仕事における迷走 | いまのしゅんかん

仕事における迷走

昨日、10時半くらいだったか、化学の授業を受けている娘から突然、「周期律表って何に使うの?すぐ返事して!」というSMSがきた。

何に使うって、、そりゃ確かに一応化学も生業にしているからよく使うけど、、、例えば電子顕微鏡使うときにみたり、反応性の傾向を把握するのにみたりとか、真実を言ったところで13歳の娘は理解できまい。ましてや、一般論でいうのならもっと難しい。

で、「いろんな使い方があるから答えるのは難しい。わたしの場合、元素の重さを知るためにみたりするけどね。たとえば金は重くて、酸素は軽い、みたいな。」と返した。

それにしても、まず元素記号を覚えましょう、じゃなくて、周期律表を使う目的を学ぶんだ、、さすが、デンマーク、、、と思った。FBに書いたら、いつもほとんどコメントがつかないのに、このときは反響もあった。

しかし、化学の授業は本当の先生ではなく代理のひとによるもので、なんでもいいからテーマを決めて発表する、という内容であり(代理のひとにありがち、、)、先週もまた代理のひとで元素記号を覚えるのをやったというからお母さんは得意だよ、と言ったのを覚えており、ならば周期律表について聞いてみようと思っただけだったらしい。結局発表は難しいと判断してあっさりテーマを変えたそうだ。

 

化学の時間で元素記号について教わったこともそうだけど、生物の時間で雑草を採集しに自転車で近くのラジオ電波塔のところに行ったとか、デンマーク語の先生は優しいとか、結構楽しそうに7年生になってからのことを話してくれるのでよかったな、と思った。

しかし学童がなくなったうえ、今のところ新聞配達以外の放課後のアクティビティはないので、家にいる時間もかなり長いが。火曜日水曜日も12時半で終わるが、木曜日は1120分とランチ時間前で終わってしまう。なので昨日はわたしが早めにあがってギターのお店にみにいき、今日は友達とバッケンに遊びにいった。

 

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ここ1週間、ブログを書きたいと思いつつなかなか書くことができなかった。

仕事のことでかなり深刻に悩んでいるものの、自分でもなかなか考えがまとまらなかったからである。

 

何かショッキングな出来事が起きた、というわけではないのだが、ずっと感じていた自分の問題をこれ以上先延ばしにできない状況になってきた。

というのは、実験の仕事はコストの安いひとに回すべきとアルバイトを探すよう言われるようになったことで、今までただ没頭できて大好きだった実験から離れ、40歳であるわたしはそれ相応の仕事をするべきと、暗に仕事の変換へのプレッシャーをかけられるようになったことである。つまり、教育を受けてなくてもできるような実験仕事に、高い時間給で時間をつぶすのではなく、能力をもつひとしかできないような、プロジェクトのマネジメントだとか、将来につながるようなセールスに関係する仕事をするべき、と。

 

今までも、特に一年に一度ある部門リーダーにもそんなことをさんざん言われていたので、今のわたしの勤務姿勢がよくないことは認識していたものの、デンマークでは強制されるわけではないし、部下ができるとか具体的なきっかけがないことをいいことに、ずるずると「下働き」の立場に甘んじていた。

そう、セールスをするにしたって、プロジェクトを立ち上げるにしたって、何か決まった方法論があるわけでもないし、誰かが親切に教えてくれるわけでもない。自分から動かない限り、状況は何も変わらない。むしろ、周囲からのプレッシャーがないことに安心して、自分からもあえて積極的に何もしてこなかった。

だけど、こないだのヨンショーピン出張で同伴した同僚から、学科のリーダーが、ただ言われたとおりだけプロジェクトをこなしているポスドクを切りたがっているという話を聞き、真面目に働いていてもそのひとなりの何か特別なアウトプットがなければ、結果的に解雇されることを再認識し、明日は我が身かもしれない、、と自信を失ったところにアルバイトの話がもちかけられたので、一気にどーんと落ちたのである。

 

とりあえず、何かせねばと、デンマーク政府が応募している国際交流プログラムの支援のアプリケーションを書き始めた。去年知り合ったひとがわたしの興味をもつ分野にいらっしゃることで、彼の研究室と交流することでその知見を広め、ひいてはそれに関するプロジェクトを立ち上げられるといいなという夢をもって。

旅費のみをカバーするファンドなのでたいした申請ではないが、給付されるかどうかはともかく、アプリケーションのいい練習になるかな、と思い。先方様は大変興味をもってくださったので、あとはわたしが締切に間に合うよう申請フォームを埋めるだけである。しかし、経験がないので案外難しい。

それができたら、来年グループリーダーと応募しようと考えているプロジェクトのアプリケーションをわたしが書くと立候補しようかな、と考えている。わたしのほうがその内容に深く携わっているし、詳細はよく知っている。だから名乗りでてみようと。

あとは、何の音沙汰もなくなったユランの会社だけど、いっそのことワークショップをアレンジして無料で招待してみてもいいのでは?と思いついた。今まで会社でそういう無料のワークショップを開いてきたものの、わたしの分野ではないからと参加してこなかった。むしろわたしの専門でアレンジして、お客さんとの交流をはかれないのか?と思ったり。

もっとも、交流プログラムの申請はともかく、あとは自分の思いつきでしかないから、リーダーを話してみないことにはどうなるかわからないが。でもともかく、どうやってセールス活動していくか、わたしのもつアイデアについて話してみようと思う。

 

昨日、日本に帰るという友達とイベントで会ったときにこの悩みについて話したところ、「むしろいいチャンスじゃないの?」と言われた。

確かにそうなのかもしれない。わたしはいつでも実験だけに没頭していたいタイプで、はっきりいってアプリケーションを書いたり、イベントをアレンジする仕事が好きというわけでもない。でも、実験だけで食っていけないことは明らかで、お金をもらう「仕事」である以上好きではないことにも得意でもないことにも取り組まなければならないのだ。この落ち込みは、意識的に変化しようと思えるようになった、いいきっかけになったかもしれない。