クロネコのクロにとっては初めての本物のマグロだ。よっぽど美味しいのかカニカマの時のようにウーニャ、ウーニャ唸りながら食べ始めた。

「ウーニャ、ウーニャ」

 それが段々、うまうまって聞こえてくる。マグロをほおばりながら横目でこっちを見ているようにも見える。これうめえなあ、これうめえなあ、すげえすげえ、まぐおうめえ、まぐおすげえ。

   ネコの表情が分からなくても、なんか夢中ということは伝わってくる。ボクも夢中で観察する。

「脂がのっていて、なんてうめえんだ。これが本物のまぐおか。うまうま」

「ねえ、美味しいでしょ。」

「キャットフードのまぐおと全然違うじゃねえか。カニカマとも違うこの旨味」

「大間って言ってとても有名な所のマグロ」
「こ、これが大間のまぐおか?」

 ボクは、はっとした。クロネコのクロを見る。クロネコのクロも何かに気づき、口に咥えたマグロを皿に落とした。「は!」とした顔で口を開けたままボクを見る。

「え?」
「ニャン?」