今宵はカフェのきぶんだった。ものすごぉく、ものすごぉく。

いつか誰かと一緒にいこうねなんて淡いやくそくをしていたけれど、果たされぬまま別れてしまったなぁなんて、むかしの恋人を思いだしながら、スープカレーが絶妙に美味しいカフェに足をはやめた。

そこのスープカレーは、野菜がたくさん入っていて、それも、パプリカとかオクラとか、カラフルなやつがひときわ元気をくれるんだよなー、なんて思いながら歩く。

カフェにたどり着くまでの道には、ちょっとレトロな洋服屋さんや、アンティーク家具を扱ったショップ、いつもおしゃれなアレンジで楽しませてくれる花屋、いかにもセレブのための、といったペットのためのおもちゃ屋さん…などなど、いよいゆ雰囲気を盛り上げてくれるような素敵なお店がいっぱいある。

きょうも家具屋のシャンデリアが綺麗すぎて、思わず涙がこぼれそうだった。


…ん?
あれ、今日って定休日だっけかなぁ、、。

まめ電球ひとつついていないカフェを前にして、少しだけ癒されたな予感がする。

えっ…。
よく見ると、テーブルは積み上げられ、椅子は隅っこにまとめられている。。


これは…。
すぐにそれが何を意味するものかがわかった。

たいせつなものを失ったときに感じる、こころにぽっかりと穴があいたような感覚におそわれた。

そして、さっきシャンデリアをみて泣きそうになったのとは別の涙がこぼれそうになった。

気温がもたらすのよりも、花や木々がもたらすのよりもはやく、その店がなくなってしまったことは、私に季節がめぐったことを痛いほどに知らしめた。

もうその味を味わえないとわかった瞬間、これまでよりも愛しく恋しく感じてしまうのは、まるで別れた恋人を想うようなきぶんだ。

きょうはすこし、別れた彼のことを想いすぎな気がする。
きっと、いつもより寒いせいだ。冬がすきだ、と言っていたその声が懐かしい。
このままだと、とてつもない哀しさに押しつぶされて消えてしまいそうだから、いそいで、できるだけ同じようなカフェをさがした。

前から気になってたカフェに足を踏み入れる。
この、はじめての瞬間がすきだ。期待と不安とをあわせもつ、ちょっと挙動不審なこのかんじ。


メニューをみて、安心した。ここの常連になってしまいそうな予感…☆

つぎに来る曜日や、友人や、シチュエーションまでも、想像をめぐらせてしまう。

こんなふうに、恋人もできればいいのに…☆