再考・Heartbreak Hotel (和訳) | ☆Dancing the Dream ☆

☆Dancing the Dream ☆

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with ☆Michael Jackson☆

『Heartbreak Hotel』という楽曲は、
自伝的とも言われるマイケル作品の中でも、
その原点のような楽曲だと思っています。

そして、『Heartbreak Hotel』は、
エルビス・プレスリーの名曲と同名であり、
曲中にも暗示されているように、
プレスリーと同じような道を辿るのではないかと、
マイケルが怯え、本作リリースから29年後に、
自らの運命の悪い予感が的中してしまったことを思えば、
あまりにも、霊感を帯びた呪詛的な曲に思われてなりません。


とても、難解な詞で、
この曲について書くのは、
さて、何度目でしょう?

マイケル狂の自主練のようなもので、
訳してみては、しばらく時間を置くと、
また疑問が浮かんでくるのです~(^▽^;)


さて、この詞を解釈するにあたって着目する
一番のポイントは・・
ストーリーの主人公である『Heartbreak Hotel』にやって来た
"We(ぼくら)"というのは、いったい誰なのか?という点です。

私は、 "We(ぼくら)"とは、
①「マイケル」と、 
②目には見えない「マイケルの内面に存在する子供」
この二人(We(ぼくら))である。
・・と解釈します。

少々、混乱しそうですが、
マイケルは、いわば心理学的な視点から、
霊的な存在を実在するかのように描いているのだと考えます。

「マイケルの内面に存在する子供」とは、つまり、
彼の「子供の心」「魂」のようなもののことです。

詞中では、その子供について、
"my baby" "this girl" "my soul" "my heart"というように
言葉を置き換えて表現されています。

他のマイケルの楽曲や、エッセイなどにも頻繁に用いられる
"my baby" という言葉の多くは、単に恋人に対する呼び名ばかりではなく、「誰もが、本来、心の中にもっている子供」を指しているのです。

"my baby" という言葉に隠された意味をそのように解釈すると、往々にして甘いラブソングだと思われている楽曲にも、実は、隠されたマイケル思想が編みこまれているのを感じることができます。

そして、この"my baby" という言葉の暗喩は、『Heartbreak Hotel』から始まり、
私の分析では、それ以降に作られるマイケル作品には、このミーニングが貫かれます。

そして、作品の総体から、
まるでオーケストラのように
誰もがもつ「my baby=子供の心」こそが
「真実」「愛」「神」のごとく尊いのだ。という、
マイケルのメインメッセージが強く伝わってくるのです。

それは、稀代のチャイルドスター、
その名声の代償として、
子供時代をそっくり奪われた
彼自身の苦悩の人生から発せられた
痛切な生のメッセージであり、
現代社会がもつ病巣の根本原因を鋭く突いた
誰の胸にも響くメッセージだと感じます。


この思想を端的に表現した言葉があります。
マイケルの詩集『Dancing the dream』の「MAGICAL child」の中の一節です。

    Deep inside, you know it's true
    Just find that child, it's hiding in you.

    心の奥深くで 君はこれが真実だと知っているね
    ただ あの子供を見つければいいだけ
    君の中に隠れているあの子供を

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そして、
この度、じ~~~っと、
『Heartbreak Hotel』の詞を読むともなく、
見つめていると、なんだか、また、
特別にある言葉が、浮かび上がって見えてきて、
そうなると、その言葉にとりつかれてしまいまして~DASH!

