「こんな軌道見たことないです」。打席に立った松本が思わず声を上げた。捕手を務めた谷内田も「僕も初めて見ました」と驚嘆。マウンド上の野間口は納得の表情を浮かべ、その反応を受け止めた。日本ハム・ダルビッシュが昨年のオールスターで「ライジングカットボール」を投げたが、その逆バージョン。松本は「右打者は相当怖いですね」と舌を巻いた。
逆転の発想から生まれた魔球だった。サイドスローの練習中に、何度かボールが抜けることがあり「うまく応用すれば使えるかも」とひらめいた。「握りはシュートですかね。それ以外は何も言えないです」と口を閉ざす。すでにブルペンで投げ込みを開始し、新球の完成度も高まってきた。背番号は「33」から「45」、投げ方はサイドスローに変更。野間口が新たなスタートを切る。