可及其智  不可及其愚 | 雅な烏のひとり言

可及其智  不可及其愚

可及其智  そのちにはおよぶべきも
不可及其愚 そのぐにはおよぶべからず (禅林句集)

わかりやすく言うと、「利口にはなれても、おろか(馬鹿)になるのはむずかしい」という意味のようです。
また、「その馬鹿にあなたはなれますか?」と問われているようにも思います。

僕の周りに、とっても賢い人がいます。
知識があるために、その知識に頼ることを止めません。
知識が深いだけに、その知識を捨てることができません。
判断の基準は、常に論理的思考であり、科学的認識です。
融通が利きません。堅いのです。
そして、賢さを前面に出してきます。
一緒に居て、窮屈です。

僕の傍に、大馬鹿者がいます。
今日も会ってきたのですが、自分の喜びよりも、人の喜びを何よりも大切にする人です。
「自分は愚かだから、いろいろ知りたい。そして、知り得たことで良いことはみんなに知ってほしい・・・」
「自分はお馬鹿だから、一生懸命に尽くさなければ誰も認めてくれない・・」
そう言いながら、人に尽くすことを苦にしません。
自分が何かしたくても、そこに困っている人がいれば、そちらに手を差し伸べることを先にする人です。
「大馬鹿やね。そげん人にしてやったって、相手はありがたくも思っとらんよ。儲けたくらいにしかね…」
といっても、笑って「好きだから・・・」とニコニコしています。

馬鹿を超えて、馬鹿のにおいすらしません。
そうなると「純粋な愚か者」の域に達しています。
お利口にはない「尊さ」を見ることができます。
そんな馬鹿ちんの友が大好きで、時々会っては、心の垢を落とさせてもらっています。

この日記を見ることも無い友人ですが、この場を借りて、感謝、感謝です。
こんな友に、少しでも追いつきたいと思い、慢心のにおいのしない「愚」を目指します。