「応仁の乱」と「明治維新」は、年号+事件の種類、という命名方法は同じ、といえるのか? | えいいちのはなしANNEX

えいいちのはなしANNEX

このブログの見方。写真と文章が全然関係ないページと、ものすごく関係あるページとがあります。娘の活動状況を見たいかたは写真だけ見ていただければ充分ですが、ついでに父の薀蓄ぽい文章を読んでくれれば嬉しいです。

維新というのは、いわば固有名詞です。

幕末に水戸の藤田東湖が「詩経」から引用して、改革思想を指す言葉として使ったのが最初です。尊王思想の本家が作った言葉ですから、みんながそれに倣い、やがて、倒幕思想・運動のことを「維新」というようになります。

ですから維新といえば幕末から明治に変わったあの歴史・出来事のことに決まってるんで、「明治維新」というのはいわば重複表現です。「昭和維新」とか「平成維新」といった軍人とか政治家とかいました(今もいます)けど、それらはみんな、あやかろうという、もののたとえです。

改新というのも、同じです。蘇我氏を倒して権力を握った中大兄、鎌足らが、中央集権国家を作り上げようとする自分たちのマツリゴトを「改新」と呼んだので、だから改新といえば大化改新に決まってます(固有名詞ですから、「の」は普通、書きません)。
両者の共通点は、「自分たちで、そう呼んだ」ということですね。だから、固有名詞なんです。後世の歴史家があとから名付けた「乱」「変」などとは、言葉の種類が違います。


「~の乱」「~の変」は、後世の歴史学者が客観的に、年号か事件発生場所かの名前をつけただけで、それが「いいこと」か「わるいこと」かの価値判断を含みません。

「維新」「改新」には、それが「絶対にいいことだ」という主催者側の強い主張が含まれています。
言葉の種類が違う、というのは、そういう意味です。


この話の続き、こちらに。