神経科学基礎4

活動電位1


活動電位action potentialとは、静止膜電位の急激な逆転のことで、

すなわち細胞内が一時的に正に帯電することを言います。

1本の神経を伝わる活動電位を見た場合、

頻度とパターンの2つの性質を持ちます。

そのうちパターンは以前も書いたように、

現在のところ聴覚以外のモダリティにおいては発見されていません。

ここでは、活動電位がどのように起こるのか、

その活動電位は軸索をどのように伝導されるのかについて考察していきます。


Dora's blog
これは1つのインパルスを図であらわしたものです。

活動電位にはいくつかの相があります。

まず活動していないときの細胞膜は、静止膜電位に落ち着いています。

そこに脱分極(電位のプラス側への変化)が伝わってくると、

膜電位は脱分極します。その相を上昇相と言います。

電位が0mvをこえて正になった部分をオーバーシュートと言います。

そしてそのイオンの平衡電位をだいたいの頂点として今度は

過分極(電位のマイナス方向への変化)をします。

その部分を下降相と言います。

そして、一時的に静止膜電位以下の電位になり、

そこをアンダーシュートと言います。

間もなく静止膜電位へ戻ります。

これで1つの活動電位になります。


活動電位は、カメラのシャッターのようなもので、

全か無かの性質を持ちます。

あるかないかのどちらかしかありませんので、

その間の弱めだとか、少し強めだとかそういう段階はありません。

活動電位というのは、どれも同じ強さで起こります。

変わるのは、その電位の頻度です。

つまり、どれくらいの時間間隔でインパルスがくるかということだけです。


実際の活動電位は、1個だけ起こるということはなくて、

多くの活動が連続して起こります。

どれくらいの頻度で活動電位が起こるかを発火頻度と言います。

発火頻度には限界(最大発火頻度)があり、

だいたい1000Hzです。

したがって、その間には次の発火は起こりえないわけです。

その期間を絶対不応期と言います。


どのようにして活動電位が起こり、それが伝わるのかについて

次回まとめようと思います。