徳島エンゲル楽団の新しい演奏会計画を速報します。
4月9日に鳴門市ドイツ館で演奏会を開催することになりました。


板東俘虜収容所開設100周年記念演奏会(仮称)

日時 201749() 13:30開演予定

場所 鳴門市ドイツ館1階大ホール

入場無料

プログラム

1. 行進曲「旧友」(タイケ)

2. ドナウ川のさざなみ (イヴァノヴィチ)

3. G線上のアリア (バッハ)

4. アヴェ・マリア (バッハ・グノー)

5. 歓喜の歌 (べートーヴェン)

6. 友愛の花 (高橋敏夫作詞・新川清作曲)

ほか

演奏 徳島エンゲル楽団・合唱団、NPO法人鳴門「第九」を歌う会

指揮 岡山茂幸

(プログラム・演奏者は暫定情報: 後日追加予定)


板東俘虜収容所が開設されたのは今からちょうど100年前の1917年のことでした。1914年の第一次世界大戦勃発・青島陥落後に全国各地に設置されたドイツ兵俘虜収容所が2年半後には6カ所に集約され、四国では松山・丸亀・徳島の収容所が新設の板東収容所に統合移転しました。まず徳島収容所から4月7日にハンゼンたちが移動し、翌日の丸亀および翌々日の松山からの仲間を「軽快な行進曲」で出迎えたということが記録されています。その行進曲とは、タイケの「旧友」です。この曲は現在も行進曲の名曲としてよく知られています。今回の演奏会では、ハンゼンたちが松山からの旧友を迎えてからちょうど100年後の同じ日に同じ曲を演奏するという趣向です。鳴門市ドイツ館は板東俘虜収容所跡に隣接しており、演奏場所も100年前とほぼ同じと言えます。100年前に板東に集まって旧交を温めたドイツ兵たちを元気づけた行進曲から開幕し、続く曲目は彼らが板東移転前に徳島や丸亀で演奏していた曲や、板東移転後に充実した環境で演奏した曲など、ドイツ兵俘虜たちの演奏の再現を中心とします。小編成のオーケストラと合唱のほかに独奏曲なども加えた多彩なプログラムを計画しています。詳細は後ほどこのブログとホームページでお知らせします。当日は鳴門市ドイツ館の展示も無料開放される予定です。ぜひご来場ください。


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エンゲル・松江記念市民音楽祭は、2016年11月3日(木)午後に徳島市の徳島大学常三島けやきホールで行われ、無事に終了しました。ご来場頂きました皆様、ご支援頂きました皆様に深く感謝いたします。
当日の様子は、勝ぼうずさんの撮影でYouTubeに公開していただいています。下記リンクをクリックしてください。いくつかの演奏がダイジェストで紹介されています。
https://www.youtube.com/watch?v=tA802-M5uGU&

当日は晴天に恵まれました。徳島大学での開催は3回目で、多くの方々のご協力を頂いてスムーズに準備を整えることができました。

看板


昨年から徳島大学での開催の特徴を活かして、徳島大学の先生にドイツ兵俘虜についての短い講演を依頼しています。今回は生物資源産業学部の佐藤先生から最近の研究成果をわかりやすく解説していただきました。ドイツ兵たちが整備した公園づくりの様子を綿密な調査で明らかにしたという興味深い内容でした。


引き続き徳島エンゲル楽団演奏会第1部が開演しました。今回はドイツ兵たちが1914年12月に徳島市の徳島俘虜収容所に到着して1917年4月に板東俘虜収容所に移転するまでに徳島で演奏した曲、板東移転後に演奏した曲、楽団の名前になっているエンゲルの指導を受けて当時の徳島エンゲル楽団が演奏した曲というように、時代順に曲目を並べるプログラムにしました。第1部は、徳島市で演奏された「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」の弦楽合奏から始まり、次に管楽器も加わり「ドナウ川のさざなみ」が演奏されました。このドナウ川のさざなみは、徳島俘虜収容所に隣接していた旧制徳島中学校(現城南高校)の生徒であった評論家の中野好夫氏が聴いたことを回想録に記しています。後の徳島エンゲル楽団も最初にこの曲をエンゲルに指導してもらったことも林啓介著「第九の里ドイツ村」にも詳しく紹介されています。これまでは合唱付きで演奏していましたが、今回は徳島収容所で俘虜たちが演奏したことを再現する意図で、オーケストラ版で演奏しました。

