以前も書きましたが、

私のピアノの先生の勧めで、

ミステリー「さよならドビュッシー」を読んでいます。

【ネタバレあり?】



序盤。いま読んでいるのは、

ちょうど、主人公がリハビリを終えて帰宅するあたり。




読んでいて、「なんか、おかしいぞ」と思いました。


なんか、おかしいんです。



冒頭、あんなに丁寧に描写されていた祖父と従妹が、

両方とも、あんなにあっさりと死んでしまっていいのでしょうか?

このままでは、従姉妹がいた意味が、ほとんどありません。

ドラマ的に不自然です。

そういえば、主人公は大火傷を負い、顔は写真をもとに再形成されています。

声もすっかり変わってしまったことになっていました。

一方、従姉妹と祖父は、全身が炭化して影も形も残らないような死に方です。



なんか、おかしくないですか?



従姉妹も祖父も主人公も、実は本人以外「私が私であること」を証明できない。

だとすれば、主人公と従姉妹が入れ替わることは可能です。

主人公には祖父から6億の遺産が約束されています。

つまり、従姉妹には入れ替わる動機も十分にあります。



でも、主人公の一人称の文章ですから、

叙述トリックでも使わない限り、この説は難しい。

「あたし」が途中で、「違うあたし」に入れ替わってしまうことになります。

いくらなんでも、良識ある作者は、そんなことはしないでしょう。

(しないと信じたい)

また、序盤で動機がこんなにある人が(普通に考えたら)犯人のわけがありません。



と言いますか、犯人当てをする気は僕には、ありません。

ミステリーは好きですが、犯人当てをしながら読む趣味はありません。

ただ、あんなに丁寧に描かれた人物が、あんなに簡単にいなくなるのが、

なんか、読んでいて居心地が悪くて仕方が無いのです。こそばゆいんです。

ただそれだけなんです。



いずれにしても、従妹か祖父のどちらか、

もしくは、両方が生きている気がしてなりません。



とか書いておいて、全然違う真実があった方が、僕は嬉しい。

心地よい裏切りを期待しつつ。

さて、続きを読むとするか。