宝石法案 | いまのしゅんかん

宝石法案

なんだか、ものすごくバタバタしている。

会社のリストラ話があって、前にも増して会社からのプレッシャーを感じるようになったせいもあるが、いかに効率的に成果を得るように、より濃密に仕事しているせいか、疲労が半端ない。特に最近はコンサル仕事が80%ほどを占めているので、方法をみつけていくのに考えさせられたりしてエネルギーが求められる。まぁいろんな実験ができて楽しいが。

しかしまぁ、月曜日に言語交換したときにデンマーク人と話したら、ほかの会社もいろいろあるらしく。男性のほうは辞めることまで決めたらしい。どうも、うちよりもずっとノルマが厳しかったようである。

仕事が大変なのは、どこもそうなんだろうな、と。

 

特に最近はハンドボールがあるため、夕方まで仕事をして、買い物をして夕飯を作って、夜は用事かハンドボールをみるかというパターンになっている。

木曜日だけは何もないはずだったのに、市役所からの呼び出しがあったので、これまた夜にミーティングに出かける予定である。生活に影響する内容かもしれず、ドキドキしている。

 

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最近難民法改正の国会審議が「宝石法案」とあだ名をつけられ、メディアでにぎわっているが、主な改正案は以下の3つである。

 

10000kr以上の現金、もしくはそれに相当する物品を警察が発見できたら没収できる。しかし、結婚指輪を含む個人的な物品に関してはその対象ではない。

-難民申請者に対する現金支給の10%カット

-一時的に難民指定されているひとは、配偶者をよびよせるまでに3年以上滞在していなければならない。国連で難民指定されているひとはその対象ではない。

 

「宝石法案」に関しては、最初のベンスタ案では結婚指輪も没収できる案だったそうだが、社会民主党、保守党、リベラルアラインアスが反対したために対象からはずすことにしたらしい。

しかし、個人財産の取り上げとは何事かと、EUから呼び出しをくらい、外務大臣と移民大臣が説明に行ったそうだ。

そして、いろんな外国のメディアにも取り上げられているとのこと。

 

しかし、これらは難民にかかる支出削減のためではなく、完全に難民にこさせないようにするための「嫌がらせ法案」だと思っている。

例えば、難民申請者への現金支給も10%カットで一日1krを切ったということだが、つまり前も1krくらいだったわけだし、そもそも申請中の数か月間ないし半年間の有期限だけでたいした削減ではない。

また配偶者をよびよせるのに3年待たなければならないひとは、難民全体の中で25%しかいないため、あまり意味のない改正案だという。

そして、一番問題にされている個人財産の没収なんて、そんなこと可能なのだろうか。貴金属だったら、いくらでも隠せるような気がするのだが、本当に荷物のすみずみまでチェックするのだろうか。(ちなみにわたしは財布の中に前の結婚指輪が入っている。特に意味はないが。)というか、それをチェックする警察の人件費だとか、財産の管理とか、コストがむしろ高くつくような気がしないのでもないのだが。

 

どれも実際は別にそれほど意味のある内容だと思えないのに、むしろ外国で騒がれたりして、それも狙っているものというか、デンマークは難民に優しくない国なんだということを意図的にアピールしているとしか思えないのである。

 

デンマークは、実態はともかく、納税という形で国民全員が国に寄与することを前提にした高福祉国家であるため、難民受け入れに非常にナーバスになっているといえる。

なんでも、シリア人で高校卒業以上の学歴をもっているひとは1割しかいないそうで、中卒でも5割、それに満たない学歴をもつひとが3割だという。(つまり残り1割はまったく教育を受けたことがない、ということであろうか?)

首相いわく、そんなシリア人は一般的にデンマーク社会にインタグレートさせるのが非常に困難だということである。

しかし、国連で難民指定されていて拒否するのは難しく、デンマークでもシリア人が難民申請すれば95%はビザが下りるという。

だから、来てしまったら受け入れざるをえないけど、本音としては社会で荷物になるであろう彼らを拒絶したいから、申請する前にデンマークには来るな、という作戦なのだろう。

というか、この改正案の国会審議の前から、もうすでにそのアピールは充分にできているような気もするが。。。