EURO2016
Euro2016が始まって早半月以上たったが、デンマーク不在ながらいつものように観戦を楽しんでいる。
昨日は、Islands Bryggeの野外スクリーンで、トーナメント第一戦目、イタリア-スペイン、アイスランド-イングランドを観たが、ものすごく楽しい観戦になったのだった。
本大会から、従来の16チームから24チームになり、従来4グループのリーグ戦から上位2チームが準々決勝からのトーナメント戦だったのが、今回から6グループのリーグ戦で上位2チームと、それぞれの3位6チームのうちポイント数で上位4チームが勝ち進む1/8戦からのトーナメント戦に変わった。すなわち、1位チームでも2位チームと当ることもあれば、3位チームに当たる可能性があり、また2位チームは2位チーム同志のこともあればいきなり一位チームと当るという、少々不公平なんでは?という編成になったのである。
その結果、1/8戦の組み合わせは、
スイス-ポーランド、ウェールズ-北アイルランド、クロアチア-ポルトガル、フランス-アイルランド、ドイツ-スロバキア、ハンガリー-ベルギー、スペイン-イタリア、アイスランド-イングランド
と、明らかに、いきなりエキサイティングな試合もあれば、地味同志のつまらなさそうな試合もあるというバラバラ加減になった。
わたしの本命スペインは、リーグ戦でクロアチアに負けたために、グループで2位になり、準々決勝でもなく1/8戦でいきなりイタリアとの対戦になってしまった。
確かに試合数は増えて楽しいが、フェアじゃないような気がする。なんだったら、32チーム参加8グループのリーグ戦というのはどうかと思うが(それだったらデンマークも出れたかも)、それはそれで開催国にとっては大変かもしれない。
スペインは、2年前のワールドカップでまさかのリーグ戦敗退を喫し、ダブルシャビが引退し、その代わりユベンタスの若手フォワード・村田ことMorata、無名のフォワード選手・則人ことNolitoのダブルイケメンが入り、従来のゆっくりチクタクから少々ダイナミックなチームに変わったように思われ、わたしとしては多いに期待していたのである。
ところが、対クロアチア戦で最初に村田がシュートを決めて以来ウンともスンともいわなくなり、あっけなく逆転されて敗退したのである。これではイタリア戦は相当厳しいだろうな、、とドキドキしながらIslands Bryggeに行くと、
人人人!!!!
座るスペースまったくなし。面白い試合だからさもありなんだが、まさか月曜日の夜からこんなに観にくるひとであふれるとは思わなかった。しかたなく端っこで立って観戦することに。
懸念していたとおり、スペインはスピードが遅くてすぐにディフェンスで固められ攻めるスキがなく最初からこれは勝てないだろうな、と思われる試合展開で、イタリアのシュートチャンスに何度もヒヤヒヤさせられたが、30分ころにはイタリアがついに先制。後半は少々マシになったものの試合終了間近に追加点を入れられ敗退。
スペインファンとしてはつまらない試合だった。でも、スペイン対イタリア戦はめくるめく世界で、両チームイケメン揃い!そして隣に座った外国人らしき男性もイケメンだった。そういう意味では非常に楽しい観戦だった。
試合終了後はほとんどの観客が会場をあとにしていったが、アイスランド戦も観ようと1時間待っていたら、雨に降られた。雨用の上着に黒のゴミ袋に足をつっこみ、ひたすら待った。空が明るかったのであがるだろうと待ったが、もし空が暗かったら帰っていたかもしれない。幸い雨足はしばらくして弱くなり、試合前には一応あがったのである。
それが、結果的にはよかった。試合自体でいえば、アイスランド-イングランド戦のほうがずっと面白かったのである。
なんと、アイスランドは、今大会がEURO初出場だという。まぁたかだか33万人だかの国が、欧州53か国のうち16か国に残ること自体困難であっただろうが、今大会24チームと枠が広がったとはいえ、予選であの強豪オランダにホームでもアウェイでも勝利してグループ2位という快挙を遂げ、めでたく本戦参加になったのである。(で、オランダは4勝1分け5敗で4位とプレイオフにさえ進まなかったという。。)
本戦でも、リーグ戦で強豪ポルトガルに引き分け、ハンガリーにも引き分け、オーストリアに勝利して無敗でグループ2位となかなかの健闘ぶりで、イングランド相手でも意外に端にも棒にもひっかからないわけではないだろう、、と多少の期待をしたのだった。
そうそう、別にイングランドへのEU離脱の恨みではないけれど、わたしはアイスランドをもちろん応援した。というか、メディアを含めデンマーク人のほとんどがアイスランド側であっただろう。文化的にも人種的にもアイスランドは近しい関係にある。実際にデンマークに住むアイスランド人は多い。なんと1万人近くいるらしい。
試合は最初からエキサイティングだった。明らかにイングランドのほうがパス回しが正確で技術も数段上であったが、アイスランドのほうが気迫が感じられた。どんな場面でも、相手にボールを渡させまいとブロックをし、ボールを手にすればすぐさま攻めにいく。
正直、最近はあのドイツまでもがバイエルンのスペイン人監督グアルディオラの影響かチクタクになり、どこのチームも戦略で固めすぎて固いディフェンスに速攻というパターンになりつまらない、と思っていただけに、とにかくガッツとファイトのちょっと日本人魂っぽいアイスランドのプレーが新鮮にみえた。粗削りで技術に乏しく、パス回しも拙いが、動きがあり、何よりもイングランド相手だからと最初から負けメンタルなのではなく、強豪相手であろうが勝つんだという気迫のみえるプレーがとてもとても好ましかった。というか、デンマーク代表に爪の垢を煎じて飲ませたいくらいだった。
しょっぱな4分でルーニーにPKをやられて、ああ~と思ったのに、6分ですばらしいアシストとジャストミートシュートで同点にし、さらに18分に地面ゴロゴロシュートを決め、これは、もしかしてもしかするかも??とドキドキの試合になったのである。
早くにリードしたのに、だからといってアイスランドはディフェンスに固まるわけでもなく、後半の最後で疲れがみえた以外は始終全力の戦いだった。
87分ころには会場全員起立。アイスランドコールをしながらの観戦となった。
そしてロスタイム3分で2対1のまま、アイスランド勝利!!!
それだけで感動なのに、そのあとスクリーンの中で選手とスタジアムのアイスランド人観客のHakaダンスに会場のアイスランド人も一緒に踊ったときには感動がとまらなかった。
一緒に観戦した友達としばらく感動を分かち合ったが、スマホでチェックすると、デンマークのメディアも大賑わい。なんでも首相Lars Loekkeでさえツイッターでコメントしたそうな。
アイスランドはデンマークだった??と思うほどの興奮ぶりであったが、関係性だけでなく、ただアイスランドの戦いぶりに感動したデンマーク人は多かったのだろう。まったく関係のないわたしでさえ心を揺るがされたのだから。本命のスペインが負けたことを忘れるくらい、観戦してよかったと思える試合だった。というか、こんな試合なかなかないであろう。
次回の準々決勝対フランス戦も観に行く気まんまんである。