住宅を共有名義にするメリット、デメリットは?

Q

新築住宅を購入するため、夫婦の貯金から頭金を出し、残りは主人名義でローンを申し込みました。申し込んだ後で分かったのですが、主人の職場では住宅手当はなく、私の職場には少額ですが手当があります。通勤手当なども共有名義であれば該当になるようなので、半々の共有名義にしたいのですが、税金面の具体的なメリット、デメリットはありますか?

A,

「住宅ローン控除」や、住宅の売却・買い換えの際の税制上の特例を受けられるメリットがありますが、デメリットとしては、あなたが離職した場合、あなた分の「住宅ローン控除」が利用できなくなり、ご主人がその分のローンの返済をすれば、額によっては贈与税がかかる心配も出てきます

 住宅ローンをご主人単独の契約から、連帯債務などご夫婦での契約に変更すれば、おのおのが負担するローンの年末残高を基にした「住宅ローン控除」(住宅借入金等特別控除)を受けられます。

 「住宅ローン控除」は、住宅の取得を後押しする制度で、一定の要件を満たす住宅を、10年以上の返済期間のローンを組んで購入した場合、所得税から年末のローン残高の一定割合の金額を、原則として10年間税額控除できる制度です。なお平成19年度税制改正では、15年間の控除方法も選択できるようになります。

適用には次の主な要件を満たす必要があります。

(1)購入した住宅は50平方メートル以上であること

(2)合計所得金額が3000万円以下であること

(3)原則として住宅を取得した日から6か月以内に入居し、12月31日まで引き続き住み続けていること

(4)一定の金融機関などから借り入れた住宅ローンで、償還期間が10年以上であること

…などです。

 ところで住宅の名義は、ご夫婦の住宅資金の拠出割合で、共有持分をきめます。共有持分を半々にしたい場合には、夫婦半々で資金負担することになります。

 住宅の名義が共有になれば、たとえば住宅を売って売却益が出た場合に適用できる「居住用財産の譲渡所得の3000万円控除の特例」が、ご夫婦おのおので適用できるようになります。簡単に言えば、住宅を売って利益が出ても、1人当たり3000万円までの利益には税金がかからないようになるのです。

 だたご質問のように、共有にはメリットばかりがあるわけではありません。あなたにお子さんができたりして勤めを辞めた場合、あなたに所得のない年には、あなた分の住宅ローン控除を受けることができなくなります。またその期間、あなたのローンの返済をご主人が肩代わりした場合、理屈の上では、ご主人からあなたへの贈与があったものとして、贈与税が課税される心配が出てきます。贈与税がかかるのは、原則として年110万円を超える金額の贈与です。


2007年1月26日 読売新聞引用)