ハンパなくお湯にこだわる宿~静岡県松崎町・桜田温泉「源泉旅館 山芳園」
伊豆急下田駅にやってきました。
下田は親戚があるので、昔から何度も来ています。
実家のアルバムには、小さい頃、
特急「あまぎ」の前で撮った写真があったはず…。
蓮台寺のプールで泳いだこともありました。
乗り込むのは、東海バスのバサラ峠経由堂ヶ島行き。
最近は、箱根登山から移籍してきたバスも多いですね。
国道414号~県道15号は、
下田から西伊豆へのメインルートとなります。
下田の町を流れる稲生沢川沿いにさかのぼり、
峠を越えると、大沢川沿いに走ります。
国道マニア的に言えば、414号は、昭和50年代に、
後から指定された3ケタ国道なので、136号との重複や、
湯ケ野~稲梓の辺りは、相変わらず狭い道が続き、
無理やりつなぎ合わせた感もたっぷり…。
春になると、長い桜並木と菜の花が揺れる
大沢川沿いを走って、およそ40分。
松崎の中心部の手前にある「桜田」バス停で降ります。
下田から「1160円」は結構な値段ですが、
JRの「踊り子南伊豆フリーきっぷ」を使えば、
フリー乗降区間内なのでお得。
しかも、東京~下田を「スーパービュー踊り子」で
単純往復するだけで、モトが取れますので、
バスは完全なオプションなんです。
初めてお世話になる「源泉旅館 山芳園」です。
南伊豆特有の「なまこ壁」が特徴的。
10室のみ、温泉ファンには人気が高く、結構な値段の宿です。
てなこともあって、今回は、温泉仲間の皆さんの
ツアーに参加してみました。
まず、タオルと巾着を選べます。
女の人には多いサービスですが、
男性にもしてくれるのは珍しいですね。
今回は私だけ遅れて到着したので、部屋には布団が…。
残念ながら、プレーンな状態での部屋画像はありません。
ちゃんと氷水も用意されていました。
この辺りは、ぬかりありませんね。
もちろん、トイレはウォシュレット付き。
今や、温泉宿の常識と言ってもいいでしょう。
実はこの部屋、部屋専用の貸切半露天風呂が付いています。
湯舟は1人入ればいっぱいくらいの大きさですが、
ささやかな庭を眺めながら入ることができる岩風呂。
しかも、源泉掛け流し。
熱いお湯を下のほうから注入する気の遣いようです。
どうも、お湯へのこだわりは、相当なものとみました。
夕食は、金目鯛の造り&しゃぶしゃぶメインでした。
今回は、宴会仕様の配膳なので、
個人で来た時は、また違ったものになるかと…。
基本的には、食事処でいただくようです。
この辺りは、追跡調査が必要でしょう。
その最後に特別に出していただいた桜田温泉の「湧きたての温泉」。
細かい気泡で白く濁っています。
地下1000メートルまで掘削した温泉の泉質は、
74.3℃、ph8.6のナトリウム・カルシウムー硫酸塩温泉。
毎分552リットル湧き出すお湯は、伊豆にありがちな
塩っぽい温泉とは一線を画した深層温泉です。
飲泉すると、ヘビーなミネラルウォーターな感じ。
久しぶりに「重い!」と感じました。
源泉は、なんと男性風呂の脱衣室から見えます。
以前は空気を送って汲み上げていたそうですが、
泉質の劣化を少しでも抑制するため、
ストローからそのまま吸い上げる方法に変え、
湯の花を減らしたんだとか。
ある意味、湯の花というのは、温泉に溶けていた成分が、
空気に触れたことで生まれる「劣化の象徴」。
そのピュアな温泉を最も堪能できるのが…!
「男性用檜風呂」、いわゆる「内湯」です。
手前があつ湯、奥がぬる湯です。
これと別に屋上に露天風呂があるのですが、
源泉は一旦、露天の場所まで上げて、
下へおろす間に熱交換することで、
「加水しない、空気に触れない、圧力も抜かない」という、
ご主人曰く「源泉脈掛け流し」を実現しているんだそうです。
これはスグに、湯端でゴロンとなりたくなってしまいました。
見よ、この透明度!
ヒノキの木目1つ1つまで、くっきり見えます。
これでカランのほうまで木のお風呂なら、
青森・薬研温泉の「古畑旅館」みたいだなぁと
ふと思いました。
朝は露天風呂(混浴)へ…。
通常は、女性専用タイムが設けられています。
岩の配置も興味をそそります。
バリアフリー華やかなりし昨今ですが、
手すりなどは、わざと設置しない主義なんだとか。
年配の方が、手すりに頼ることで“老い”を感じてしまうより、
イロイロと頑張って岩の風呂に入ることで、
“まだまだやれるんだ!”という自信を
持ってもらいたいという、ご主人ならではの哲学があるんですね。
ここまで浴槽ごとのお湯遣いを明らかにしている宿は初めてです。
お湯への自信のほどが伺えます。
お湯自慢を謳う宿は、このくらい明らかにしてくれると、
また来たいなぁ…という気分にさせてくれるでしょう。
朝ごはんの前に米を作っている、宿の前の田んぼへ…。
アイガモ農法でやるようになったら、
米が圧倒的に美味しくなったとか!?
せっかく松崎町は「賀茂郡(かもぐん)」あるわけですから、
賀茂郡エリアで作るお米の一定量を「アイガモ農法」にすれば
1つのローカルブランドとして確立できると思いますが…!?
朝風呂に入ってからのご飯は、美味しいですね!
もちろん、おかわりをいただきました。
とにもかくにも「こだわり」の宿です。
特に「温泉」へのアツい思いは、お湯の熱さを遥かに超えるモノ。
できることなら、ちょくちょくお世話になりたいくらいです。
予約が取りにくいとされる宿ではありますが、
意外にも「メチャ混み」というわけではない様子。
一説には「人に教えたくない温泉」とも言われます。
ただ、個人的には、1人泊・1泊2食で、
2万4000円台というのは、定宿にしたくても、
庶民にはちょいと手が出ない…。
昔、学年に1人いたでしょう、才色兼備のカワイ子ちゃん。
いいのは判っているんだけど、お高く止まっていて、
なかなか手を出せない、あの感じです。
結局、身近で如才ない感じの娘のほうが落ち着いたりしますよね。
(もちろん、好みにもよるんですが…)
とにかく、めちゃめちゃお湯がいいことだけは確か。
その他については、今回は団体で行ったので、
高揚感もあると思います。
また、個人的に行く機会を作って、
1人泊・1泊2食・2万4千円は妥当なのか、
見極めてみたいと思います。