メンティーの告白 | いまのしゅんかん

メンティーの告白

メンティーとの面談に行ったのだが、衝撃の事実を知らされた。

なんと、離婚する予定であるが、子供のこともあって母国には帰りたくなく、一刻も早く仕事を得なければならないとのこと。

彼女の置かれている状況がよく理解できたから、これは是非とも応援したいと思った。

 

わたしの場合、離婚したときには永住権もあったしパーマネントジョブもあったけれど、いつか離婚することになるかもしれないと思い始めたのは2009年ころであろうか。そのころ今の仕事をもっていたけれど当時は会社の中でまだまだ不安定な立場だったし永住権もなかったし、だからといって娘はまったく日本語ができない上デンマークに染まりすぎて日本のディシプリンを受け入れられないだろうと日本に帰るという選択肢もなかった。

逃げ道がなく、ともかくデンマークでやっていくしかないと、デンマーク語をその都度ブラッシュアップするだけでなく、仕事でさまざまなタスクに挑戦しつつ、エンジニア組合のイベントに参加したり、重荷だった職場でのソーシャライズ、娘関係のソーシャライズもがんばり、永住権をとるべくバスケットボールクラブで役員に名乗りでたりとかなり無理もした。貯金にも励んだ。

そのスタンスは今も変わらない。今やシングルマザーでわたしが大黒柱。仕事あるなしに関係なく、70歳まで毎月ローンを払い続けなければならないので、ある意味、今のほうが経済的な緊張感はある。メンタープログラムも、ひとつの目的は自分をディベロップさせるためだし。

 

彼女は、わたしがさんざん勧めるデンマーク語に、なぜ力を入れられないかの理由を説明するためにその事情を告白してくれたのだが、わたしは逆に、だからこそ必死にもなれるんじゃないかな、と思った。まぁ、デンマークに移住してたった1年半で30件以上もアプライして10回インタビューによばれているのもすごいと思ったけど、そういう事情があったからだったんだ、、とものすごく納得した。

わたしも夫との関係が悪化したときに、仕事もして育児もあって、しかもそういう状況だからこそ、娘も問題があったりして、一年間誰とも遊ばず、クラスでも女子グループの分裂を引き起こして毎日悩んでばかりでとてもデンマーク語をやる余力なんてなかったけど、デンマークで自立しなければならなかったから、どれも無視できなくて問題に直面するしかなく、泣かされながらもなんとかやれたような気もする。

教授に「自分から輪に入らないと」とビシっと言われたこと、上司に「自分から自分をアピールしないと。」と言われたこと、娘の問題、、何度もハードな局面に合ったけど、逃げなかったのは、ただ逃げることができなかったからである。もし、娘がいなかったら逃げたかもしれない。教授に言われる前に、デンマーク人の輪に入らないまま日本にとっとと帰っていたかもしれない。

だから、彼女もがんばれるんじゃないかな、、と思った。

 

月曜日に、とても興味のある会社の二次面接があり、やはりその会社も英語でも可能だけど、ミーティングはすべてデンマーク語と言われているらしく、「デンマーク語のやる気が出ないのはわかるけど、入社したらすぐにでも習得できるという証明をするために、インタビューのスタートでまずは34つデンマーク語で自己紹介してみたらどうだろう?完璧ではなくても、デンマーク語のやる気はあると汲み取ってくれるかもしれないよ?」と言うと、「それはすごくいいアイデアだと思う。とりあえずデンマーク語で文章つくって家で練習してみる。」と、それまで頑なに固辞していた彼女も翻意してくれたのだった。

 

彼女の娘さんも、両親の不和に心を痛めているらしく不安定であるらしい。そりゃあそうである。娘さんのためにも、早く別居したほうがいいと思っているようだ。

わたしも離婚して今のアパートに引っ越してからむしろ娘との関係も良好になり、今やすっかり仲良しなので、彼女も早く自立して娘さんとの新しい生活をスタートできるといいなと思う。

幸い彼女のスキルはデンマークで重宝されているから、いつかは仕事を獲得できると思うけれど、ともかく祈るばかりである。