県警本部長、
1998年金融監督庁国際担当参事官兼FSF日本国メンバー、
特定金融情報管理官兼FATF日本国メンバー、
2000年東京税関長、2002年財務省退官、
2002-12年政府税制調査会納税環境整備小委員会特別委員、
2005 − 弁護士登録、2010年− 國學院大學法科大学院客員教授。


志賀櫻さんは、
タックス・ヘイブンを
魑魅魍魎が跋扈する伏魔殿」と称し、
タックス・イーターを
我利我欲の亡者であり国民の税金に群がり、私腹を肥やすシロアリ
と称した。

後に2015年「パナマ文書」という
パナマの法律事務所モサック・フォンセカの機密文書が流出し、
大ニュースになったが、
その年の12月、タックスヘイブンの闇に立ち向かった
志賀櫻さんは逝ってしまわれた。

世界中探しても、
〜あなたほど、正確な知識と豊富な実体験をもって、
タックスヘイブンの実像を語れる者はいない〜
租税専門の法学者・三木義一氏にこう言わしめた、
志賀櫻さんは、
「イギリスが一番悪い!と断言しましょう」と言い切った。

強力な自治権をもった
世界最大のタックスヘイブン、シティ・オブ・ロンドンを国内に、
英国属領、及び、周辺にマン島、ジャージー、ガーンジーという
王室領のタックス・ヘイブンを抱え込んで
金融覇権を握っているのである。

ヤシの木の繁る島のタックスヘイブンが
タックスヘイブンになろうとしたわけではない。
英米がインフラを作ったのである。
実は、英のシティに次いで、米のマンハッタンが、
タックスヘイブンの2大チャンピオンなのだ。

タックスヘイブンの問題と言えば、
租税回避と思われがちであるが、
それよりも固い秘密保持法制による不透明性をついた
不正の温床になっていることの方が、
より本質的な問題なのだ。
・犯罪資金のマネーロンダリング、テロ資金への関与
・巨額投機マネーによる世界経済の大規模な破壊

世界経済は、1990年代以降、今日に至るまで、
連続的な金融・通貨危機に襲われ続けている。
これら危機の多くは、タックス・ヘイブンを舞台に、
非生産的なマネー・ゲームに狂奔するヘッジ・ファンド
その他の投機マネーが引き起こしたものである。
その淵源をさかのぼれば、
新自由主義の下で規制から解き放たれた人間の強欲がある。

経済がグローバル化しても、法律はグローバル化していない。
マネーの動きに法律が付いていけていないという現状がある。
しかも、こうした不正には、
富裕層や企業のみならず、
先進国の情報機関も関与しているのだという。


ルイス・キャロルの不思議の国のアリスの「赤の女王」は、
世界各地を植民地化し繁栄を極めた大英帝国を象徴する
ヴィクトリア女王に似せて描かれている。    挿絵・John Tenniel


そのスタイルは、まさに、この絵のように、
強欲 Greed そのもの
アングロサクソン型の資本主義である。
そもそも、資本主義というのは、金があればあるほど嬉しい、
その飽くなき欲望のために、躊躇なく富の収奪をおこなう。
人間のアニマルスピリッツです。」と志賀さんは言う。

日本国内は、どうなっているのか?
志賀櫻さんが、日本の暗部に切り込む。
志賀櫻・著『タックス・イーター-消えていく税金』(岩波新書)

志賀櫻さんは、
庶民が収める税金をむさぼり食う "タックス・イーター"
その正体は、"政官業の鉄のトライアングル"の
既得権益の集団だと言う。

政治家:官僚・財界の通したい法案を作り、
    財界から政治献金を集金、集票する。
官庁:政治家に所管の事業の許認可権の法律を作って予算を通してもらい
   財界には天下りポストを用意してもらう。
業界:官庁に補助金振り分けてもらい、租税特別措置をつけてもらう。

このタックス・イーターの主な餌場は
①特別会計
②財政投融資
③租税特別措置
④国債

一般会計と別枠の政府の裏帳簿、
各省庁に流れる不透明な 特別会計が、
タックス・イーターらの最も美味しい餌場となっている。

「特別会計」については、
誰も手をつけなかったこの金の流れを追及していた
民主党議員 石井紘基さんが、2002年10月25日自宅前で暗殺された。



2016/06/30 「民間税調」メンバー会見
司会 竹田忠 日本記者クラブ企画委員(NHK)

