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 サンパウロで突然にも関わらず滞在を受け入れてくれた末永さん一家は、タダシさんと奥さんのユミコさん、そして娘のあゆみさんの3人家族である。
あゆみさんは一人暮らしをしているので家にはいない。
鳥取出身の両親を持つタダシさんはブラジル出身の2世、ユミコさんは6才の時に熊本県から家族で移住をしてきた1世である。
鳥取県はブラジル鳥取県人会と交換留学制度を設けており、鳥取県からやってくる生徒や日本語の先生などは末永さんの家でお世話になることが多いのだそうだ。そのせいか、人の受け入れに大変慣れている。



                  子供の園入り口


 日曜日の今日は、サンパウロの市内から約1時間離れたイタケラという町へ出かけた。
イタケラには末永さんが理事を務める、“子供の園”という障害者の養護とイタケラ・ニッケイ・クラブという施設がある。
子供の園には90名が入居しており、日本ロータリークラブなどの寄付により成り立っている。
 女性と男性の塔は別れており、車で敷地内を移動するほど広々としている。


                    入居施設


 子供の園の近くに、コリンチャスというサッカークラブの学校“Chute Iniciar”(日本でいうユース)があり、責任者のファベッロさん(彼のあだ名でスラム街の意味)と話をさせてもらった。
彼はスラム街に住む人々の手助けをサッカーや芸術などを通して行っている。
スラムに住む子供達がドラッグなどに手を染めないように、彼らの時間をサッカーや他のアクティビティに費やせるようなシステムを作っている。
施設で働く人の80%は障害者を雇っているのだそうだ。
後日彼にスラム街を案内してもらうことを約束してグランドを後にした。


            ファベッラさんから頂いたTシャツ


『日系人同士がどのようなコミュニティーを持っているか見せてあげたい』タダシさんは毎週日曜に足を運んでいるという、“イタケラ・ニッケイ・クラブ”に連れて行ってくれた。
ここは日系人が建てたクラブ施設であり、色々なイベントなどが行われている。
ここでタダシさんは週に1回テニスをしている。2面の広いテニスコートと、体育館があり、そこでは子供達が卓球の試合を行っていた。
少し見学させてもらったがレベルはかなり高そうだった。
お昼になるとそれぞれに持ち寄った食材で昼食を作って食べた。もやしサラダ、アスパラ炒め、肉と玉ねぎの炒め物、そしてブラジルのカクテル“カンピーニャス”が振る舞われた。
『日系人はどんな小さな村でも会館を持っていて、大体こうして週末はみんなで集まって話をしたり、スポーツしたり食べたりしているんだよ』
集まっている人達の中にはブラジル人もたくさんいる。
みんな日本から来た日本人の私に興味津々の様子だった。
帰るまで笑い声の絶えない楽しい場所だった。

 サンパウロに戻った午後からは、3年前にアルゼンチンで知り合ったブラジル人のロドリゴと久しぶりの再会を果たした。
人生はまた会えると思う人に会うことなく、もう会うことのないだろうと思う人と再び出会ったりするものだ。今回の再会は後者の方であるが、これも何かの縁であろう。


週末にはこうしてみんなが集まって過ごしている



☆お知らせ

ブラジル現地時間、11日~14日まで田舎の方へ出かけますので通信が途絶えます。関係者の皆様、何卒宜しくお願いします。

☆ブラジル現地時間、9/14 Radio Banzaiに出演予定です。(時間は未定ですが、今のところ夜出演の予定です。言語は未定です)


ERIKO