演奏中


続いて、ソプラノ歌手岡村由香さんをソリストに迎え、オペラアリアを2曲演奏しました。岡村さんのブログにも報告されています。
プッチーニの歌劇「トスカ」とビゼーの「カルメン」は、どちらも板東俘虜収容所での演奏会プログラムに掲載されている曲です。有名な部分を抜粋して演奏したと想像されますが、詳しいことはわからないため、今回は有名なアリア「歌に生き愛に生き」「ハバネラ」を選曲しました。真っ赤なドレス姿の岡村さんが登場すると、舞台が華やかになりました。(当時のドイツ兵俘虜たちの演奏会では女性が舞台に立つことはありませんでした。彼らは不自由な収容所の中で、平和な時代の華やかなオペラの舞台を思い浮かべながら演奏したことでしょう。) 岡村さんの素晴らしい歌声が会場に響き渡り、大きな拍手を受けてアンコールを1曲歌っていただきました。松江所長がドイツ兵の音楽会でリクエストしたと伝えられる「カチューシャの唄」です。オペラとは趣の異なる日本の歌を聴いて、100年前に思いを馳せることができました。


休憩後の第2部は、これも昨年と同じように紙芝居から始まりました。今回は日本赤十字社徳島県支部により、「ばんどうのコスモスー板東俘虜収容所と赤十字」が上演されました。200人の来場者に見てもらうために、プロジェクタも併用しました。この紙芝居には、徳島エンゲル楽団が演奏活動を通して後世に伝えようとしている史実のほとんどが含まれています。俘虜たちが徳島・板東で過ごした5年間のことだけでなく、戦後に高橋春枝さんが慰霊碑を発見してドイツとの交流が復活して現在に至る過程がわかりやすく語られ、感動的でした。(写真はリハーサル時のものです。)

紙芝居


演奏会の後半は、エンゲルの指導を受けて当時の徳島エンゲル楽団が演奏したと伝えられる「美しき天然」「荒城の月」をエンゲル合唱団・徳島大学リーダークライスのメンバーとともに演奏しました。そして、今年の演奏会の「主役」である、ベートーベンの「歓喜の歌」です。鳴門市が中心となって第九日本初演・アジア初演100周年の2018年に向けてプロジェクトを展開していることで、1918年という年が日本の第九演奏史で重要だということは広く知られるようになってきたと思います。その2年前の1916年、板東俘虜収容所が開設される前の徳島俘虜収容所の時代に、ヘルマン・ハンゼンが指揮する徳島オーケストラが「歓喜の歌」を演奏したことが、徳島俘虜収容所の新聞に掲載されています。このことから、徳島市における「歓喜の歌」日本初演100周年というのが今年の演奏会のキャッチフレーズになりました。少人数の楽団・合唱団によるアレンジ版での演奏ですが、この演奏形態も含めて当時の雰囲気を再現しているとも言えそうです。徳島エンゲル楽団による「歓喜の歌」と、6月に鳴門で演奏される徳島交響楽団と鳴門第九・全日本第九を歌う会の巨大な規模の第九を聴き比べていただくと、100年間の第九演奏の移り変わりが感じ取れるのではないかと思います。

下の写真は楽団・合唱団リハーサルの様子です。

リハーサル


板東で第九が演奏された後、戦争は終わり俘虜たちは解放されましたが、不幸な時代はまだ続き、第二次世界大戦が勃発しました。この戦争では日本人がドイツ人とともに捕虜になりました。ウズベキスタンで捕虜として辛い生活を体験した高橋敏治さんがドイツ人と助け合い、必死の思いで板東収容所跡の引揚者住宅に落ち着くことができました。その板東で、一足先に幼い子供たちを連れて引き揚げてきた妻春枝さんがドイツ兵慰霊碑を発見し、高橋夫妻が中心となって清掃を続けたことが、戦後の徳島とドイツとの交流の復活につながりました。そのことを敏治さん、春枝さんのご子息の高橋敏夫さんが歌詞に綴ったのが「友愛の花」です。これまでの演奏会にも高橋さんはたびたび来場されていましたが、今回はインタビューの形で直接お話を伺う企画をしました。戦争体験者としての貴重な証言を聴くことができ、今後の平和な世界をめざす上で役立てて行かなければならないと感じました。


最後に、高橋敏夫作詞・新川清作曲「友愛の花」を演奏してプログラムは終わりました。大きな拍手の中、花束贈呈の後に、100周年を記念する歓喜の歌を来場者とともに歌って終演となりました。バラエティに富んだプログラムで、来場者からも好評だったようです。