参院選(6月22日公示 7月10日投開票)を前に、
「民間税調」の三木義一座長(青山学院大学学長)、
田中秀明明治大学教授、水野和夫法政大学教授、
青木丈氏(弁理士)、戸田智彦氏(弁護士)が、
「投票を前に税のあり方を選挙で問い直そう」をテーマに会見した。

民間税調は、2015年12月与党税制改正大綱がまとまるのに合わせ、
「税制は役人や政治家任せでなく、
主権者である納税者自身の手で決めるべきだ」として、
独自の民間税調大綱を発表したが、

参院選に当たっての提言として、
三木義一(青山学院大学学長)座長は、
「各党のマニフェストを見ると、得票目当ての甘い施策が並ぶ一方、
財源となる税については曖昧だ」と指摘し、
提言3点を挙げた。

①安倍政権が消費税の税率引き上げ再延期を決めたことに対し
「消費増税は予定通り行うべきだった。
延期であれば法人税減税を元に戻すことなどで財源を確保し、
財政健全化の道筋を明らかにすべきだ」と延期に伴う代替措置を求めた。

②マイナンバー制度で国民に付与されるポータルサイトを利用し
「年末調整を廃止して申告納税制度に」である。
民間税調の一貫した主張は、年末調整制度により
サラリーマンが確定申告をしないで済むことが税制への無関心を生んでいる
ということだ。
来年から利用が始まるポータルサイトを利用すれば
比較的容易に年末調整の廃止と申告納税制への移行ができるとした。

③「不正防止に向けた国際課税の強化」。
パナマ文書によって国境を利用した税逃れに国民の関心が高まった今こそ、
タックス・ヘイブン規制を強化すべきとした。
EU10カ国が実施を準備している金融取引税を導入すれば、
行き過ぎたマネーゲームを抑制し、巨額の税収増も可能だとして実現を促した。
タックス・ヘイブン問題といえば、
民間税調の中心メンバー、志賀櫻弁護士こそ国内第一人者だった。
その志賀さんが2015年末に亡くなり、
三木代表は「民間税調大綱は彼の『遺言』そのものだ」と紹介した。


⭕️日本の税制にもの申す組織・民間税制調査会(民間税調)とは❓
民間税制調査会というのは、
水野和夫、三木義一を共同代表として、
志賀櫻、田中秀明、青木丈、峰崎直樹らが
まず中心になって立ち上げた研究政策提言集団。
税制を主権者である納税者の目線から分析し、提言する。(民間税調HPより)

※三木義一教授は、2010年民主党政権下で
政府税制調査会専門家委員を務めた。

⭕️民間税調 メンバー11
最若手メンバーに、あのモノシリン・明石順平弁護士がいる!





【重要動画‼️】志賀櫻〜国際租制度、国際金融システムとタックスヘイブン
2014年3月6日 JCJ出版部会が開いた 志賀櫻 講演

志賀櫻の貴重な講演の一部、
肉声を文字化してみた。

志賀櫻
「タックスヘイブンに隠されている資金規模は、
それに対してタックスジャスティスネットワーク試算によると
21兆ドル〜32兆ドル。
OECD 試算による世界経済規模は70兆ドル(フロー)
日本は5兆ドル、アメリカが15兆ドル、日米合わせて20兆ドル。」

「タックスヘイブンは国際経済のシステムから弾き出す必要がある。
タックスヘイブンと取引することに対して課税をするのも一つの手。
911のテロの後、アメリカ政府はタックスヘイブンを経由する資金を
止めようとして、ケイマン諸島なんかには非常に強い圧力をかけている。
ケイマン諸島はアメリカの圧力に屈して法律を改正せねばならないが、
オバマ大統領がケイマン諸島のパステルカラーのビルの中に
1万2000の企業があると指摘する演説をした。
そうすると、ケイマン諸島の金融庁監督庁長官が、
デラウェア州ウィルミントンのノースオレンジst. 〇〇番地にある
アメリカのビルが2万登録されている、と答えたという。
結局、マンハッタン ウォールst.とシティオブロンドンが、
自国の政府に働きかけて、
片方ではタックスヘイブンを退治せねばならないと言いながら、
片方では自国の利益のためにタックスヘイブンを利用しているわけである。
なかなか難儀な世界だ。」