その言葉とは、全く奇妙な謎の言葉、
"undercover"なんですけどね~
ここのとこ↓の。。

Hope is dead
She thought that I had cheated for another lover
I turn my back to see that I am undercover
Now I can't convince this girl there ain't no other

undercoverとは、
ふつうは「おとり」「潜入捜査」という意味ですが、
微妙ですよね~  

ずっとスッキリしない感じで
詞の中でも、最も脈絡が見えにくい、
疑問の残る 得体の知れない言葉でした。

で、一旦、通常の意味は忘れて、
under + cover
こんな風に分けてみて・・
これをじっと見ているうちに・・
ふと、あのビジュアルが頭に浮かんできました。



ブラホワのSFの「パンサーバージョン」なんですけど、
それまでの流れから雰囲気が一変する部分ですよね。

パンサーが、「地下」への階段を降りていき、
パンサーに変身していたマイケルが姿を戻し、
そこには、マイケルの深層心理の空間が広がっていきます。
蒼く暗い空間で解き放たれる、人間にも内在する動物としての"野性"が表現されています。

「地下」・・つまり、underです。

それから、↓これも!



ユロクマのSFの(5:53~)あたりから、
マイケルが、女の子の前を何故か通り抜け、
顔は帽子で覆われ、不思議に硬直した姿で、
「地下」へと階段を降りていきます。
そして、自分自身の深層心理の"アニマ"に出会います。

これも、「地下」・・underですよね。

つまり、マイケルが、繰り返し映像的に表現する
「地下=under」のイメージは、
心の底に眠っている「無意識の空間」を表しているのではないでしょうか?

このように映像で表現したものを、凝縮して、言葉によって端的に表したものが、"undercover"なのではないかと思います。

日本語にするならば、"undercoverとは、
「無意識という空間を内包している存在」という感じでしょうか。

そして、その「無意識の空間」に息づいているのが、
その人の魂である「子供」なのです。


マイケルが、その「子供」と共に、
足を踏み入れたのが、ブレイカー通りの
『Heartbreak Hotel』でした。

しかし、10年後、
ブレイカー通りにさ迷い降りた
この物語を回想するマイケルは、「僕」独りなのです。

では、和訳を!

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Heartbreak Hotel
(This Place Hotel)

1980年10月リリース/ジャクソンズのアルバム「Triumph 」より
written by MichaelJackson

[イントロ]
My footsteps broke the silence of the pre-dawn hours,
As I drifted down Bleaker St.
ぼくが寒々とした"ブレイカー通り"をさ迷い降りたとき、
ぼくの足音は、夜明け前の沈黙を破った。

Past shop windows, Barred against the perils of the night.
Up ahead, A neon sign emerged from the fog.
夜の危険を妨げる店々のウインドウを行き過ごした。
見上げると、霧の中から一つのネオンサインが浮かび上がった。

The letters glowed red hot In that way I knew so well, Branding a message into my mind, A single word, Hotel.
ぼくの馴染みのあの道の赤々と光った文字、
ぼくの心に焼印されたメッセージ、
一つの言葉、それは、Hotel。――


Live in sin
Ten years ago on this day, my heart was yearning
I promised I would never ever be returning
Where my baby broke my heart and left me yearning

醜業に生きる(罪深きライブステージ)
10年前の今日、ぼくの心は(去って行った子供)を乞い慕っていた
ぼくは 決して二度と後戻りしないと誓ったんだ
ぼくの「子供」がぼくの心を破り 千切れるほど慕うぼくから出て行った場所へ

   *Live in sin・・《口語》「 (結婚せずに)同棲する」
           「罪業を積む」「醜業に従事する」という意味。
           「僕は音楽と結婚している」とマイケルは言った。
            彼は自分の仕事「ライブステージ」を最も愛し優先し、
            彼の「内なる子供」は疎かにされたことに傷つき彼の元を去る。
            マイケルの内的葛藤が集約された言葉。

    *yearning・・存在しないものあるいは誰かを望む


As we walked into the room, there were faces
Staring, glaring, tearing through me
Someone said welcome to your doom

Then they smiled with eyes that looked as if they knew me
This is scaring me

ぼくらがその部屋に歩み入ると ご面々がそこにいて
凝視し、睨みつけ、猛烈な眼差しがぼくを貫いた
誰かが「君の運命へようこそ」と言った
そのとき 彼らはまるでぼくの事を知っていたかのような目で笑った
これがぼくを怖がらせる

We walked up the stairs still concealing gloom
And there were two girls sitting in my room
She walked up to my face
And said this is the place
You said meet you right here at noon (ooh)

ぼくらは しんと静まり返った秘密の薄暗がりへと階段を登っていった
すると 二人の少女がぼくの部屋に座っていたのだ
彼女は ぼくの面前に歩み寄った
そして 「そう!その通り!
     正午ピッタリにまちがいなくここで会いましょうという、
     それがこの場所ですよ」と言った
  
   *You said・・“You said it!” =そう、その通り!

