産業デザインの花柄 | 外資系 戦略コンサルタントの着眼点

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戦略コンサルでマネージャーを務める筆者が日々の出来事を独自の視座で書き綴る


昨日は、ファッションの花柄トレンドについて書きました。
(昨日の記事はこちら 。)

過去に何度か大きな花柄ブームがあったのですが、初期とされている1970年前後の花柄ブームの際には、ファッションだけでなく、家電などのインダストリアルデザインにも花柄が浸透した時期でした。(1970年前後は洋服の花柄ブームで、それより昔にも着物の花柄ブームは存在したのではないかと思います。)

電通の広告景気年表を見ると、1967年にナショナルが初の花柄の卓上ポットを発売したとありますが、その花柄のポットが大ヒットし、象印やタイガーもこぞって花柄のポットを発売し、一時は魔法瓶の6割~7割が花柄の製品だったといいます。

ポットのヒットに即発され、それ以外の家電にも花柄が採用され、炊飯器や冷蔵庫も花柄のものが主流となった時期がありました。

現在30代以上の方であれば、花柄のポットや炊飯器が記憶の片隅に残っているかもしれません。

(こんなやつです。)
外資系 戦略コンサルタントの着眼点-炊飯器

それと時をほぼ同じくしてファッションの花柄も興隆したのですが、ファッションがその後10年ぐらいの周期で花柄に回帰している一方、産業デザインにおける花柄は徐々に時代遅れの柄として扱われるようになって、消えていきました。
(グッドデザインEXPOでも、花柄はめっきり見かけませんでした。EXPOに触れた記事はこちら 。)

産業デザインにおける花柄は、女性が家庭に入っていた時代を象徴するようなノスタルジックなデザインになってしまったのでしょうか。

そう思っていたところ、デザインジャーナリストの藤崎圭一郎氏の著書を読むと、最近、花柄がインテリアや照明、内装などで復活しつつあるとのことです。

花や花柄へのいろいろな思い入れがある自分としては嬉しい流れなのですが、これがファッションの花柄サイクルのように、産業デザインにおける花柄のサイクルなのかはわかりません。(そうだとしたら40年サイクルになってしまいますが。)

ただ、日本の産業デザインにおける花柄の意味合いが、かつての家庭(主婦)というイメージから徐々に独立し、新たな意味をもって表出してきているように感じます。

エコ、女性の力強さ、洗練など新たな含意を持った展開していくのではないかと思っていますが、花柄の産業デザインとしての浸透は、注目しておきたいトレンドです。