日本語が亡びるとき 水村美苗

普段何気なく使っている日本語がどのような歴史のもとに成り立ってきたかご存知でしょうか.
本書はグーテンベルグ印刷機やフランス革命,明治維新などの
世界の歴史が言語の広まりに焦点を当てて詳しく述べられています.
そうして,日本語の価値がよく分かります.
日本語が亡びることを考えたことがあるでしょうか.
著者は夏目漱石や谷崎潤一郎など優れた作家によって発展した日本文学が
読まれなくなっていることを危惧しています.
本書を読むと日本語を大切にする心が芽生えます.

以下の文章は本書からの抜粋です.
日本語の複雑さがよく分かります.

ふらんすへ行きたしと思へども
ふらんすはあまりに遠し
せめては新しき背広をきて
きままなる旅にいでてみん。

という萩原朔太郎の詩も,最初の二行を

仏蘭西へ行きたしと思へども
仏蘭西はあまりに遠し

に変えてしまうと,朔太郎のなよなよと頼りなげな詩情が消えてしまう。

フランスへ行きたしと思へども
フランスはあまりに遠し

となると,あたりまえの心情をあたりまえに訴えているだけになってしまう.
だが,この差は日本語を知らない人にはわかりえない.

蛇足だが,この詩を口語体にして

フランスへ行きたいと思うが
フランスはあまりに遠い
せめて新しい背広をきて
きままな旅にでてみよう

に変えてしまったら,JRの広告以下である.





Do you know how to build up Japanese language you speak casually everyday?
this book describes world history like Gutenberg printing machine, the French revolution and Meiji restoration in detail, in particular, focus on the spread of language.
I learned value of Japanese language
Have you thought about to pass away Japanese language?
Author worries about that people doesn’t read Japanese literature developed by Souseki Natsume, Junnichiro Tanizaki.
If you read this book, you cherish Japanese language than ever before.

Japanese is complex.
Hiragana, Katakana, and Kanji give Japanese different taste.
France written in Hiragana is different from France written in Kanji.