演奏会場の横の部屋では、鳴門市ドイツ館から借りたパネル資料を展示しました。充実したパネルは興味深いもので、多くの来場者に見ていただくことができました。


徳島エンゲル楽団の演奏会は、これまで年に1回のペースで「エンゲル・松江記念市民音楽祭」として開催してきました。徳島大学、鳴門市ドイツ館、日本赤十字社徳島支部、そして徳島大学の学生有志の協力を得て充実したイベントになりました。今後の企画にご期待頂くとともに、皆様のご支援をお願いいたします。



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2016年11月3日(木・祝)に徳島大学常三島キャンパスで開催予定の演奏会プログラム最終案が確定しました。徳島エンゲル楽団ホームページの情報も更新しています。

エンゲル・松江記念市民音楽祭 2016


第一次世界大戦のドイツ兵俘虜が演奏して徳島の人々に伝えたとされる西洋音楽の再現演奏会。ドイツ兵と徳島の人々との友好的交流を紹介し、徳島における文化交流の歴史を学ぶ機会を提供する。徳島俘虜収容所でヘルマン・ハンゼンが創設した徳島オーケストラが演奏した曲や、大正時代の徳島エンゲル楽団が演奏した曲を小編成のオーケストラと合唱で演奏し、当時の演奏を偲ぶとともに、その背景を展示や講演、紙芝居等で紹介する。


日時 2016年11月3日(木・祝) 13:30~16:00 

場所 徳島大学 地域連携プラザ 常三島けやきホール (総合科学部構内)

入場無料


プログラム

講演「ドイツ橋とめがね橋はなぜ作られたのか? ドイツ兵による公園作りの全貌」

徳島大学生物資源産業学部准教授 佐藤征弥

徳島俘虜収容所でハンゼンと徳島オーケストラが演奏した曲

- アイネ・クライネ・ナハトムジーク第1楽章 (モーツァルト)

- ドナウ川のさざなみ (イワノビッチ)

板東俘虜収容所でハンゼンやエンゲルが演奏した曲

- 歌劇トスカより「歌に生き愛に生き」 (プッチーニ)

- 歌劇カルメンより「ハバネラ」 (ビゼー)

紙芝居「ばんどうのコスモス~板東俘虜収容所と赤十字」

日本赤十字社徳島県支部

エンゲルの指導を受けて大正時代の徳島エンゲル楽団が演奏した曲

- 美しき天然
- 荒城の月

ドイツ兵俘虜との交流を記念する曲

- 第九「歓喜の歌」(ベートーベン)

- (インタビュー 愛の墓守について 高橋敏夫さん)

- 友愛の花 (高橋敏夫作詞・新川清作曲)


指揮 岡山茂幸

独唱 岡村由香

演奏 徳島エンゲル楽団・合唱団、徳島大学学生有志(交響楽団、リーダークライス、フルバンド部 ほか)


【関連イベント】

展示会「板東俘虜収容所の記憶1917~1920年」展

日時 2016年11月3日(木・祝) 13:00~17:00
場所 徳島大学 地域連携プラザ 地域交流スタジオ・地域連携実習室(予定)
展示資料は下記の鳴門市ドイツ館による巡回展のパネルです。
鳴門市ドイツ館の企画による巡回展

演奏会以外の企画については、この記事で初めて紹介しますので、簡単に説明します。

徳島大学の佐藤先生の講演では、ドイツ兵による公園作りに関する研究成果を解説していただきます。新聞などでもたびたび報道された興味深い話題です。

紙芝居は、日本赤十字社徳島県支部にお願いしました。
板東俘虜収容所跡地には赤十字の記念碑があります。ドイツ兵俘虜と赤十字とは、どのような関係があるのでしょうか。紙芝居でわかりやすく紹介してもらえると思います。

演奏会のプログラムは、ドイツ兵俘虜たちが徳島に来てから現在に至る100年の歴史をたどる形で、それぞれの曲にまつわる史実の時代順にしています。締めくくりに演奏する「友愛の花」の演奏前に、作詞者の高橋敏夫さんが花に託した想いをインタビューの形でお話いただく予定です。


前回のブログ記事でも紹介したように、板東俘虜収容所関係資料のユネスコ「世界の記憶」登録を目指したイベントが順次開催されています。今回の展示は、10月15,16日に鳴門市ドイツ館で開催された巡回展のパネルです。演奏会の受付付近や演奏会場の近くに展示する予定です。演奏会の前後や休憩時間に気軽にご覧ください。

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