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「暴力団員の車だ」妄想で高速道路を逆走 認知症男性が恐怖体験を告白



「『少しなら大丈夫』が一番危ない。認知症なら車に乗ってはいけない」。大阪府在住の男性(76)が取材に応じ、高速道路の逆走経験を振り返った。


 4年前。大阪から鹿児島へ引っ越そうと、友人の運転するトラックに家財を積み込み、軽乗用車で追走した。男性は現在認知症で要介護3の認定を受けているが、当時はまだ認知症とは気付いていなかった。

 夜、中国自動車道を走っていたとき、山口県内で突然、友人のトラックなのに「暴力団員の車だ」と激しい恐怖を覚えた。そして、ただ逃げたい一心でハンドルを思いっきり切り、Uターンした。逆走を始めた車に周囲は大混乱となったが、男性は必死に逃げ、サービスエリアで警察に発見された。今でも、なぜそんな妄想にとらわれたか分からない。

 妄想は認知症の症状の一つ。事故当時認知症だった可能性があり、実際、事故の翌年にそう診断された。運転には自信があり、しばらく免許証を手放す気にならなかったが、妻や医者、知人らの勧めもあり24年4月に自主返納した。男性は「ちょっと怖い思いをしても、これくらい大丈夫と思いがち。でもそれが一番危ない。認知症なら車に乗ってはいけない」とする。

 独立行政法人「国立長寿医療研究センター」(愛知県)長寿政策科学研究部の荒井由美子部長は「交通手段の乏しい地域では自家用車が必要不可欠な場合もあり、『運転しないで』と一方的に説得するのは難しい。代替の移動手段を確保するためにも、自治体による支援の仕組みが欠かせない」としている。