「アメリカの財務長官でルービンとか、ポールソンなんて、
そもそもゴールドマンサックスから来ている。
ルービンは、そのあとシティーに行った。
ウォールst. の利益代表みたいなのが財務長官をやって、
こういう問題に取り組め!とか言っているわけだから、
こっちも半信半疑になってしまう。」

「タックスヘイブンがそういう形で飯を食っていくという事を
許さない!という事をしないと、
要するに地下経済、というのかな。
目に見える経済と、ぜんぜん別に 裏に巨大な規模の経済がある訳だ。
20~30年も前の昔、イタリアの地下経済が問題になった事があるが、
それは、掌握できないから、地下経済なのである。
今回、こうやってICIJがウィキリークスという、
いわば違法行為スレスレみたいな事をやってデータを暴き出した為に、
とんでもないことが皆が知らない所で起こっているんだと、
そればかりか、それが自分たちに被害を与えているんだという事が、
解った訳だ。
ひとつは、リーマンショックの様に経済混乱を招く事、
それから、大企業がちゃんと税金を納めてないから
我々の税負担が増えているのである。」

※ICIJのデータベースの衝撃的のスクープを放ったガーディアンは、
British Foreign Office(即ち英国諜報部MI6)が、
タックスヘイブンのブリティッシュバージンアイランドを
使っている事を発見。志賀の推測で書いた事が証明された。
※中国は習近平、温家宝を始め、
党幹部の親族の名前がズラリと出た。
※日本は東北電力、東京電力を始め大企業の名が総出で並んだ。
日本は主にケイマン諸島を使う。
https://blog.goo.ne.jp/kimito39/e/00f628c0d03910946cb512b7b92a396e

「アップルやグーグルなどを見てもらえば分かる通り、
もう多国籍企業じゃない。無国籍企業だ。
どこにも自分たちが帰属しているという意識がなくて、
ともかく金さえ儲かればそれで良いと、
そこには、公共のためにとか、皆の福祉みたいな事は、
夢にも考えてもないわけで。」

「それは、いくらなんでも不正義だろう!と、
その まあ、私は怒っておるわけです。(照笑)」
こういう事が起こっているという現状を
皆さんに伝えていきたいと思っております。」

「ICIJのウィキリークスで引っ張り出してきたデータというのは、
例えば、目黒の Abeさんという人が使っているには、
〇〇トラストだとかいうような
ブリティッシュバージンアイランドに所在する中立ち人。
それがパートナーシップや信託を作ったりして、
その中にどういうルートか分からないが金が入って来て、
しょっちゅう株主が入れ替わっている。
日本の有名商社なんかも設立して、引き揚げて、また増資して、
みたいな事を、どんどんいじくり回している形跡が明らかに見て取れる。
それの最初から最後までそのルートを辿る事ができるが、
ただ250ギガバイトというのは凄まじい量なので
チェックするのは大変な作業だ。」

