外国特派員協会 記者会見
国際人権NGOヒューマンライツ・ナウ理事長で、
青山学院大の申惠丰教授(国際人権法)と
徳岡宏一朗弁護士が、
緊急声明を発した。
この声明の賛同者は、学者や弁護士などの233人。
国際法学者・申惠丰(しん へぼん)教授より
以下のことが述べられた。
声明の主旨
世界的のも最悪の水準の債務超えるなか、
安倍政権による
過去最大規模の軍事費とアメリカ製兵器の爆買いは、
憲法と国際人権法に違反する。
防衛費の膨大な増加に抗議し、
教育と社会保障への優先的な公的支出を求める。
●憲法違反
安倍政権は、
F35戦闘機などをアメリカの言い値で爆買い。
これらの兵器購入は、後年度負担による
“分割ローン”払いにしている。
これは、憲法に反した行為である。
憲法86條
「内閣は、毎会計年度の予算を作成し、国会に提出して、
その審議を受け議決を経なければならない。」
●米製兵器爆買いでさらに財政赤字 国民貧困
安倍政権は、
世界的にも最悪の状態の財政赤字は、
トランプの要請で対日貿易赤字を解消するために、
米国製兵器を購入し、さらに逼迫し、
生活保護や年金などの福祉予算を削減で、
貧困が広がっている。
●教育費
学生が多額の借金を負う奨学金や、
大学交付金削減などの
教育予算は、先進国の中でも最も貧弱なままである。
●国際法違反
福祉や教育予算を削減し、巨額の予算を兵器購入に当てる政策は、
憲法と社会権規定に反するだけでなく、
国際人権社会権規約にも反する。
○膨大な防衛費増加と予算の使い込み。
・防衛費は安倍政権下で6年連続増加し、
2016年度予算からは本予算単独でも5兆円を突破している。
・防衛省は、災害対策や復旧対策などに使える補正予算を
本予算だけで賄いきれない、法外な提示価格の米製兵器、
戦闘機や輸送機、オスプレー、ミサイルなど購入に充てている。
2014年以降は毎年2000億円前後の補正予算を計上。
・これらを次年度以降の付け回しのローンで買っている。
国産兵器購入と合わせると、兵器ローンの残高は、
2018年度予算で5兆800億円となり、
防衛予算そのものに匹敵する額に膨れ上がっている。
・米国へのローン支払いがかさむ結果、
防衛省が国内の防衛企業への装備品代金の支払いを
延期を頼む事態にまでなっている。
・12/18には今後5年間の中期防衛力整備計画は、
過去最高となる27兆4700億円の防衛予算を盛り込んだ。
F35購入も11月末に1機100億100機購入計1兆円の
見込みとしていたが、12/18には、105機 計1兆2000億と
さらに膨れ上がった。
・日本の赤字財政状況は、
歳入のうち国債の依存度が、約35%を占め、
国と地方の抱える長期債務残高は、
2018年度末で1107兆円。対GDP比、約2倍に達するという。
他国の赤字解消のために兵器購入を重ねて自国の予算を投じるのは、
常軌を逸した行為である。
○近隣国との国際関係
・北朝鮮、中国情勢を軍事力増強の理由にしているが、
それ自体が近隣国の警戒感を高める危険な政策である。
朝鮮半島ではむしろ緊張緩和の動きがある。
・際限のない軍拡は、近隣国の警戒感を高める。
憲法9条や武力の威嚇を禁じ平和的解決を旨とする
現代の国際法に反する。
○福祉切り捨ての現状
・生活保護費や年金受給額を引き下げている。
生活保護費は2013年からの引き下げに続き今年10月から
食品などの生活費に充てる生活扶助を最大で5%に
3年間かけて引き下げることとして、
生活保護世帯の7割の生活扶助費が減額されることになる。
・削減にあたって、削減された生活保護費が最低限の生活保障の
基準を満たすのかどうかの十分な検討はされていない。
厚生労働省の生活保護基準部会の報告書が提起した疑問は、
反映されていない。
母子世帯や高齢者世帯を含む需給当事者の意見を聴取することも
一切していない。
・生活保護減額160億削減を見込んでいるが、
国家財政全体としてみれば、青天井に増加している防衛費、
とりわけ米国からの兵器購入を抑えれば
全く削減の必要はなかった。
・日本の国家財政は、米国の兵器産業のために
用いられるべきではない。
国民の生存権よりも、同盟国アメリカからの
兵器購入を優先するような財政運営は根本的にまちがっている。
○主要国で最も貧弱な日本の教育予算
・GDPに占める教育への公的支出の割合は、主要国の中で
例年、最下位である。
日本は高等教育の授業費がOECD加盟国の中で最も高い。
過去10年授業料は上がり続けている。
日本では高等教育学の支出の68%が家計によって支出されている。
OECD加盟国の平均30%の倍を超える。
・給付型奨学金が2017年にようやく導入されたが、
対象は、住民税非課税世帯に限られ、僅か2万人、
給付額は月2万〜4万円に過ぎない。
大学生の75%は私立大学で学んでいるが、
国の私学助成が少ないために家計の負担が大きく、
奨学生のうち無利子奨学金を借りられるのは15%に過ぎない。
多くの卒業生は奨学金のローン返済に苦しんでいる。
