その根拠は? | 父ちゃんの食道癌…改め…父ちゃんの「せん妄」

父ちゃんの食道癌…改め…父ちゃんの「せん妄」

2013年夏、私の父親(70代)に食道腺癌が見つかる
11月に食道亜全摘手術を受け、術後の経過も順調だった

ストレス耐性が弱い父は「食べる事」に挫折

せん妄

食欲は回復したが、認知症対応型施設に入院

退院

今回はちょっと本題からは離れます。



 かかりつけ医に癌だと告げられてから、父の身内(ここではAさんとします)が

「入院なんかしたら殺される」

「抗がん剤なんかやめろ」

と毎日毎日、父に詰めよるようになりました。(この時点では、まだ、癌の病期も判明していませんでしたし、もちろん治療方針も決まっていませんでした)


 Aさんは、現代の医療に否定的です。


 積み重ねれられてきた統計と、どういう仕組みで病気を治すかという根拠のある「医療」を、Aさんは否定し、アロマオイルで何でも治ると主張します。


 癌が見つかってからというもの、Aさんは父に毎日アロママッサージを施し、ヨーグルトにアロマオイルを入れて食べさせます。


 父が大きな病院へ行き、検査を受けて帰宅すると、Aさんは

「どう?ガン、小さくなってたでしょ?毎日アロマ塗ってるんだから絶対小さくなってるはずよ!」

と、何度も言います。Aさんは本気で言っているのです。。。



「癌になった人がアロマオイルを用いて他の治療は行わずに根治した」という例があるのでしょうか?

あるとしたら、どれくらいの人がそのような行いをして、その中の何%の人が根治したのでしょうか?

そういう統計があるのでしょうか?

アロマオイルが癌細胞にどのように作用して、癌が消えるのでしょうか?


寡聞にして知りません。



「なぜ抗がん剤がいけないの?」と聞いたら、たいてい

「抗がん剤は細胞分裂の激しい癌細胞を攻撃するけれど、増殖のはやい正常な細胞も攻撃してしまうことがあるから」

とでも答えるでしょう。


 しかしAさんは

「毒だから。とにかく体に悪いから」

と何度も何度も繰り返します。

自分の思い込みに絶対の自信を持っています。

とても議論には至りません。


 確かに、抗がん剤は毒だと思います。

抗がん剤治療を受けている人は、抗がん剤が身体に良くないことは百も承知です。それでも癌の進行を遅らせたり癌細胞を小さくしたりする可能性があるから治療しているのです。

 

 Aさんの言動にはどう対処したらいいのでしょうか。

 Aさんとの長い付き合いで出た答えは、Aさんが自分の思い込みを語り出したら「おとなしく、反論せずに、聞き流す」です。

 父も母も私も、こうするしかないです。我慢して聞き流します。




 Aさんは、父をとても心配しています。

 良かれと思って、あれこれ言うのです。


 アロママッサージは、リラックスしたり気分転換したりするのによいと思います。むくみや血行不良を改善したくて行う場合にも異存ありません。

 しかし、Aさんの「アロマで何でも治る」という主張には賛成できません。



 副作用が無くて誰にでも100%根治が断言できる治療法なんて、この世にないと思います。



 Aさんの言動によって周囲の人間は余計ストレスが溜まっています。なにより、いちばん辛いはずの父に対して大きな声ときつい口調で詰め寄るのです。


 Aさんは根拠のない方法を信じ込むことで、不安な心をやわらげているのかもしれません。