日本対デンマーク戦 | いまのしゅんかん

日本対デンマーク戦

いまのしゅんかん-daniel agger

 

今日は、ちょうど小学校最終日で娘のクラスのmorgen broedの招待があったのと、職場での毎週恒例金曜日パンがあったのと、実験室での仕事で何人かと顔をあわせたのとで、多くのデンマーク人に「Tillykke med sejren」と言われた。

わたしも一応謙虚を美徳とする日本人なので、

「デンマークもパスが通っていたし、いいプレーしていたと思うけどね。チャンスもいっぱいあったし。でも、最初の30分で2回もフリーキックでシュートされた時点で試合が決まってしまったようなもので、しょうがない結果になったよね。」と言ったら、

「いや、やっぱり日本のほうがいいプレーしてたよ。」

と決まって返された。

デンマーク人も、日本に負けて悔しいというよりは、あれでは勝てるわけないとあっさり敗北の事実を認めたようだ。

 

わたしも、去年の6月にあったThomas Kahlenbergが決勝点を決めたスウェーデン戦以来、デンマークのナショナルチームの試合を毎回観るようになったので、それなりに思い入れも生じてきたものの、はっきりいって、10月のスウェーデン戦以外よかったと思える試合がなく、特に今年に入ってからは故障者が続出したこともあって、さらに目もあてられない試合が続き、得意とする組織プレーもまったく機能せず、弱気なプレーが続くなど、これでは決勝トーナメントに進めるわけないなと思っていたが、日本チームのことはまったく知らず、日本にもチャンスはあるかな、くらいに思っていて、その予想を上回るいいプレーをみせてくれたことにとても感動した。

 

あの2回のフリーキックもすばらしかったけど、今まで活躍していたベントナー、ロンメデルって日本戦でプレーしていたの?と思ってしまうほど、日本がこの2人をよくマークしていたのが勝利に結びついたのだと思う。デンマークもパスがよく通って、ノーマークでフリーなストライカーJon Dahl Thomassonにつながるのに、5回もチャンスをダメにした時点で、勝てるわけない。日本が、Jon Dahlを放置してまでほかの選手にフォーカスしていたのは完全に戦略勝ちといえよう。

悪いが、誰もゴール前にいない状態でJon Dahlが足の間にボールをはさんでしまってシュートしそこなったときには笑ってしまった。アナウンサーなど、「Hvad sket der, Jon Dahl????」って叫んでいたし。故障続きでトレーニングもままならなかったJon Dahlを本当に出す必要があったのか、そこもデンマークの敗因のひとつだったと思う。

 

ハンドボールの練習をみたり、娘のバスケットボールや自分のバスケットの練習でつくづく思ったが、デンマークは本当に試合形式の練習に多くの時間を割く。だから、瞬時に状況を読む力というか、試合の全体像をとらえることには本当に長けているように思う。しかし案外詰めが甘かったり、持久力がないために後半で息切れしたりする。

それに対して、日本は、ひとつひとつの技術を磨くことや、走りこみなどの地道で退屈なトレーニングに多くの時間を割くような気がする。だから、チームプレーに弱かったりするが、意外と一人一人の基礎がしっかりしていたりする。

標高1600mの高地での試合に備え、標高2000mを超えるスイスのアルプスで合宿もしたそうで、あのフリーキックがなくても、後半で日本の力が発揮されるのでは?と思ったくらいである。

 

それに、わたしとしては、日本のひたむきにくらいついていく姿勢に好感がもてた。

デンマークの物理的な力はもっていてもレージーなプレーには本当に辟易していたので、背は低くても懸命にジャンプをし、デンマーク選手に力で突き落とされても決してあきらめずにボールを追いかける姿に、しょせんわたしも「努力」「根性」を美徳とする日本人なので、感動させられた。

 

どちらがいいというのではないけれど、デンマークと日本のプレーの違いを観ることができたのが面白かったし、同時にやはりわたしは、日本人の価値観をもっているんだな、と再認識したように思う。

 

まぁ個人的には、その直前に移民局で悔しい思いをし、デンマーク自分の国が一番だと奢るのもたいがいにせーよ、と憤慨していたところだったので、日本が勝ってくれて、欝憤が晴れたというか、ぶっちゃけ「ざまーみろ」という思いが生じたのも否定しないが。

移民局のことはしばらくしたらまた書こうと思う。

 

ワールドカップのグループ分けのくじ引きのときには、日本はもっとも勝てると思っていた相手だっただけに、13という思わぬ大敗に、各メディアは早くも「監督交代」「選手世代交代」の意見が盛んに出てきているが、ハンドボールも、今年のヨーロッパ選手権で準々決勝にも出れないという失敗から、今まさに新しいチームができようとしていて、なかなか面白い変化がみられたりするので、サッカーもここで思い切った変革をするのもいいと思う。

もう秋からヨーロッパ選手権の予選が始まるので、新生ナショナルチームを観るのもそれはそれで楽しみである。

 


いまのしゅんかん-mur

本田のフリーキックでシュートされ、2度目のフリーキックで慎重になったデンマークが6人での壁を築くが、結局遠藤にもシュートを決められ唖然する。「高い壁」も意味なしである。