「昔は脱税した金というのは、隠すのが大変だった。
金丸信の時は、割引金融債券というのがあって隠せたんだけれど、
キャッシュを隠すというのは大変なこと。
ただタックスヘイブンを利用できるということになると、
例えば、五稜会が50億円スイスの銀行に隠していたなんて、
今から見ると、屁みたいな話で、
AIJの時の国税庁OBの税理士が報酬でもらっていたのは22億円だとか、
五稜会なんて可愛いもの。
悪い事をしようと思って知恵を絞るというのは、
大金持ちの所にそういう事を専門とする人が勧誘に来るのである。
ある程度 小金が貯まって銀行が、こういう所に投資してはどうかと
投資信託などを勧められているうちは可愛いが、
とんでもない金額が転がり込んでくると、得体の知れない人がやって来て、
ケイマンとかブリティッシュバージンアイランドの投資ルートを勧める。
その投資ルートが正しいのか正しくないのか、
東京地裁、大阪地裁、名古屋地裁などで分散して訴えて提起しているケースは
個人的にも知っているが、
フィルムリース事件、航空機リース事件などが有名で、
判例の中身を見て驚くのは、そのスキームを作って合法的な租税回避をする
タックスシェルター商品を作る人いて、
そのタックスシェルター商品を買う人が
半端な数ではなくウヨウヨいることだ。20〜50人といる。
これは〈日本は1億総中流だ〉と言っていた時代では考えられないこと。
1%と99%かどうかは知らないが、
大変な大金持ちの個人は、そういう事をしようと思うだけの
国際的に金を動かすことはできる。
ただし唯一 危険なのは、それ自体が詐欺である場合があるのである。
これは守ってもらえないので、恐ろしいことだ。
まあAIJだって、その一つの例だった。
誰がタックスシェルターを作るのか?
銀行マンは日本の銀行は日本の金融危機の時以来、
金融庁が締め上げ過ぎているので出てないが、
普通、出てくるのは元 証券マン。
AIJもそうだったし、オリンパスも、大王製紙もそうだったが、
そういう技術を若いうちに磨いて独立して、
タックスシェルター商品を編み出して売って回ると。
それはアメリカでは普通にあって、タックスシェルターを売る奴は、
一定程度、登録しろと内告サインボードに書いてあるくらいで、
日本もアメリカ支店に勤務してアメリカのやっている事を見ているし、
帰国子女など、そういう人が指南するというのはよくある。
まあ、通常やっているのは、証券マンと国税庁OB税理士。」

「BEPSとFSBは車の両輪だというのを
気がついているのかな、というのが不安な事がある。
BEPSは2年間のうちにやれねばならないが、
イギリスが後ろからアメリカの足を引っ張って
全く崩壊する恐れが排除できない。
FSBもチンタラやっていて進んでいるのかどうか分からん。
グローバリゼーションというのは、本当に手に負えない代物。
どうすればいいんだ?と言われたら、
イギリスとアメリカをお白州に引きずり出して、反省を求めるしかない。
財務長官がゴールドマンサックスから来ているようでは、
キチンとした取り締まりをやるわけがない。
冗談もいい加減にせい!ちゅう話だ。」

※OECDのBEPS15項目のアクションプランは、
国際租税制度の総見直しで、
民主党オバマ政権の内の(共和党では難しいので)2年間で、
やり終える必要があった。
「たぶん4〜5人は死人が出るでしょうね」志賀は飄々とした口調で言った。

「マイナンバーを入れても、
事業所得が国境を越える話と、
海外に所在する資産を把握することは、
全世界の税務当局、金融当局が協力しない限り絶対に無理だ。
特に、そういう事を簡単にしているのが
タックスヘイブンなのである。」

タックスヘイブンに金が入っていかないようにするという事が、
私は一番大事だと思う。
要するに、タックスヘイブンを世界経済のシステムの中から
弾き出す以外にない。
〈裏経済〉の方が、〈表経済〉より大きいかもしれない。
表経済を眺めて、経済分析をやっていても、何の意味もなくて、
裏経済でどういうマネーがどういう風に動いているのかを掌握できない限り、
この20年間 続いてきた金融危機というのは、また起こる。
また 簡単に起こる!


「掌握できないだろう。というのは全くそう。
FSBの中でリーガルエンティティ アイデンティファイア(LEI)の話が出ていたが、
※(“legal entity”法人(組織)"identifier" (識別子))
さりげなーく、これが入れられている。
しょうがないから、こういうのをやってみようという話でしかない。
これは、日本のマイナンバーと同じで、
法人だからプライバシーはないということかも知れないが、
日弁連に所属している人間としては、こういう風にナンバリングをして、
プライバシーが平気で踏み躙られる仕組みになっているというのは、
どうしても反対ざるを得ない。プライバシーの方が大事じゃないかと。
同時に、世界規模で裏経済が地下水脈で色んな悪い事をしてるのを
追っかけなければ、一般庶民の日々の生活は守れない訳で、
アジアの金融危機の時だって、
ジョージソロスが一人いるが故にタイが倒れ、インドネシアが倒れ、
韓国までIMFの管理下に入った訳である。
それで、一般庶民は物凄い苦労しているわけではないか。
二つの要請って、完全に矛盾している。
私はどうすればいいのかと考え込んでしまう。
このLEI というのは、半端には考えてはいけない話だと思う。」

