というわけで、「パコと魔法の絵本」を見に行ってきました。
監督本人が言ってた「詰め込み感」は確かにありますが、テンポよく楽しめました。泣いたり笑ったり、忙しかったです。
一見子供向けのようで、実は大人の楽しむ映画でした。
小さなお子さんも楽しめると思いますが、大きくなってからもう一度見てみると、また感想も変わるのかもしれないですね。
そういった意味では、大人も子供も楽しめる、一粒で二度おいしい、いい映画だと思います。
まぁ、だからこそ欲張りすぎだと言われたらそれまでなんですが。
サービス精神旺盛で、素晴らしいじゃないですか。

モデルの面影をうまく残してデフォルメされたキャラたちも可愛いし、そのキャラたちが縦横無尽に飛び回るのも躍動感があって楽しかったです。
ちょっと飛び回りすぎな気もしますけど(笑)。
パコは超かわいかった。
あんなたんメイク怖い。でも、えーこたんはそれをはるかに超越した存在だった。
いちばんめちゃくちゃなのは間違いなくサダヲ。あそこまでバカになるには逆に才能がいるよね。サダヲ大好き。
てか、役所広司のあの髪型はどう見ても平八にしか見えない。
てか、あんな髪型、マンガかアニメにしか存在しないと思ってた(笑)。

ここからは、真面目な話ですけど。
ダメな大人たちが、ひとりのこどものために、一生懸命になれる。
何気ないことのようでいて、本当は、それだけで十分に価値のあることなんだと思います。
…ダメじゃない大人、欠点のない大人なんて、本当にいると思いますか?
わたしは、少なくとも会ったことないし。
そもそも、欠点のないっていう美徳自体が、逆に欠点そのものだと思いますけれども。
完璧な大人になんか、誰もなれません。
どっかバカで、エキセントリックで、怖くて、不器用で。
そして、なにより、理不尽なもの。
本当は、大人なんて、そんな歪な存在にしか過ぎないんじゃないでしょうか。
こどもは、その大人から受けた理不尽を、大人になるまでずっと忘れません。受けた優しさや愛情は、すぐに忘れてしまうけれど。
でも、大人になったとき、その理不尽を司る理由を知り、許すことが出来るのだと思うのです。
その時に、忘れていた何かを思い出して。
そして、誰かに与えることができるようになる。

わたしもまた、時を回す歯車のひとつ。
いつか、誰かに、渡してあげる日がくるでしょう。
大貫が、パコにしてあげたように。
なにか、ひとつ、輝くものを。



…無邪気には許せないこともある。
正論だけで語るなら、すべては理不尽なだけでおわってしまう。
でも、いつか別の角度から眺めたら、泣きたいくらいに痛い別の真実に辿り着くこともある。
どうか、その時は、素直に痛みを受け入れてほしいと思う。
人生が、自分が主役の小さな寸劇にすぎないというのなら。
そんな瞬間に出会う奇跡がこなければ、物語は最後まで終わりを見ないのだから。