This is Heartbreak hotel
Welcome to Heartbreak hotel
So this is Heartbreak hotel
This place is Heartbreak hotel

こちらがハートブレイクホテルでございます
ハートブレイクホテルにようこそ お越しを
さて こちらがハートブレイクホテル
これぞハートブレイクホテルでございます

Hope is dead
She thought that I had cheated for another lover
I turn my back to see that I am undercover
Now I can't convince this girl there ain't no other

"希望"は死した
彼女はぼくが他の恋人と浮気をしていたと思ったのさ
ぼくは自分が"大切なものを守るもの"であることから目を背けた
今ではもう ぼくはこの少女に、
他に方法がないことを(or 他に愛する者は誰もいないことを)
納得させることなどできはしない

   *undercover・・通常は「潜入捜査、おとり捜査」を意味する言葉だが、
              マイケル独特のクリエイティブ・ライセンスを使用したと思われる。
              under + cover=(深層・地下 + 覆う・守る)
                     =(大切なものを守るもの)シェルターのようなイメージ。
                     =(大切なものを内包するもの)

    *turn my back・・背を向ける。見捨てる。
      
    *there ain't no other・・otherが前のanother loverを指して、
                「他に愛する者はいない」という意味。
                または、there ain't no other(way)で、
                「全く方法がない。どうすることもできない。」という意味。
                あるいは両方の意味。


Someone's evil hurt my soul
Every smile's a trial thought in beguile to hurt me
This is scaring me
Then the man next door had told
He's been here in tears for fifteen years
This is scaring me

誰かの邪悪さがぼくの魂を傷つけようとしている
ぼくを傷つける為にだます試験的な考えをもった皆の笑顔
これがぼくを怖がらせる
そのとき 隣の部屋の男が言った
彼は15年もの間ここで涙に暮れているのだと
これがぼくを怖がらせる

We came to this place, where the vicious dwell
And found that wicked women run this strange hotel
There was Sefra and Sue,
Every girl that I knew
And my baby said love is through (ooh)

ぼくらはやって来た 悪徳の棲みつくこの場所へ
そして 性質の悪い女達がこの奇妙なホテルを動かしているのだと解った
セフラにスーがいた
ぼくが知っていたどの少女も
そしてぼくの「子供」は言った「愛は通り過ぎて行った」と

This is Heartbreak hotel
Welcome to Heartbreak hotel
So evil Heartbreak hotel
This place is Heartbreak hotel

こちらがハートブレイクホテルでございます
ハートブレイクホテルにようこそお越しを
さて こちらが邪悪なハートブレイクホテル
これぞハートブレイクホテルでございます

Someone said my Heartbreak hotel
This is Heartbreak hotel
Ten years ago today
This is Heartbreak hotel…

誰かが言った わがハートブレイクホテル
これがハートブレイクホテル
10年前の今日
これがハートブレイクホテル・・

Someone’s stabbing my heart
This is Heartbreak Hotel
Ten years ago today
Hurting my mind
You break My Baby’s heart
This is Heartbreak Hotel
Just welcome to the scene

誰かがぼくのハートを 刺し抜いている
これがハートブレイクホテル
10年前の今日
傷ついたぼくの心
おまえがぼくの「子供」の心臓を破壊する
ようこそお越し頂きました まさにちょうど その場面に

    
   *the scene・・この「その場面」という言葉は、冒頭の「Live in sin」にリンクする。