AZLANさんから「スリ・ガディンにあったんだろう？」と
言いあてられてしまったのは墓碑は稲垣圭三郎さんのもの。
この方は三五公司のスリ・ガディン（バトパハ第二）植林地の
事務所長をされていましたが、肋膜炎に罹って大正３年１月に
シンガポールで急死されました。まだ33歳だったそうです。
シンガポールで盛大な葬儀の後、平戸にある稲垣家の菩提寺に
葬られ、分骨がスリ・ガディン植林地に送られてきたそうです。
かつてタイ国日本人会の会報「クルンテープ」誌に「美貌の
初代公使夫人（全11回）稲垣栄子」という連載がありました。
早稲田大学アジア太平洋研究科教授の村嶋英治先生が書かれて
いたものです。
初代公使とは稲垣満次郎氏。1897年にシャムへ赴任しました。渡辺治水氏がタイへ映画の興行に行ったのは、この方と親しく
されていたからとか。「馬来半島南部請願諸国巡察記」の齋藤
幹書記官のタイでの調査には、この方もご一緒しているとか。
はたまた仏舎利を日本へお迎えするのに一肌脱いだとか。
南洋関係の本では、よくお名前が出てくる方でもあります。
稲垣圭三郎氏については、ご父君が稲垣満次郎氏だと書かれて
いるものもありますが。満次郎氏の没後に稲垣家に入ったので
栄子未亡人のご養子さんということになりますね。
稲垣圭三郎氏の墓碑については「シンガポール日本人墓地ー
写真と記録」【改訂版】（シンガポール日本人会1990）には、近衛師団の戦死された方々（11名）も横に埋葬されていたと
書かれています。
ジョホールバル日本人墓地へ移葬される前には、高圧送電線の
下の小高い場所に、この墓碑だけがポツンと残っていたました。