いつもの日常、いつもの夕方。
だけど少しいつもと違う過ごし方をした。
海辺で、夕日を見送った。
オレンジ色を残した雲と、少しずつ藍を帯びていく空。
繊細なグラデーションを描いて、空が薄く淡く闇に沈んでいくまでの一部始終を、砂浜に沿って歩きながら、岩場でカニと戯れながら、ただボーッと見守っていた。
日が落ちる速度というのは、思ったよりもずっと早い。
地平線を隔てる大陸の暗い影に飲み込まれるように、線香花火が最後の輝きを放ちながら燃え崩れ落ちて行くように、赤く灼熱した太陽が姿を消していく。
それはどの記憶よりずっと厳かで、知ってると思っていた認識よりもずっと美しく染み渡る光景だった。
若気の至りで夕日に向かって叫んだような青臭い経験のないわたしは、知らなかった。
毎日毎日、こんなふうに、わたしの知らないとこで日が暮れていくことも。

弁天島は、思っていたよりもずっと、水が綺麗だった。
底が、きちんと透けて見える。
そんな些細な感動も。
世界は、誰が思うよりもずっと広くて、複雑に出来てる。
見ようとしなければ見えないもの、知ろうとしなければ認識すら出来ないこと。
そんなものばっかりだと思う。
そして、そんなものが存在しているということさえ、結局は日々を生きるのに一生懸命になるあまり、忘れてしまいがちだ。
下らなく、取るに足らないことかもしれない。でも、そうしたものに触れることで、己の渇きに気付くこともある。
荒野に一陣の風が吹く、そんな、変化の訪れる瞬間。


今日は、のんびりと温泉に浸かり、その後はゆっくりお買い物に勤しんだ。
そういえば、弁天島まで行ったのに競艇しなかったのは、すごく珍しい。
というか弁天島に着いたときには、瓜生さんとっくに走り終わってたからなぁ(笑)。
ホテルの温泉に日帰りでお邪魔した。
平日なので貸し切り状態。
かなり長時間、占有してしゃべり倒した。
あまりに遅いのでホテルの人に心配されたくらい。
カウンターで冗談混じりにそう言われて、顔を見合わせて苦笑した。
その後、色々ショッピングしたあとに、丸亀製麺でうどん食べて、気持ちだけは丸亀なかんじになりつつ。
そんなふうに今日一日を満喫した。
…日本人に、生まれて良かったなあ。
とか言いながら、たぶんフランス人に生まれていたら、フランス人で良かったなあって、わたしは言うんだろうけど。
節操なしなのか、柔軟なのかは、表現が難しいところだと思う。

家に帰って、録画しておいた今日のレースを見た。
やっぱり、SGは、おもしろいなあ、と思う。
たとえイン全盛でも。
インが強いのはつまらないし、個人的にインが強い競艇場は苦手なんだけど。
でも、賭けていないとき、インが綺麗に押し切るのを見るのは非常に好き。
そう考えれば、イン逃げがつまらない、というのは正しくなくて、たぶんつまらない、という表現は「配当的に」という部分を装飾するんだろうと思うけど。
…こればかりはね。
信頼とリスクは二律背反だしな。
リスクとスリルは共にあり、そしてそれは勝負的な面白さと容易に比例する。

…それはともかく。
見てると、このイン全盛には外枠の不調が関係しているという気がする。
どうも外枠がスタート決め辛そうに見える。
てか、ダッシュに回った3艇が揃って遅れるなんて、別に珍しいことじゃないけど。
…でもなあ。なんだか、顕著にすぎるような。
単純にインが強かった、というよりは、アウトになすすべがなさすぎた、というのが正しいような気がする。
横一線に並んでいるなら、もう少し違った結果になったのかも。
たらればを語る気はないけど、ただ。
この理由はどこにあるんだろ、とは思う。
まだ皆が勘が合っていないだけなのか。
それとも、新モーターの影響が、こんなとこにでているのか。
…どうなのかな。
まだ、見極められない。
明日になったら、また状況が変わるのかもしれないけど。
あ、でも明日は瓜生さん1と3の内枠になるんで、まだそのままでいいや(笑)。
…しかし、2コースからの差しで46秒台、ここまでの1番時計をマーク、ですか。
小回りに差すことで一度1マークで減速を余儀なくされることを考えれば、ちょっとびっくりな数字かも。
…でも、こんなときこそ、本当は一番怖いのではないかな、と思う、ので。
どうか気を引き締めて、明日に臨んでほしいですね。