・OECDによると卒業時の平均的負債額は、32170ドルで、
返済には、学士課程の学生で最大15年を要する。
OECD加盟国の中でも最も多い額の負債である。
2011〜16年の5年間で15338人が奨学金に絡んで
自己破産している。
・国立大学法人化のあと、その基盤となる運営費交付金も
年々、削減されている。
任期付き教員が増加するなど、大学の研究に支障を来している。
・高等教育だけではなく、教育予算は全体に極めて貧弱であり、
人員が少ないため、公立の小中高等学校では半数以上の教員が、
過労死レベルで働いている。
○日本は社会権規約に違反している
・憲法25条は、国民の生存権を保証している。
また、日本が批准している社会的、経済的、文化的権利に関する
国際規約、社会権規約は、社会保障についての権利、
適切な生活水準に関する権利を認め、
国は、これらの権利の実現のため、
利用可能な資源を最大限に用いて措置を取る
義務があるとしている。
・権利の実現する措置を後退させることは、
規約の趣旨に反する。(後退禁止原則)
・このような観点から社会権規約委員会は、
2013年の総括所見で、
日本の社会保障の大幅な削減に懸念を示している。
日本の最低賃金の平均水準が、最低生存水準、
および生活保護水準を下回っていることや、
無年金、または、底年金の高齢者の間で
貧困が広まっていることにも懸念を表明した。
・2018年5月からの生活保護費の引き下げについて、
極度に貧困な特別報告者を含む国連人権理事会の
特別報告者、4名が連名で、
日本の国際法の義務に違反すると声明を出し政府に送った。
○まとめ
後年度負担まで組んで、膨大な額の兵器を購入し、
国家財政を逼迫させる一方で、
十分な検討も経ずに生活保護を引き下げ、
極めて貧困な教育予算を放置し引き下げることは、
憲法の平和主義、人権保障、財政上の原則のみならず、
国際法条の義務である社会権規約に反している。
我々は、安倍政権による防衛予算の異常な運営に抗議し、
反対の意を表明すると共に、
教育と社会保障の分野に適切に予算を振り分けることを
強く求める。
徳岡宏一朗弁護士から
防衛費増大による
福祉、教育へのしわ寄せが起きている現状を
現場から2点の例を報告された。
●政府が「生活保護は恥」意識を植え付ける
・日本弁護士会は、ホームレスの方に
生活保護申請を勧める活動をしている。
安倍内閣の片山さつき大臣を中心として、
「生活保護者叩き」が数年にわたって行われてきた。
・定住できる家、定期的な収入が得られるにも関わらず、
ホームレスの方は「生活保護を受けたくない」と仰る理由は、
政府の要人が中心となって、
「生活保護を受けることが、権利ではなく、
〈恥〉であるかのように扱われるという風潮」が
日本に蔓延していることによる。
●弁護士になっても奨学金ローンが返せず廃業
・ロースクールの教授をやっていたが、
弁護士、検事、裁判官を目指す若者が20年前に比べ、
数分の1に減った。
ロースクールを卒業する奨学金が数万ドルあるが、
弁護士になってもその借金を返せず、
廃業する先輩が続出しているからである。
・防衛費を増大するような余裕は日本にはないのである。
福祉にも教育にもしわ寄せが来ているという例を
二つ挙げた。
●格差の原因は税制の問題
・税制が逆進性になっている。
所得の高い人よりも低い人に、
より負担の割合が大きい消費税をupし続け、
そこで得た財源を法人税減税に使ってしまう。
法人税減税にシフトし続けているには、
アメリカのトランプ政権と安倍政権は軌を一にしている。
・消費税のような間接税を全く認めていないわけではないが、
直間比率のバランスの良い税制というのが必要である。
所得税の最高税率は約30%減ってしまった。
累進課税で直接税の法人税の税率も下がる一方である。
消費税が安定して福祉などに支出されるのであれば良かったが、
今の現状は、消費税のup分が全て法人税減税に使われている。
・安定した財源として、富裕層への資産税(富裕税)、
金融資産への課税のような手段があるにも関わらず、
具体的には検討されていない。
大企業の内部留保も数百兆円という規模に増えている。
いわゆる「貪欲資本主義」のような状態になっている。
内部留保への課税がされることによっても、
日本の課税制度の歪みが是正されると思う。
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安倍の本音「税金は国民から吸い上げたもの」
そして、
日本が、爆買いした、
1機100億という高額な、
ロッキードマーティン社のF35は、
使い物にならないポンコツである。
米国防総省が1月に議会に提出した報告書によると…
・F35は納品先にスペア部品が届かずに飛行できない問題が多発。
任務の際にF35が稼働できる確率は50%前後だった。
・F35」に搭載するソフトは複雑で数十回に及ぶテストを経ても
重要な欠陥が残っていると指摘されている。
・9月には米サウスカロライナ州で訓練中のF35が
墜落する事故も起きた。