ーーーー

公法は水際で止まってしまい、
タックスヘイブンの暴挙を止められない。
その対策として5つをあげている。

①条約法
公法の制約を外すために条約を使うのがオーソドックスなやり方。
典型的なのは、税務行政執行共助条約がある。
・情報交換 ・徴収共助・送達共助
脱税した人が国境を超えて逃げて行ってしまった場合も、
その人の税金を徴収してくれる仕組み。
②BEPS
世界の「国際租税制度」によって、節税スキームとして使われている、
ダブルアイリッシュ・ウィズ・ア・ダッチサンドイッチの
ようなタックスヘイブンを退治する。
(米マンハッタンと英シティの問題が横たわる)
③FTT 金融取引税
http://isl-forum.jp/wp-content/uploads/2017/06/EU-FTT_tsuda.pdf
欧州委員会の案
・金融機関の株式(0.1%)、債権(0.1%)、デリバティブ(想定元本の0.01%)
 などの金融商品に課税する。
・計算上350億€の税収が見込まれるが 枠組の統一が難航。
・ユーロ建て金融商品取引および11カ国の銀行
 またはその海外支店との取引を、取引が行われる場所に関係なく
 課税対象にする。
公法が水際で止まらない仕組みになっている。
日本もEUの法律で課税対象になる。
満場一致が原則だが、EU 28カ国の3分の1の国が集まると、
その中で決議できる。11カ国が集まって議論している。
英オズボーン蔵相はこれに抗議し欧州司法裁判所(ECJ)に提訴したが、
ECJは判例法の創出に積極的でEU条約違反でないと棄却。
米はFTTは反対。
二大タックスヘイブンのマンハッタンとシティが反対している。
IMF(国際通貨基金)も米の言いなりなので反対している。
フランスは単独で、FTTを導入した。
独メリケルが仏オランドと会談しFTT実施の共同案を出した。
④FATCA
米国の外国口座コンプライアンス法(2013年施行)
IRS(国内歳入庁)と外国の金融機関との間でFFI契約を結び、
協力米国人口座は情報提供に提供するが、
非協力口座には30%の源泉徴収や、非協力口座の閉鎖をするという法案。
「公法は水際で止まる」という原則を無視して、
勝手に日本の金融機関にアメリカ人の口座に30%の源泉徴収をかける
という事を決められている。
日本の金融機関は個人情報保護法の問題があるし、
30%の源泉徴収や口座閉鎖などをしたら訴訟になると
びびってしまい、日米共同声明によって、
一応、了承するが「租税条約」で処理するようにし、
情報を求められれば日本の金融機関に情報提供させる、
とした。(モデル2)
英、独、仏、スペインが、これは良い法案だと、
FATCAに合わせて、国内法を整備したが、
アメリカにも同じ様にするよう求め相互性を確保した。
これをIGA(モデル1)という。
⑤FSB
BEPSとFSBというのは、タックスヘイブン対策の両輪。
FSBとは2009年4月第2回G20サミット ロンドン会議のマンデート。
FSFの拡充強化。バーゼル(金融監督)、IOSCO(証券監督)、
IAIS(保険監督) 。金・証・保の監督機関を取り入れた。
IMF・世銀、BIS、IAIS(会計基準)も入った。OECDも入った。
カナダ人でカナダの中央銀行総裁のカーニィが議長。
カーニィはカナダ人でありながら国籍を変えて、
公募によってBOE(イングランド中央銀行)総裁になった。
・バーゼルⅢ ・シャドーバンキング
(投資銀行、ヘッジファンド、SPVなどの金融業態)対策
・店頭デリバティブ市場改革
・システム上重要な金融機関の監督(日本の銀行では三菱、三井)
・LEI(リーガルエンティティアイデンティファイア)法人識別子
 =マイナンバー制度に似たもの




志賀 櫻 (著書)
『詳解 国際租税法の理論と実務』(民事法研究会2011)
『日銀発金融危機』(朝日新聞出版2013年)
『タックス・ヘイブン』(岩波新書2013年)
『タックス・イーター』(同2014年)
『タックス・オブザーバー当局は税法を理解しているのか』
(NP新書 2015年)