『営業SMILE』 第一章 連載.25 | Barで過ごすひと時を・・・ with 小説『営業SMILE』 ~君の笑顔信じてもいいですか?~

『営業SMILE』 第一章 連載.25

   第一章

 

    3

 

 煙草を銜えたまま無心に携帯メールを打つ雄司。灰が落ちそうになっている事にも気がつかないくらい夢中になっている。

 

「なんだか最近楽しそうね。奥さんにメール?」

 

いつもの喫煙所の女性がからかうように雄司に話しかける。聞いているのか聞こえなかったのか雄司は無言のままその指を止めることがなかった。

 

「灰……落ちるよ」

 

その言葉が届く前に、煙草の先から落下した白い塊は携帯に直撃して散らばった。

 

「うわ。最悪」

 

慌ててそれを叩くと、雄司は袖にこすりつけて画面を拭いた。

 

「浮気はほどほどにね」

 

呆れるように溜息を吐き出し、女は喫煙所を後にした。

 

「浮気?浮気なんかしてないってね」

 

仕事に戻る女性の背中に言葉を投げかける。その顔には最近の雄司が見せなかった穏やかな表情があった。

 

 

To be continued〕

  

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