それは、常滑の初日。
常滑本場は久しぶりなので、張り切って色々歩き回ってたら歩き疲れてしまったので、椅子に座って休んでたときのこと。
近くに居を構えている予想屋さんがお客さんと雑談中、その某選手について触れてた。
その一言が、結構、辛辣で。
ちょっと、忘れられなくて。

「あいつはもうダメだ。地元の記念なのに、横断幕がひとつも出てねぇ」

…まぁ、事実、確かに、そうなんだけどさ。
そもそも、横断幕って別に義務じゃないし。純粋に、応援してるひとの好意だし。
たまたま出せない理由があったかもしれないし、郵送が間に合わなかったかもしれないし。
邪推のしすぎじゃね?と思いつつ。
そんな小さなことも、見ている人はしっかり見ていて。
さらに、選手自身のバロメーターとすり合わせて考えられてしまう。
わたしは、彼が、もうダメだなんて、思わない。
でも、買わなかった。買えなかった。
それが全てだと言われたら、否定の余地もない。
選手として名前を知られるということの陰と陽が、そこにはくっきりと浮かび上がっていたような気がして。
ただの世間話なのに、それでは済まないような重みがあった。

…でも、やっぱり、今まで出してくれてた横断幕がいきなり姿を消したら、ショックとまでは言わなくても、何かあったのかな、くらいは思うかな…。
それが地元の記念なら、なおさら。
繊細な人なら、自分が何かしたのかな?とか、不調だからそのせいで?と思い悩んでしまう人だっているかもしれないし…。
本当に、小さなことなんだけど…。
でも、それに気が付いてしまったら、意外なほどに大きく気持ちを揺さ振られてしまうことも、あるんじゃないだろうかと。

そうした意味では、いいときも悪いときも、変わらぬ声援を送って、はじめてファンって言えるのかもしんないなと思う。
何があっても、最後まで応援する覚悟。
時と共に移ろいゆく無責任な外野に何を言われても、決して折れない気持ち。

…わたし、本当に、あるかな?
ちょっとだけ、そんなことを考えてみた。