言霊 | ケセラセラ通信日記

言霊

毎日放送(MBS)のドキュメンタリー番組「映像‘10」で、『映像30年史・前後編』を見た。「映像‘10」は、月1回(第3日曜)の深夜枠ではあるが、「映像80」から30年続いてきているという。『映像30年史』はそのダイジェストで、主要な作品のサワリだけしか見られないのが残念だったが、題材は在日・戦争・ハンセン病・阪神淡路大震災など多岐にわたり、制作者たちの志を感じることができた。
ディレクター、プロデューサーとして、その初期の作品群を牽引されてきた温井甚佑(ぬくい・じんゆう)さんは知り合いでもあり、そのご著書『神戸新開地 幸福荘界隈~たかがテレビ されどテレビ』(アットワークス)をネットで購入した。
ケセラセラ通信日記-神戸新開地 幸福荘界隈
本書のタイトルになっている『神戸新開地 幸福荘界隈』は温井さんの代表作といわれ(残念ながら未見)、そのほかに13本の作品のシナリオも収録されている。まだ全部読んではいないのだが、その巻頭に次のようなエピグラフがあった。

死を求めもせず
死を辞しもせず
獄にあっては
獄で出来る事をする
獄を出ては
出て出来る事をする
時は云はず
勢は云はず
出来る事をして
行き当つつれば
また獄になりと
首の座になりと
行く所に行く

これは吉田松陰の獄中書簡からの引用であるという。久々に言霊(ことだま)という語を思い出した。さて私も、及ばずながら《出来る事をする》ことにしよう。