最後の相場師と呼ばれる、是銀こと是川銀蔵。
相場師と呼ばれるほとんどの人物は破産、没落して生涯を閉じているところ、是川銀蔵だけが最後まで生き残った。

高等小学校しか出ていないにもかかわらず、どんな知識人にも負けないほどの勉強家で、世界経済をくまなく学び込み、相場に限らず他方面(鉄鋼、農業、不動産、教育)の分野にも長け、日本経済の大きな助力となるいくつもの事業を興した。

貧しい家庭に育ちながらも親を尊敬し、16歳で単身外地(大連)に渡り、日本軍のお抱え商人となって財を成すところから始まり、年齢と不釣り合いな仕事、その規模は破格。
大正~昭和という戦争や大地震にみまわれる動乱の時代に翻弄されるように、波瀾万丈な人生を送ったと言える人物。

彼は己の利益のためならず、国のため、人のため、日本の子供達のために金を稼ぐ「義の人」でありました。

様々な仕事を手掛けた是川銀蔵ですが、「相場師」であることが一番であったようです。
世の流れを先んじて見越す冷静な判断力は、「酒や女道楽をいっさいやらない」という節制した生活、態度、自己規律を生涯貫くことで得られていると、非常に自覚的。

リバモアしかり、破滅する相場師は、たいがい酒と女にだらしがないという事実があるので、これは正しいように思います。それによってプライベートがメチャクチャになるので、メンタルが安定するわけがありません。
かくいう私も、トレーダーとして大成せんがために、生活を180度正しました。(苦笑)

そんな偉大なる男の自伝である本書に笑いどころはなかったのですが、ちょっとビックリしちゃった部分があったので、ご紹介致します。^^

もちろん、現在も国際経済の分析を自分でやっている。毎朝八時半には各証券会社から外電が入って来る。ここから私の仕事は始まるのだ。ニューヨーク、ロンドン、フランクフルト市場のダウや銘柄相場、金、銀、銅など非鉄金属相場と在庫、入・出庫状況、もちろん為替相場、金利、少なくとも必ずこれだけは毎日記録にとる。すでに何十年と、この記録を取り続けているのだ。九十歳を過ぎた今も、電話で外電の内容を受けてそれを自分でノートに取っている。

考えてみれば、この本はご本人が書いてるんだよね?!
本書執筆中は、正確には九十三歳。
「くじけないで」の柴田トヨさんで驚いている場合じゃなかったです。ヽ(;´Д`)ノ




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