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難民問題は、欧州最大の問題の一つであり、ノルウェーも例外ではない。

人口に比する難民の割合は、確かスウェーデンに次いで2位、3位のドイツよりも多いという記事を見たことがある。
 
今日は、難民問題の一端ともいえる、町の至る所で見かけるロマの人々について書きたい。
 
ロマ、ノルウェーではRom Folkと言われる。多くはルーマニアからやってきたとされる流浪の民族で、昔はジプシーとよばれた人々だ。(今は、差別用語になるらしい)
 
彼らの容貌はすぐにそれとわかる。
 
髪は黒く、肌は浅黒い、女性はスカーフを頭にかぶり、長いスカートをはいている。駅の周辺では、グループで固まって座っていたり、音楽を演奏していたりする。
 
町の大通りに座り込み、コップを置いて物乞いをする人もする。別に危害を加える訳ではないが、あまり関わりたくないと思う人の方が多いだろう。
 
電車の中に入り込み、朝っぱらから陽気な歌を、頼まれもしないのにアコーディオンオルガンを弾いて歌い、その後コップを片手にチップを乗客にねだる。
 
あるいは、子供と一緒に写っている写真と「この子を養うためのお金を恵んでください」と書いた紙をポケットティッシュとともに配りながら、電車の中を歩きまわり、その後それを回収しつつお金をねだる。同じことを色々なロマの人がやっている。何故か紙に書いている内容はいつも同じだ。
 
「Folk er folk」という慈善団体が提供する雑誌を駅の近くで売り歩く。誰が買うのかわからないが、親切なノルウェー人が200クローネ札を渡して買ってあげるのを見たことがある。なんと、慈悲深い人なのだろうかと驚いた。
 
私は、慈悲深くないので、お金をあげたことはない。
 
こんな方法で果たしてお金になるのだろうかといつも疑問に思う。彼らはどこに住み、どうやって生計を立てているのだろうか。
 
福祉事務所に行って、仕事を紹介してもらった方が確実なのになあ。
 
ただ、彼らはきっと不法滞在、不法就労だろうから、そんなところに行けば強制送還になってしまうのかもしれない。
 
どこに住んでいるかというと、どうやら、森の中や、高架下、雨露がしのげる場所にテントなどを張って、生活しているらしい。森の中で、食べ散らかしたゴミが散乱し、拾ってきた洋服を捨て、便や尿を垂れ流しにして、近隣の住民たちから迷惑がられているというようなことが新聞に書いてあったりする。
 
一度、ガソリンスタンドでトイレに行った時、トイレで髪を洗っていたロムの人を見かけた。
 
彼らは、昔からずっと迫害を受けてきた少数民族らしい。ナチス時代は、ユダヤ人とともに迫害の対象だったそうだ。
 
普通に暮らす私達から見れば、治安や衛生上どうしても眉をひそめたくなる存在であることは否定できない。
 
ただ、このような境遇で暮らす彼らを可愛そうとは思いつつも、非情かもしれないが、何か助けてあげたいという気にはならないし、どう助けていいかも私にはわからない。
 
この人たちはきっと、私たちの常識とはかけ離れた価値観で暮らしているのかなと思ったりする。
 
学校に行って教育を受けて、仕事をして、社会に貢献し、収入を得て生活し、家族を養い、老いていくという、ごく普通のいわゆる私達が常識としていること、それを知らずに育ってきたのだろうと。
 
結果として、先祖から受け継がれた生き方、例えば、仲間同士で助け合い、音楽を演奏し、物乞いをし、野宿や盗み、そうやっていくしか、生きる術を知らないのかもしれない。
 
それでも、この国には、このような世間から蔑まれた人々を救う慈善団体や組織が存在する。
 
 
ただ、これらの組織は、温かい食べ物やシャワー、寝る場所を提供しても、どうやって生きていくかを教えるということまでは、手が回らないだろう。
 
そう考えると、教育って本当に大事なんだなとつくづく思う。