住宅ローンにゆうちょ銀や外資証券など続々参入


2007年01月19日 朝日新聞引用

 住宅ローンに07年10月に民営化するゆうちょ銀行、かんぽ生命のほか、外資系の証券会社や金融会社が参入してくる。外資系の証券会社は早ければ2月から仕事を始める。既に住宅ローンを扱っている金融機関や生命保険会社は戦々恐々としているが、外資証券などは、今まで借りることができなかった人たちに貸せるようにするノウハウで仕事をするという。

 窓口が多くなる住宅ローンに対し、三国陽夫・元経済同友会経済政策委員長は「これからの住宅は価値を高めるということで作らなくては、内需拡大にならない。美しい街づくりという観点が必要になってきている。こうした視点を持って会社は融資をしていただきたい」と述べている。三国氏がメンバーになっている「すまい・まちづくり戦略研究会」(委員長・山本一元旭化成常任相談役)は1月12日、「こうした住宅ローンをはじめ財政、税制などの支援制度を利用して美しい住まいとまちを作っていく必要がある」と提言した。

 郵政民営化の作業を監視する「郵政民営化委員会」(田中直毅委員長)はゆうちょ銀行とかんぽ生命保険に対し、住宅ローンなどの新規業務を早期に認める方向を打ち出した。これに対し、生命保険協会は「政府出資がゼロになるまで、かんぽ生命の商品拡大は認められない」と反対しているが、損保業界は郵便局での自動車保険の販売を期待して反対していない。

 外資系のモルガン・スタンレー証券は、八二銀行や親和銀行など地方銀行約20行と組み、住宅事業に07年2月をめどにスタートする。リーマン・ブラザーズ証券も住宅ローン専門子会社「リベルタス住宅ローン」を設立し、りそな銀行と提携して06年9月から融資を始めた。日本で山一証券の商権を引き継いだメリルリンチ日本証券も西日本シティ銀行と提携して07年3月に住宅ローンに参入する。さらに、米国ゼネラル・エレクトリック(GE)傘下の金融会社GEマネーは、地銀や住宅ローン専門会社を中心に提携先を探している。

 こうした外資系の会社は、日本の住宅ローンを扱っている会社に合わない個人向けのノウハウを使い、融資先を増やす考えだ。GEマネーは英語力を測る「TOEIC」で900点以上取ると金利を最大0.2%引くなど、資格や能力に応じて金利を変えるという。

 住宅ローンについては07年の国の予算でも優遇されたが、金融機関は商売として参入している。そうした時に心すべきは日本の住宅や街づくりにどれだけ役立つかであろう。