私の大学の先輩に出口和生さんという非常に優秀な方(私は尊敬している)がいらっしゃいます。


本も、何冊か書かれ、出版されています。


その方が書かれた「続・駅前不動産屋奮闘記」(週刊住宅新報社)をいただき、読ませていただいた。


出口さんは、月に60冊位の本を読む凄い読書家でもあります。


従って、本の内容もいろんなことが書いてあり、濃いし、面白いのです。


ためにも、なります。


是非読んでいただければと思います。


内容を一つだけ紹介します。


・・・・・・・・営業は「センス」と「努力」だと思っていますが、経営は「数字」と「文書化」がその中身の九割を占めていると感じます。・・・・夢や希望の部分もたくさんあるのですが、書けばなんだか実現しそうな気がしてきました。言霊(ことだま)の力でしょうか。



 日本人が南面、つまり日当たりとか日照にこだわり始めたのいつ頃からだったのでしょうか?


江戸時代以前の日本人はさほど日当たりの悪さを気にしませんでした。

そのひとつに、日照と病気に関する知識がなかったことも考えられます。


当時はやたらと脚気(かっけ)が多く栄養面もあったのでしょうが日にあたる時間が少ないと脚気になるといわれています。

そうした医学的知識は、オランダ医学が入って初めて知るところとなるわけですが、健康維持に日照が大切だと分かったのは明治期の中ごろからで、それ以降は日照を考慮して全国の学校が南向きの校舎を造るようになりました。


大勢に流されやすい国民性というか過剰反応のしてなのか、それ以降はなんでもかんでも南面一辺倒になってきました。


たしかに日本は湿気が多い国で日当たりは大切ですが、換気・通風ができる仕組みや医学の発達で北向きであっても十分に健康的に住めるようになりました。


現在でも≪南向き信仰≫は変わらず、不動産価格も南向きか北向きかで価格が変わってきます。


欧米では北向きのマンションの方が人気が高いくらいです。

ひとつの理由として、北向きの窓から見える景色がいいというのがあります。

どういうことかというと、太陽はつねに南側から照らしています。

窓から見える北側の景色は太陽からの照明を受けている状態で見えるということです。


もちろん欧米人に南向き信仰がまったく無い訳ではなく、北欧の人が夏になると日光浴をするように、日当たりを重視する事実はあります。


太陽光がどのくらい有効か、それを最初に研究したのはドイツ人の建築家L・ヒルベルザイマーという人でした。

建物の棟と棟の間をどのくらいとっておくと太陽光が入りやすいか、年間何時間くらい太陽光を手に入れられることができるかという理論計算をして、住宅の配置計画を作ったのです。


研究成果は文献を通して日本でも活用されていくのですが、どうも日本だけに特に伝わって、イギリスやフランス、アメリカではあまり活用されなかったようです。


欧米人が南向きにそれほどこだわらない理由として町全体の景観、町並みの方を優先しているからだとも言えます。

欧米の街づくりは古い家を大切にするから中世からの町並みが今も残っています。


都市計画でも古い家を建て替えようとすれば、その外観や材料、色などをすべて復元することが法律で決められているところもあります。

居住したりする上での多少の不便さはあっても町並みを大切にする思想が、今も町全体の景観を守ることにつながっているのです。


その一方で、地震大国の日本は、安全性や耐震性も考えて、住宅の建て替えを奨励してきました。

住宅産業も潤い経済活動も活発にすることができるからです。

そして南向き重視に基づいて、次々と新しい住宅を造っていったのです。


江戸時代中期以前では、南向きかどうかのこだわりはあまりなく、むしろ間取りの上でこだわったのが風通しにありました。


日本の古い家、特に寺院などはその典型で、障子を取ると全ての部屋がつながり、風が自由に取りぬけました。

蒸し暑い季節に吹きぬける涼風も、この風通しの良さがもたらしていたのです。


最近のマンションなどの間取りを見ていると、風通しについては軽視される傾向にあります。

エアコンの普及や換気の技術の発達で、『風通しより気密性』を重視するようになってきているのでしょう。


マンション購入を考える上で、向き(方位)や階数というのは、販売価格にも違いがあり、ポイントとなると思います。


あなたのライフスタイルや家族構成によっても部屋の使い方は変わってくると思います。

日中は仕事や外出で留守が多い人であれば南向きにこだわることもなく、自分の使いやすい間取りを重視できます。


南向きや北向き・東向きや西向き色々なタイプの間取りがあります。

そこで生活する人のライフスタイルや好みも十人十色です。


あなたのライフスタイルや優先するものは何かを考えてみることが重要だと思います。